90/98
#90 クローズザ暗黒ゲート 2
一瞬驚きつつも、状況を察したのかどや顔でポーズを決める経文。
凶は笑顔で彼女に駆け寄って、笑顔で腹にパンチを打ちこむ。
「……なんて言うとでも思ったか?」
「ウボアー! 不意打ちとは卑怯ですよ凶サマ!?」
「うるさい、おまえが勝手に抜け出していなければ、減ヶ崎とナンさんだってあんなに苦戦しなかったんだよ!」
笑顔から怒りに表情を一変させた凶は、涙目の経文から食べかけのチキンを奪い取ると、食い散らかされた食べ物の山に放る。
「ここにある食べ物はもう売り物になりませんから、処分していいですよね?」
「え? あ、はい」
店員の同意を得てから、凶は積み上がった食べ物の山に右手をかざした。
ベンさんを解憑した焼子とナンも、凶の両隣に並ぶ。
「次の廻りでは、より良き生を送れますように――」
祈りの言葉と共に、食べ物の山が炎に包まれる。
この世界に迷い出た餓鬼たちへ贈る、せめてもの施餓鬼だ。
「私のチキン……」
「おまえのじゃないだろ」
祈りながら、経文の腹に左手でもう一発パンチを食らわす凶。訓練の成果は至るところに表れてる。




