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猫にこんばんは  作者: 犬鳴 椛子
プロローグ こんばんは
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とある過去とこれから

自作のイラストマンガを元に作ってみました。

よろしかったら、ゆっくり見ていってください( ´ ▽ ` )ノ

「くぁ~……」


 大きなあくびをする一匹の三毛の野良猫。


 わたしには名前はまだない。いや、あるはずがない――。

 親も友人もいない一匹の身となった野良猫だ。今夜も野良猫は当てもなく、建物の間を彷徨っていた。


 夜の街は光で明るく、人間達が賑やかで騒がしい。道の真ん中では、高速で動く鉄の塊――。あれは『くるま』と言ったかな――?

 耳障りなそんなものが沢山走り回っていては、わたしは動くに動けない――。



 ――わたしにはあの鉄の塊に一つ嫌な思い出があったからである。


 少し昔のこと、わたしはいつも元気な友人と楽しく遊んでいた。わたしよりも元気で無邪気な友人は公園を駆け回り、わたしとの遊びに夢中になっていた。しかし、彼は夢中になりすぎていて、気付かずに道の真ん中へ飛び出してまった。

 その時、悲劇は起こった――。道を走る鉄の塊に跳ね飛ばされたのだ。すぐに駆け寄るが友人は即死。血まみれになって倒れた彼は、その場所からは微動だにしなかった――。


 その光景に言葉が出ず、わたしはずっとその姿を見つめることしか出来ずにいた――。

 鉄の塊は何事も無かったかの様に走り去っていき、突然、わたしの友人は命を奪われ、わたしは孤独になってしまった。

 それ以来、街中には姿を見せない様に今を過ごすように決意を固め、建物の間や物陰で生活をする様になった。


 もう人間も鉄の塊も何もかもが怖くなってしまった今は友人のことを考えながら、毎日を過ごしている。

 昨日は一日中のんびり過ごしていた。


 そして、今日も一日変わらず、のんびりと過ごすはずであった。しかし、ちょっとした興味から生まれたモノにより、ある場所へと引きずり込まれることになろうとは、この時の彼女には予想すら出来なかった。



 ――そう、あの穴に落ちるまでは。

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