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#18 蟹爪研究学園都市 2
「しかしいつ来てもきったないとこですよねー」
「……どうしておまえがここにいるんだ」
研究所の玄関前。
石灯籠や人体模型や壊れた冷蔵庫や地球儀が乱雑に転がる庭を見ながら、しみじみとつぶやく経文に凶が尋ねる。
「おまえを召喚した覚えはないんだが」
「家にいてもヒマだから、遊びに来ちゃいました」
凶は学校帰りにまっすぐ研究所へ来たところで、背中には黒いランドセル。
経文は偶然の出会いを装ってるけど、彼が着く時刻を見越してやって来たに違いない。
「ヒマだったら家の掃除でもしていろよ、このタダ飯食らい」
「あー、そういうのよくないです。奥さんに家事を押し付ける旦那さんは嫌われちゃいますよ」
「いつからおまえが僕の奥さんになった」
心底嫌そうな顔で凶が睨むけど、脳内で妄想が加速したのか、経文は斜め上を見上げたままひとりでつぶやく。
「いや、むしろ私が凶サマを嫁にしたいです。私が疲れて家に帰ったら凶サマが玄関で迎えてくれて、『ご飯にする、お風呂にする、それともボ・ク?』なーんて言われた日にはもう、ご飯もお風呂もいらないから凶サマの完璧でウフフなデラックスボディを、おはようからおやすみまで存分に堪能しまくっちゃってうひょひょひょひょひょ」
奇声をあげながら白昼夢に浸る経文を放置したまま、凶は研究所の扉を開けて中へ入る。




