休暇が欲しい
えっと、今日あったやりとりです。ここブラックにも程がありますよね。せめてもうちょい休みが欲しい。お金はいい(もう充分にある)から休みが欲しい。しかも何が辛いって、私遊ぶことは許されても一日休暇取ること許されないんですよ。だからこそのこの反応です。決して私がおかしいわけではありません。絶対ありません。
「休暇が欲しいです」
「は?」
暫し沈黙。
「…あっ、皆さん失礼しましたこんにちは。館長こと代筆者でございます」
「平然と俺に見えない誰かに語りかけないでください。話逸らそうとしてるのバレバレですよ」
「……えーっと、アレンくん?今、今なんて??」
片手を額にあてて、もう片方を「待て」と伝えるために前に突き出す。あ、最近爪伸びてきたな。切らなきゃ。
「だから休暇が欲しいです」
「いや『だから』じゃないんだよ。なにて?休暇??えっ今すっごい戯言聞こえたんですが」
「酷すぎだろ」
酷くないもん。なんなら私も欲しいけどそれとこれとじゃ別じゃい。
「休暇?は?えっ君偽物劇場に来てどんくらい経ちました?」
「凡そ二年ですね。まあ劇中のことですしご主人の言う『彼女』の現実では違うんだろうけど」
「たった二年で休暇??ナメてんの?」
「いや二年ぶっ通しで働き続けて休暇なしとかおかしいだろ」
「オカシクナイヨ…?」
「なんでンなにカタコトなんだよ」
…ん?ちょっと待てよ?
「…てか、今更だけど休館日普通に休みだよね?何さ今更休暇て」
「休館日でも俺をさも当然のようにこき使うのは誰だよ!?」
「サアダレデショウネ」
「ご主人だよコノヤロウ」
「…そういう契約じゃん」
「そうだけどさあ……」
また、暫し沈黙。
「まあ良いよ?私は別に良いんだよ」
「えっマジすか」
うん、アレンくん今すっごい良い笑顔してるね。
「別にさあ、休暇自体は取らして良いんだよ。うん。でもさあ、それ以外がどう思うかなぁ」
「…うん???」
アレン君が笑顔のまま固まった。首がゆ~っくり傾いていく。「わからない」のジェスチャーなんだろうけど、なんかシュールでおもろいな。
「いやね、ルリもリリもどっか抜けてるとこあってさ。休暇の存在気付かずに『あー休みたい』とグッチグッチグッチグッチ言いながら五年経過」
「ブッハ!?」
「その後私に『いい加減休みをください‼︎休みが休館日だけだと頭おかしくなりそうです‼︎』とかキレてきたから『うん、じゃあ休暇申請出そうか』っつったらポカーンって、ポカーンって…クククク…『休みください』ってちゃんと言いに来たらこっちだってちゃんとあげるのにさあ……クククフヒヒハハハ…」
「えっ笑い方キショッ」
ひどっ。
「でもね、それでも少ないわけよ。一人あたり一週間」
「ふーん…ん!?一週間!?」
「そう。一年一週間。七日」
「すくなっ!?」
「まあそういう反応になるか〜。だって残りの三百五十八日は働き詰めだもんね。まあ休館日週二だから実質三百日弱だけど」
「助けて労働基準監督署‼︎」
「ちなみに現実の『彼女』のいるところだと、労働時間は一日八時間、週四十時間を超えてはいけないんだって」
「余裕でアウトじゃないですか」
「給料未払いもアウト」
「マジすか」
「さてアレンくん今の心情は?」
「偽物劇場に来たことを猛烈に後悔してる」
そうだよなぁ〜私の知り合いのお店とか店主の気まぐれで連休10日とかなんなら半年とかありうるしなぁ〜!!畜生『彼女』め、どうして偽物劇場=脳内世界の設定をつけた。おかげでこちとら超絶ブラックだよ。
「さて話を戻すけど、アレンくん、たった二年で休暇とって、ルリとリリが許してくれると思う⁇」
「…ないッスね。あの二人の性格からして」
「だよね〜…まあ私からも説得してみるから。なにせ、アレンくんはよく働いてくれてるからねぇ」
「ご、ご主人〜!」
しっかりルリ&リリに反対されたので、全員で休暇とって、作者に叱られました☆