偽物劇場ってなに?
今日も今日とていろいろやりながら退屈に過ごしていたら、不意にアレンくんに話しかけられた。
「ご主人ご主人」
「どうしたアレンくん」
「いや、いくつかちょっとした疑問があって」
「お?ちょっとまってね、面白くなりそうだし企画風にしようか」
「え?」
「というわけで皆様こんにちはこんばんは、偽物劇場の館長、代筆者でございます!今回は、アレンくんの素朴な疑問に答えていくよ!」
「いきなりなんか始まった」
「いいのいいの!で、なに?」
Q1.そもそも偽物劇場とはなんですか?
「なんだこのボード」
「いいのいいの。で、えーと、偽物劇場とは、だよね?」
「ええ、まあ」
「偽物劇場とは、脳内にある架空の空間です」
「は?」
「作者の妄想です」
「はあ???」
おっと困惑してるね?うん、気持ちはわかる。
「まず、物語はわかる?」
「ええ、まあ。単語の意味なら理解してますけど」
「で、基本、物語が存在する世界には『書き手』と『読み手』がいて、その一つ下の次元、紙の上やらなんやらに物語の登場人物がいるわけ」
「そっすね」
「つまり、『偽物劇場』が物語である以上、もうワンランク上の次元に『書き手』が、『作者』がいます」
「うん。……うーん…?」
「それが、私が『彼女』と呼ぶ存在で、この世界の持ち主であるわけです」
「はあ……」
「で、偽物劇場は『読み手』『書き手』の次元にもいるわけです」
「つまり…ここの一つ下の次元に『紙の上の物語』があると?」
「話が早くて助かる。それが、ルリやリリ、私の故郷だね。一つ下の次元から出てきたメタキャラだけど、偽物劇場の作者には一つ次元が及ばない。それが私達、偽物劇場の従業員の正体。ほら、最近のラノベとかゲームで見るでしょ?プレイヤーとして強くなりすぎた主人公が神すら倒して成り代わる、みたいな」
「あんたメタキャラとしての自負ある瞬間はやりたい放題だよな、ほんとに」
「まあ、物語を都合良くシャットダウンできるチートの掃き溜め、デウス・エクス・マキナの格納庫だよ。身も蓋もなく言えば『彼女』が好きなキャラに認知されたいってだけだから」
「要は、その、この世界やら運命やらを好き勝手できるそいつの欲望のために作られた…よくわからん空間?」
「そんな認識でいいよ。『彼女』も正直、一言二言じゃあ説明できないらしいから」
Q2.偽物劇場のメンバーは何人?
「四人だよ、今は一応ね」
「追加の可能性があるってことですか?」
「今のところはないけどそういう意味でもない。名前を冠してないだけでこっちとズブズブの関係のやつがいるってこと」
「ああ……」
「例えば、まあ、私の友人がぱっと例に挙げられるね」
「ここの備品の一部を仕入れてるんですよね、そのご友人の店から」
「なんならこの偽物劇場の建物も建ててもらってるのよね」
「えっ」
「いやホントにびっくりしたよ、私の手も借りず勝手に物語から出てきたんだもん」
「えっえっ」
「あと、君が『騒々しい』『仮面の奥が見えない』って評価してた彼女もそうだね」
「ああ、あの…」
「この先この世界観に来るかもわからないし、気まぐれに来ては帰るし、まあ読めない読めない。偽物劇場に目をつけられない程度には問題起こさないからまあいいけどね。複数の物語の設定に深く絡むってことも少ないから」
「その点はご友人より優秀ですよね」
「まああの人(?)たちは仕方ない、都市伝説なんて目立ってなんぼだからね」
Q3.チートって?
「特殊能力よ。終わり」
「いやいやいやもっと説明を!解説をください!!」
「えー?」
「えっと、チートって言っても俺はそんなにですよね」
「いや、偽物劇場がインフレしまくってるだけでアレンくんも十分チートだから。やられ役やってくれてるのはありがたいけど」
「でもどうしても及ばないんすわ」
「まぁ器用貧乏感がすごいよね。一点を除いて」
「一点?」
「翻訳能力」
「ああ…」
「次に、えー…『掃除婦』リリからいこうか。リリの能力は『ありとあらゆるものを消す能力』」
「わかりやすくチート」
「『料理人』ルリも似たようなもんだよ、『ありとあらゆるものを生成する能力』」
「うーん上限のインフレ。で、ご主人は?」
「え?」
「いや逃しませんから。ご主人は?」
「えー…『代筆者』のチートは――『「彼女」が考えたありとあらゆる特殊能力を扱う能力』」
「…は?」
「だから、『「彼女」が考えたありとあらゆる特殊能力を扱う能力』」
「…………」
「…………」
「チートじゃねーーーか!!??!」
「だから言ってんじゃんかよぉ!!」