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#3 式神は変質者 1
「私テレビ観てたんですけどー?」
間の抜けた声を出して五芒星からヌルーンと抜け出てきたのは、腰の辺りまである長い赤毛を背中でざっくりと束ねた女性。
白装束に緋袴、俗にいう巫女装束。
年の頃は20歳前後か。よくいえばスレンダー、悪くいえばまっ平らなボディ。
そして何より奇異なことに、その足は地面につかず、地上から50センチほど浮いた状態。
凶の背が低いこともあって、上から目線で凶を見下ろす形になってる。
「おまえが何をしていようが知ったことか。式神は、術者に使役されるのが仕事だろ」
見下ろされた凶は臆する様子もなく、変声期前の高い声でふてぶてしく言い放つ。
「私を使役してるのは、厳密には凶サマじゃないんですけどねー」
「ごちゃごちゃ言っていないで手伝えよ」
異形の存在なんて眼中にないみたいに、言い合いを始める式神と凶。
それまでに構築されてたホラーっぽいテイストの緊張感は、彼女の出現によって跡形もなくぶち壊されて、もはや微粒子レベルにも残ってない。




