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短編

『好き、時々不安。』

作者: 繚乱 沙玖夜

ねえ。えっとね。好き、なんです。

笑った笑顔は眩しくて。

きらきらしていて。

「好きなんです。」

現実に。そんなことを言われるとは思わなかった。

「へ?私何も君にしてないよ?」

「何もされてないけど。色々話してたら惹かれたんです。」

通話越しの告白は。

私を驚かせるには充分だった。

「気がついたら好きになってました。」

「えー。そんなこと言われても。」

ふと私は昔やった言葉遊びを思い出す。

言葉遊び…とは言えないかもしれないけど。

「じゃあこれを上げるから私が彼女からもらった花を君は何色で送るのかしら?上手く私にそれが届いたなら。花で返すわ。」

彼に渡したのは花言葉のサイトのURL。

花言葉。

彼女から渡された花はStatice。

変わらぬ心・永遠に変わらない・いたずら心・驚き

それが彼女から渡されたもの。

暫く彼は考え込んだ。

余裕綽々の素振りで私も考える。

間違いなく私は彼が好きだ。

多分間違いなく。

私は惹かれている。

これが占いの結果なのかもしれない。

小さな警鐘。

であった時点で気付いていた。

私は間違いなくこの人と付き合う。

間違いなく。

でも、不安なんです。

やっぱり不安に、なるんです。

幸せになれますか?

私は間違いなく幸せになれますか?

不安に、声は揺れそうで。

「俺から贈るのは……Statice。桃色と黄色。混ぜて。」

現実に引き戻されたのはその一言が耳に入ってきたから。

思考が追いつかない。

「え。と。」

永久不変・人の気持ちを引き立てる・愛の喜び・誠実。

まさか2色と言われるなんて思っても見なかった。

「貴女を愛せて幸せです。この気持ちは永久不変、かわることはありません。」

欲しかった言葉だった。

気がついたら。

雨が降り出した。

強くない雨が降る。

しとしとと大粒の雨。

「…っ…ありがとう…。私からは。ナズナを贈るわ。」

雨の音にかき消されない様に。

私は彼に伝える。

雨が降り出した。

彼は暫く席を外して。

洗濯物を取り込む音。

「あーあ。濡れちゃったや。」

「仕方ないじゃん。雨降ってるし。」

しばらくの沈黙。

そして間が空いて。

「「ぷ」」

お互いにあははっと吹き出してしまった。

でもね。やっぱり不安なのです。

あれから数日。

まだまだ。

「好きよ?」

「好きだよ?」

「大好きだし。」

「大好きだよ?」

全く動じてくれない彼は少し意地悪だと思うのです。

まるで、動揺してるのは私だけみたいじゃない。

まるで天気の様に。

『好き、時々不安。』になるのです。

今日の天気も。

明日の天気も。

空模様みたいに変わっていって。

私の恋の空模様は。

いつもと変わらないのです。

「好き、時々不安。」

今日も彼に不安をぶつけてしまうのでしょう。

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