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#87 オープンザ暗黒ゲート 1
「ヒーハー!」
焼子が餓鬼を斬りまくる一方では、ナンが半ば奇声に近い叫び声をあげて餓鬼を殴り飛ばす。
攻め寄せる餓鬼が減って余裕のできた凶も、右手で魔術を発動させて店員をかばいつつ、左手に持ったチョークで罪庵を拘束する魔法陣を描く。
凶は右利きだけど、訓練してるから左手でも簡単な魔法陣を描いたり経文をどついたりはできる。
「さあ、ここまでだ。諦めて元の世界に帰るんだな」
「見事でござるな上係殿」
凶が罪庵にチョークを向けると、横から焼子の声がする。声と姿は焼子のままなのに口調だけベンさんだから、違和感が半端ない。
「このままではあの方に面目が立たぬ。かくなる上は、この世とかの世をつなげ、全ての餓鬼をここへ送るより他ない」
そうつぶやくと、拘束された罪庵の頭上にどす黒い球体が浮かび上がる。
見るからに禍々しい気配を放つ球体は、その姿を歪めながら次第に大きく、よりいびつに際限なく膨張を続ける。
まるで扉みたいに。




