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銃と魔法と臆病な賞金首2  作者: 雪方麻耶
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男二人

 レイアー家は、ラルゴの街外れにぽつんと建っている。人付き合いを避けたワイズが、敢えて選んだ場所だが、すぐ裏手が小高い山に通じる森となっており、周囲に木々の囁きが途切れる事はない。その為、閑散とした雰囲気というよりも、喧騒から解放された、それこそ疲れを癒やすのに訪れる慰安所のような立地と言える。

 なんだか落ち着くな……

 光来は、木漏れ日の光や時折可愛らしく鳴く鳥の会話を楽しみながら、掃除をしていた。

リムに置いてけぼりを喰らい、手持ち無沙汰になってしまった。なので、泊めてもらっている礼代わりに、家の前を掃除しようと思い付いたのだ。だが、それももうすぐ終わってしまいそうだ。

 手にしているのは、竹箒。魔法という力が存在する世界で、こんな物を手にしていると、どうしても一つのシーンが脳裏を掠めてしまう。


「…………」


 光来は、徐に箒にまたがり自由に空を飛び回る姿を想像した。


「お前さん、なにやっとんじゃ?」

「きゃーっ」


 突然現れたワイズのツッコミに、女の子のような悲鳴を上げてしまった。


「箒の柄を股間なんぞに押し付けおって。変態か?」

「ちがっ、違います。これは俺の村に伝わるお約束で……」

「恥ずかしがらんでもいいわい。ワシもお前さんの頃にはおなごの事ばかり考えておった」

「いや、だから……」

「ところで」


 ワイズは、光来に言い訳をする隙きも与えず、話題を変えた。


「シオンを見掛けなんだか?」


 ワイズに黙って出掛けたのは、余計な心配を掛けたくないという配慮だろう。それくらいは光来にも分かった。だから、惚ける事にした。


「さあ、俺は見てませんけど……」

「出掛けてくると置き手紙があってな。心当たりないか?」

「さあ……」

「リムもおらんようだが?」


 さすがにぎくりとしたが、ここまできたら、惚け切るしかない。


「女の子二人で出掛けたんなら、詮索するのは野暮ってもんです」

「…………」

「…………」


 ワイズは、なにかに勘付いたように片方の眉を吊り上げた。しばらくの間、無言で目と目が合う。光来は、頬が引き攣るのを必死にこらえ、これ以上問い掛けてこないでくれと願った。


「……ふん。まあいい」


 知らないにせよ、隠しているにせよ、これ以上は光来から引き出せないと踏んだのか、ワイズは意外とあっさり引き下がった。思わず、鼻から息が漏れる。

 ワイズは玄関に引き返したが、途中で振り返りながら訊いてきた。


「コーヒーでも飲むか?」

「いえ、こいつの練習をしたいんで」


 光来は、人差し指と親指を立てて、拳銃を撃つ真似をした。そして、まだルシフェルを返していない事を思い出した。


「あの、こいつ、もうちょっと貸しててもらっていいですか?」


 腰を捻って、ホルスターに収まっているルシフェルを見せた。


「ああ、持っとればいい。朝食は二人が帰ってきてからにしよう」


 ぶっきらぼうに言い捨てると、ワイズは家に入った。

 二人きりになると、余計な事を言ってしまいそうだったので、咄嗟に銃の練習をすると言ってしまったが、一人残され、それも悪くないなと思った。

 光来は箒を壁に立て掛け、先日リムと一緒に練習した空き地に足を向けた。

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