80/98
#80 積年のハングリー 2
経文の言うとおり、餓鬼の暮らす餓鬼道は人間の住む人間道とは別の世界で、本来なら接点もない。
こうして人間道にいるのは、何かの拍子に迷いこんできたか、それとも誰かが呼び寄せたのか。
「我が名は罪庵。餓鬼大将」
「……」
「……」
わざわざ親玉が名乗ってくれたけど、凶たちの間に微妙な空気が流れた。
「ジャ……、おっとゲフンゲフン。罪庵とやら、この私を怒らせた罰は重いですよ!」
「おまえ、今わざと言い間違えただろ」
経文にツッコミつつ、凶は罪庵に向き直る。
「おとなしく餓鬼道へ引き返せばそれでいい。だけど抵抗するなら、こっちも仕事なんでおまえらを祓わなきゃならない。どうする?」
「キャー、凶くんかっこいー」
「何ドサクサに紛れて求愛してるんですか、この腐れビッチが! あんまり調子に乗ってたら、計算ドリルの答えのとこだけシュレッダーにかけて、答え合わせをできなくしてやりますよ!?」
「いいもーん。そしたら凶くんのを見せてもらうから」
「ムキー!」
外野がうるさくて集中できないことこの上ないけど、罪庵は律儀に返してくれた。




