ペチペチとお仕置き
あれから、数時間経ったがチェフくんはなかなか起きる様子を見せない。
フミャはずっと正座をしていたから、足がしびれだして、少し痛みも出しているのが見ていて、わかった。
それでも、フミャはチェフの為に我慢をして、痺れと痛みに耐えていた。
「チェフ……。まだ……起きない……。足……痛いよ……」
フミャは涙目になりながら、チェフの頬を優しくペチペチと叩き始めた。
早く起きて欲しいと思って、無意識的にとった行動だろう。優しく優しくペチペチと叩いていた。
その光景をPCから見て、ぼくは思った。
(それがもっと強ければ、我々の業界ではご褒美です!)
っと……話が逸れてしまった。
しかし、チェフの方は相変わらず、目を覚まさない。
これだけ叩いても、目を覚まさないという事は相当、心地の良い叩き加減なのだろう。
しかし、よく見るとチェフの顔色が悪いのが見受けられる。
んっ……?よく見たら、少し青いな……?
まさか、チェフは既に目を覚ましていて、さらにぼくのお仕置きを察知して、寝たふりをしているのではないか……?
だとしたら、フミャが可哀想じゃないか! 待っていろ! ぼくが今すぐに助け出してあげるよ!
その頃、地上のフミャ達は、その場で留まって動く気配はなかった。
「チェフ〜……。足が痛いよ〜……。起きて〜……」
フミャはチェフの為に必死に耐えていた。チェフが寝たふりをしている事を知らず、ずっと耐えていた。
チェフは迷惑と分かっていながら、必死に寝たふりを続けた。
神様のお仕置きが相当トラウマなのか、まるで動かない石像の如く、必死に寝続けた。
その時、空から再び、何かが降ってきた。それに感づいたチェフは即座に避けた。チェフの寝ていたお腹辺りには矢が刺さっていた。
『神様め……。うちを殺すつもりかよ……』
「チェフ……? 起きてた……の……?」
フミャが切なくも不審な顔で見つめる。
『さ、さっき起きたのよ? 誰も寝たふりなんかしてないわよ? フミャなら信じてくれるわよね?』
フミャはチェフの必死な姿を見て、すぐに頷いた。
「ぅん……。チェフ……。信じるよ……」
いくら何でも信じ過ぎでしょ……。とチェフは思ったが、さり気なく、回避したので良しとする事にした。