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#71 あふれ出る公私混同 1
ジェットコースター。
「うひゃー、超はやーい」
メリーゴーランド。
「わーい、景色も回ってるー」
観覧車。
「スゴいよ凶くん、人がアリみたいに見えるよ」
「減ヶ崎……」
観覧車を降りたところで、ジュース片手に一息つく焼子へ凶がつぶやく。
「おまえ、完全に仕事忘れてるだろ」
「そ、そそそそんなことないよ!? ちゃんとお仕事してるもん」
そう言いながらも思いっきり目が泳いでるし、東京マッスルランドのマスコットキャラクターであるムキムキーネズミの耳がついた帽子をかぶった状態では、何を言ったところで説得力ゼロ。
「焼子様……」
露骨にうろたえる焼子の頭上で、ベンさんもため息をつく。
「しかし上係殿、ここまで視察したところでは、特に異常はなかったように見えましたな」
「そうですね」
ベンさんの言葉に凶も頷くとおり、入園してからここまでに見てきたアトラクションはどれも問題なく動いてるものばかりで、特に被害を受けてる様子はない。
「気のせいなんじゃないのか」
凶の指摘に、焼子は手提げカバンから取り出したファイルを見せながら反論する。




