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#6 式神は変質者 4
「その鎖骨をペロペロして骨の凹凸や筋肉の触感を舌に刻みつけることで、私の中に全力で少年成分、名付けるなら『ビタミン少』が補充されて幸せになれるんです! 私に幸せを与えてくれるのは凶サマだけ! ビーボよりおいしいのはビーボだけなんですよ!」
経文は恥じらう様子もなく、堂々と言い切る。
言っている内容は支離滅裂だけど、その口ぶりに迷いが一切ないから、なんだか説得力があるように聞こえてしまう。
凶はうつむいてしばらく無言で考えてたけど、結論が出たのか、おもむろに顔を上げた。
「……わかった」
「え、ホントに? やったあ♪」
イーヤッホウと雄たけびをあげながら、胸板目がけて突進する経文を、凶は強烈な右フックで撃墜。
「ぺぼっ!?」
斬新な悲鳴をあげて、経文の身体が地面にばいんばいーんとバウンド。
位置関係が逆転して、今度は凶が経文を見下ろしながら告げる。
「そっちのわかったじゃない。おまえみたいなナチュラルボーン変質者に、手伝いを頼んだのが間違いだった」
「ううう、バイオレンスはいくないです」
涙をだーと流しながら、凶を見上げる経文。