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第23話「この人参はまだ切られたことに気づいてないんですねー」

――4月27日(日)20時21分――

――ポポロード付近 民家――

ルウラの指示により他人の家にはいった裕、雅史、聖の四人

ルウラが先頭にたち先にはいりドアを蹴飛ばしリビングを確認した。どうやら珍しくゾンビはいない、ほかの部屋も確認したが生存者もゾンビもいなかった。あたりはあちこちちらかっていた。どうやらここの住人は荷物をいそいでまとめ、逃げらしい……いやあるいは逃げられず外であいつらの仲間入りしているかもしれない。

「ちょうどいいわ…今日はここに泊まりましょう」

ルウラは言う。すると裕が口をあける

「ちょっとまてよ!さっきは急いでたのになんで今はここに泊まらなきゃいけないんだ!」

するとルウラは冷静に答える

「事情がかわったわ、今は外にでると危険…それに暗闇であなた達を守る自信がない…それだけの話…朝になるのをまちましょ。いいかしら?」

裕はなっとくがいかなかったが聖をみると息をきらしている、雅史もけして疲れていないわけではない、そういう自分も…

ここは体力を戻すにはちょうどいい…

裕はなにもいわず頷くことにした。

休憩できるとわかった聖はヘナヘナとソファに倒れこんだ。無理もない、今まで気を許す瞬間などなかったのだ。だがけしてここが安全というわけではない。外にはゾンビがうじゃうじゃいる。鍵がかかっているだけでいつ侵入されるかわからない、それでも今は休憩をとらないわけにはいかないのだ。

「うひょー!他人の家に泊まるとかなんかワクワクすんな!」

雅史が疲れなどみせずテレビをつけ、ぐったりとソファに倒れてる聖の横に座った。テレビではちょうどこの町の話をしていた

『明日の午前8時よりアメリカ軍と陸上自衛隊によりA駅に突入し生存者の確保、蘇った死者の排除を開始するそうです』

「お…おい 聞いたか…助かるぞ俺達」ニュースを聞いた裕の顔はホっとしたような笑顔がこぼれていた

「いや〜助かったな!ゲームクリアって感じだな!」

雅史がヘラヘラと笑いながらいう

「ふぇ…ふぁすかるの…?」聖にかんしては疲れきっててなにいってるか謎だ。

「どうかしらね…とりあえず今は体を休めることね」

ルウラが台所のほうでいそいそとしながら言う

「ルウラ…? さっきからなにしてるんだ?」

裕がきく

「なにって……なにか作ってあげようと思って」

「作るって……兵器とか?」

ソファにもたれながら雅史が聞く

ルウラが包丁をもち答えた













「晩御飯……だけど」













『「えええ゛ーーー!!」』

男三人みごとに驚く

ルウラは料理などできないと思っていたからだ。だが目の前にはエプロンをつけルンルン気分で人参をきっているルウラの姿があった。

「ルウラさんって…やっぱり女性なんですね…」と聖

「あぁ…ずっとターミネーターだと思っていた」

ぽかんと口をあけながら裕がいう

「俺…人参嫌いなんだよな…」

と雅史が人参をみる

裕がそっと近づき人参をタンタンときるルウラに話かける

「な…なんか手伝おうか?」

「あ、そうね じゃあ鍋を用意してちょうだい」トントンと料理を進めるなかルウラが口をあけた

「裕…っていったかしら…」

「ん、」

「その…」

「ん?」

「…ありがとう」










「んー、、んんん゛!?」

予想外の言葉がとんできて裕は手にとった皿をわってしまった

「おいおいおい〜大丈夫か〜?」

聖とバラエティー番組を見ていた雅史が笑いながら心配そう…にはいってないが一応聞いてくる

「あー悪い 手元がくるった」裕は手で割れた皿を拾うそしてそのままルウラに話す

「なんだよ急に」

ルウラはこちらに顔をみせず、もくもくと調理を進めながら口をあける

「あの時…あなたが助けてくれなきゃ 私は死んでいた。…だからあなたには本当に感謝してるわ」

あの時か…




イトーヨーカドーの一階で、まだ雅史と聖に合流する前、裕とルウラは化け物と戦っていた。その化け物はゾンビが変態した想像を絶する速さの化け物だった。ルウラは計算外、想像以上のことが起きてしまい、たった数秒だが隙を見せてしまった

それに気づいた化け物は人の頭がまるごとはいるようなさけた口を大きくあけルウラにむかって飛んできた。

それにいち早く気づいた裕はふるえる手を必死で抑え、両手でバットをがっしりとつかみルウラを食らおうとするあいつの頭を打ち砕いた。裕は口をあける

「いや、それ以前にあんたがいなかったら俺はまだあそこでぐるぐる走り回ってたかもしれない…感謝するのは俺のほうだよ」

それを聞いたルウラは

「そうね…」といいクスッと笑ってみせた。

それは初めて見たルウラの自然な笑顔だった。

そしてできた料理は肉じゃが

ルウラの手からこんな日本料理ができるとは思わなかった。肉じゃがを食べ終えた四人はそのまま眠りについた。

だが裕は鈴のことを思うだけで苦しくて寝れなかった。

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