表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
9/43

9肩凝りー4時間目、体育、ソフトボールー

避難訓練が終わって教室に戻る。

4時間目は体育の授業だ。


今日は考えることばっかりで、体の糖分が枯渇している。

授業後のお弁当は五臓六腑にさぞ染み入るだろう。

大好物のきんぴらごぼうを早くかきこみたい。


女子の連携プレーで男子達をいち早く追い出し、カーテンを閉めて体操服に着替える。


ふと前の席を見ると誰もいない。


窓側のカーテンから目だけだしてグラウンドを覗くと、左手がやや大きく見える女の子が1人で屈伸をしていた。


元野球少女が張り切るのも無理からぬこと。

今日の授業はソフトボールだもんね。


すると後ろから声をかけられる。

(ひかり)ちゃん。行こ」


(うた)の言葉に振り返ると、教室は2人だけになっていた。


廊下からの、水筒を取りたいという男子の声に応えてカーテンを開け、詩と2人でグラウンドに急いだ。


体育の授業は2クラス合同。

わたし達1組と、2組をそれぞれ一つのチームとした、試合形式の授業だった。


1組は先攻。一回の表が始まる。

2組の子達が、打者に近くて怪我の可能性ランキング一位二位のピッチャーとキャッチャーを押し付け合いながら守備位置に着く。


結局運動部の子達が内野。

苦手な子達は外野。余った子達は応援に徹していた。


こちらの1番バッターは、グラウンド到着も1番だった、

自称メジャーリーグ歴代最高捕手ジョニー・ベンチ。

野球経験者らしい豪快な素振りをして、右打席に入る。


体育の先生のプレイボールの掛け声。


第1球。ヘロヘロの山なりボールに、豪快な空振り。

ピッチャーの球が遅すぎて逆に打ちにくそうだ。


「くっそう!!集中ぅう!!

集中っ!集中っっ!!」


ジョニー・ベンチは奇声をあげていた。

打席を外れ、何故か剣道の構えで素振りをしてた。

さすが元野球少女。関係ないか。


集中が功を奏したのか、野球未経験者の女子では逃げるしかない痛烈な打球が、グラウンドを囲むフェンスに一直線で這っていく。


既に2塁を回りながら、

汚い言葉でホームランにならなかった悔しさをこれでもかと表現したジョニー・ベンチは、ホームベースも駆け抜けて行った。


『まさか』

スポーツマンシップの欠片もない野球少女の暴言に、守護霊様が驚きを溢した。


『先刻の素振りですが、

あれは正に、武士のお手本となるような一振りです。

まさかとは思いますが、あの振り方はどう見ても』


「へへーんどうだったぁ〜ウチの活躍ぅ〜☆

ご褒美にこの二の腕を゛ぉお!」

さっきトイレで言いかけたことを話してからだ、とひっぺがす。


ベンチはニンマリと口角を上げる。

そのまま顔を寄せ、口角が近づいてくる。


「うん。ウチの守護霊様はね、

細川藤孝っていう人だよ〜」


『ふ、藤孝殿。。』


次筆に続く

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ