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#53 果てしない誤算 1

 呆然とする凶の肩が、ポンと叩かれる。


 振り向けば背後には経文。


「凶サマ、まだまだこれからですよ。あきらめたらそこでバスケがしたいです」


「意味がわからん」


 経文にツッコミを入れつつ、自分が無意識のうちに勝負を諦めかけてたのに気づいて、慌てて気を引きしめる。


「一発大逆転のチャンスはどこにだって転がってます。どんなクイズでも、最後の問題は2億点って相場が決まってるんです」


「どこの相場だそれは」


 脈絡のない会話をしてるうちに緊張がほぐれてきたのか、凶の表情に冷静さが戻ってくる。


 そんな様子を面白そうに見つめながら、ナンは手に鍋を持ったまま告げる。


「子供をいじめて喜ぶ趣味はないのだが、少し痛い目に遭わないと降参してくれないようだ」


 ナンは相変わらずの上から目線で、余裕たっぷり。


 けどその姿を見てるうちに、凶の脳内にひとつの可能性が浮かび上がってきた。


「経文、鍋を狙え! カレーさえ奪えば、あいつは何もできない!」


「あらほらさっさー!」


 嬉々として飛び上がる経文。

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