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#17 蟹爪研究学園都市 1
上係凶が生まれるよりもずっと前に始まって、やはりずっと前に終わった『大爆笑戦争』。
そのとき敵国から受けた霊的な攻撃により、日本は人間に危害を及ぼす悪霊邪霊が不定期に、温泉みたいな感じでボコボコ湧いて出る地と成り果てた。
そして時は流れて現代。
政府は霊的損害への対策として、黒魔術や陰陽道といった霊能力を国家資格として認可して、毎日どこかで湧き出てる悪霊を処理できる霊能者の育成に乗り出した。
凶もそうした育成プロジェクトの一環として、秘められし才能を見抜いた優秀な黒魔術師にスカウトされて、親元を離れて霊的研究の最先端技術が終結した学園都市、蟹爪町に移り住んでる。
……といったら聞こえはいいんだけど。
蟹爪町は学園都市とは名ばかり、いや都市とは名ばかりのど田舎にある。
最寄りの駅からは徒歩3時間、研究施設が密集した辺りを除けば畑ばっかりだし、コンビニでさえ夜中には閉店する始末。
そんな陸の孤島の一角に、研究施設っていうか、お客の来ないお化け屋敷が不人気のあまり倒産した残骸みたいな建物がある。
そんなちょっとした廃墟こそが、凶の所属する『九九垣魔術研究所』に他ならない。




