休日 その前日
ラントのオフィスを出て、自室に戻ったチェフはフミャをベッドに寝かせた。 その後、チェフは勢い良くベッドへ倒れる様に床へ倒れた。その拍子に顔面を床にぶつけた。
床は絨毯なのだが、端だけは木製の床でチェフは、そこに思いっきり、顔面をぶつけた。
しかし、痛みは眠気に遮られ、痛みを感じる事も無く、そのまま就寝。
勢いが強すぎた為、鼻から血を出てしまった。
しかし、そのまま安らかに眠った。だが決して、死んでいる訳ではない。
ただの鼻血である。徐々に床に、絨毯に血が広がっていくのだった。
数時間後、フミャが目を覚まし、窓の光をモロに浴びながら、猫らしい大あくびをした。
「ふぁあああああ……」
しかし、猫にしては大きすぎるあくびをして、辺りをキョロキョロと見回した。
「チェフ〜……?」
チェフがいないのが寂しい様で、寝起きの目をネコのみたいに擦りながら、探した。
「チェフ……いない……」
いないと確信したフミャはベッドから降りた。その時、ギュムッという鈍い音と共に鈍い声がした。
『うぎゅぅ……』
「ふみゃ……?」
フミャの足元を見ると、そこにはうつ伏せになって、床に円を描くように血が広がっていた。
「ち、ち……チェフぅう!!?」
フミャはチェフの名前を叫んだ。
まるでその場で殺人事件があったかのような光景だったが、フミャには、そんなことはどうでもよかった。元は猫だから。
すると、チェフは目を覚ました。
『あ……フミャ……。起きたのね……。うち……もう……(眠すぎて)ダメ……っぽい……。ガクッ……」
そのまま、チェフは再度、安らかに眠った。
「チェフ……。チェフぅうう!!!」
フミャの声は部屋に響き渡った。
ちなみにチェフの鼻血は止まっていたが、顔は真っ赤に染まっていた。もちろん、鼻血で。
フミャはチェフが死んでしまったんだのだと思っているが、実際は寝てるだけであった。
生物の生き死にがまともに理解が出来ている様子だったのは、この時はまだ誰も知らない。