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#84 ちょっとした修羅場 2
凶も応援に加わりたいのは山々だけど、この中で唯一戦闘要員じゃない店員をかばいながらなもんでなかなか前線へ出て行けない。
そんな中、違う意味で奮闘してる人がいる。
「ナンさん……、まだやってたんですか」
凶は襲いかかる餓鬼たちに応戦しながら、傍らでタンブラーを相手に悪戦苦闘してたナンに尋ねる。
「ああ、いくら振っても出てこない。もっと溶けるまで煮こむべきだったか」
「……フタを取ればいいんじゃないですか」
凶に言われたナン、しばらくその意味を考えて、言われたとおり実行した途端に驚きの声をあげる。
「君は賢いな!」
「……」
声には出さないけど、凶は「どうして僕の周りはこんな人ばっかりなんだ」とでも言いたくて仕方のなさそうな顔をしてる。確かに言いたくなるのも無理はない。
「ははは、待たせたな諸君! 今から黄魔術の威力を見せてやる、辛さの限界を思い知るがいい、ダイスケ的にもオールオッケー!」
「誰ですかダイスケって」
凶の指摘を無視して、フタを外したタンブラーからカレーを飲むナン。そしていざ突撃とばかりに餓鬼たちを見回した刹那。
餓鬼の群れが倍に増えた。




