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#61 ドア前の咆哮
そんな救いがたい押し問答をしばらく続けたあげく、ついに経文が限界を迎える。
「うわわわ、もう無理ですもう無理です。早くトイレに入れてくれないと、廊下に最高級有機質肥料をまき散らす羽目になりますよ!?」
「わかったよ、急ぐからちょっとだけ待て」
「やったあ! 凶サマ大好きです、結婚してあげてもいいです!」
「そんな理由でおまえと結婚したくない。……あれ?」
不意に凶があげた声に、経文も動揺を隠せない。
「ど、どうしました凶サマ? 私もう、なかなかの極限状態なんですけど」
「紙がない。悪い経文、持ってきてくれない?」
「ジーザス!」
追い詰められると、式神もキリストに祈る。
そんなどうでもいい発見があるのも、共同生活してるからこそ。
発見したいかどうかはさておき。




