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#60 ドア前の交渉
「ああいう限定モノって、どうしても押さえときたくなっちゃうんですよ。数量限定とか初回限定版とか、あの手この手でマニア心をくすぐろうとしてくるんです奴等は!」
「誰だ奴等って」
凶がツッコミを入れる一方、経文はドアの前で悶絶する。
「あああ、興奮したら余計におなかがヤバいことになってきました」
「自業自得じゃないか」
「ホントにヤバいんですって! 平成維新の風が吹きますって!」
「意味がわからん」
サクッと切り捨てる凶から見えるはずもないのに、経文はドアを睨みつける。
「凶サマがそんな冷たいことばっかり言うなら、私にも考えがありますよ」
「な、何をする気だよ?」
経文のただならぬ雰囲気に威圧されて、凶は戸惑い気味に尋ねる。
「私も凶サマに出ろとは言いません。こうなったら一緒に入りましょう、ひとつの便器をふたりでシェアするんです」
「できるか馬鹿!」
「ふたりならヤレルヤ!」
「やれないよ!」




