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#68 謀略のエントランス 3
「は、はあ……」
もちろん凶は焼子に手を出すつもりなんかないんだけど、あまりにベンさんの目がマジなので、適当に流すワケにもいかずに中途半端な受け答えになってしまう。
正直、凶が焼子とあまり組みたくない理由には、いちいちこうやって牽制してくるベンさんの存在もある。
ふたりの間に気まずい空気が流れる。
と、その空気をサクッと無視した間抜け極まりない声が聞こえてきた。
「チケット買ってきたよー」
2枚のチケットを手でヒラヒラさせながら、焼子が戻ってくる。
当然だけどベンさんは霊魂だから、チケットは不要。
「それじゃ行こうか」
「遊園地久しぶりだから楽しみー」
「ですから仕事でござって……」
なんてことを言い合いながら、凶たちは入場ゲートへ向かう。
ちょっとしてからその背後で、茂みが不意にガサガサと音を立てた。
「あーもう、心配したとおりじゃないですか! あのビッチ、完全に仕事ほったらかしてデートモードですよ!」
わめき散らしながら茂みから出てきたのは、ヘルメットに木の枝を刺した経文。
こういうとこばかり無駄に芸が細かい。




