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#36 暇人と客人 2
リリアンのもっともな指摘に、経文は顔だけ向けて反論する。
「何をおっしゃる。私は今、武道館を埋め尽くす観衆のアンコールに応えなきゃいけないんです。客の相手なんてしてるヒマなんてありませんよ。凶サマもそう思いますよね?」
「いやおまえが行くべきだろう」
経文の妄想話を凶が一蹴。
「あーわかりましたよ、行けばいいんでしょう行けば。その代わり保険の勧誘とかだったらソッコー契約しますけどいいですね?」
足音をどったんどったん鳴らしながら、経文は玄関へ向かう。
リズム感の悪いその足音は、とてもドラマーとは思えない。
「……なんか色々とすいません」
「凶さんが謝ることではありませんよ。悪いのはあの阿呆ですから」
そんなことを言いつつ、ホントに契約されたら大変だから、経文を追って玄関へ向かうふたり。
すると玄関では、ちょうど経文が開けたドアから来客が入ってきたところ。




