お皿が◯枚割れたとさ
皆様お久しぶりです。何やらぎゃあぎゃあと彼らが騒いでいますが、なにかあったのかしら…?
「お・ま・え・なー!!アレン!!また割っただろ力加減が下手なのか!?それともそんなに皿を割りたいのか!なら割ってやるよお前の頭でな!おらおら一枚二枚三枚!!」
「ぎゃあああ!ごめん!ごめんって痛い!地味に痛い!コントロールいいのやめろ!」
「…何やってんの」
「見てのとおりですが?」
「いやわかんないよ」
皆様こんにちは、偽物劇場の館長でございます。なにやら騒ぎが起きているので来てみれば、皿がどうのこうの。アレン君が皿を割ってるのは今更な気もするけど。
「…今更じゃないの?」
「今更だからですよ。昨日も割った、一昨日も割った、そして今日も割った!明日も明後日も明々後日も食器を壊されちゃあたまったもんじゃない!誰がその食器を仕入れていると思ってるんだ!」
…いやまぁたしかに、和風の食器とかお箸とかはルリが仕入れている…というか作っているけど。一応私も商人の友人から色々仕入れているの忘れてない?
「だいたい、今日のは、今日のは…」
「?」
そのままブルブル怒りに震えて、ルリは部屋から出ていってしまいました。
「え、ルリ?ルリー?」
「…」
…ちょっとアレン君、本当に何があったのさ。
「えっと、ですね」
あれ、リリ。珍しく素直だね。
リリはそのまま、ゆっくりと話し始めた。
要約すると、つまりこうだ。
リリがルリに食器をプレゼントした。自分と揃いの、色違いの夫婦皿。鮮やかながら渋めの色合いは二人の感性によく合っていたようで、お互いにお気に入りの一つとなっていた。
しかし、一月ほど前にアレン君がルリの分の皿を割ってしまった。リリは悲しんだそうだが、ルリが説得して落ち着いたそうだ。自分の分は覚えているからまた作れるからと。
そして今日、アレンがリリの分の皿を割ってしまった。その結果、前の鬱憤もあり大噴火。冒頭部分に戻る。リリも流石におかんむりだったため、特に止めなかったそうだ。
アレン君が悪いな、これは。うん。
にしたってなあ。アレン君に関しては後で色々するにして、ルリがなあ。あんだけお皿ポンポン割っちゃったら掃除婦の仕事が増えると思うんだけど。いや本人が温かい目で見守っていたからいいのか?
いや良くないわ。館長の立場的に良くないわ。流石に注意しないとあかんわ。
と、いうわけで近くに来ました。明らか不機嫌。
「ルリく〜ん、」
「帰れ」
「辛辣ぅ」
「…彼女に聞いたでしょう。実に子供らしいへその曲げ方ですよ」
「うーん…そうは思わないけどなぁ」
「はい?」
彼が顔を上げる。驚いた表情。私がこう言うのそんなに珍しいのか、オイ。
「私だって好きな人からのプレゼント壊されたら怒るよ。それはもう大噴火よ。さっきのルリとは比べ物にならないくらい怒って、怒鳴って、当たり散らして、そして泣く。もうダバダバ泣く。本人が『いいよ、別の送るよ』って言っても、どうしても気になるし。全く同じの送られても、やっぱり悲しいものは悲しいもの。ね?」
「……」
「…アレン君にはちゃんと言っておくから、リリに一言謝っておいたほうがいいよ」
「…はい」
うん。
とりあえずアレン君は殴ろう。
「ところでアレン君に投げつけてたお皿なんなの?」
「あんたの食器ですけど」
「よし表に出ろ」