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#80 積年のハングリー 2

 経文の言うとおり、餓鬼の暮らす餓鬼道は人間の住む人間道とは別の世界で、本来なら接点もない。


 こうして人間道にいるのは、何かの拍子に迷いこんできたか、それとも誰かが呼び寄せたのか。


「我が名は罪庵ざいあん。餓鬼大将」


「……」


「……」


 わざわざ親玉が名乗ってくれたけど、凶たちの間に微妙な空気が流れた。


「ジャ……、おっとゲフンゲフン。罪庵とやら、この私を怒らせた罰は重いですよ!」


「おまえ、今わざと言い間違えただろ」


 経文にツッコミつつ、凶は罪庵に向き直る。


「おとなしく餓鬼道へ引き返せばそれでいい。だけど抵抗するなら、こっちも仕事なんでおまえらを祓わなきゃならない。どうする?」


「キャー、凶くんかっこいー」


「何ドサクサに紛れて求愛してるんですか、この腐れビッチが! あんまり調子に乗ってたら、計算ドリルの答えのとこだけシュレッダーにかけて、答え合わせをできなくしてやりますよ!?」


「いいもーん。そしたら凶くんのを見せてもらうから」


「ムキー!」


 外野がうるさくて集中できないことこの上ないけど、罪庵は律儀に返してくれた。

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