僕と先輩とサボり
LHRですることが無いようなので遊ぶことになった。
他の学年のクラスと合同でなら体育館が使えるからクラスの皆がとても乗り気だ。
そりゃあ僕のクラスは文系理系、外部内部推薦を早い段階で決めており運悪く集まった男子の溜まり場がこのクラスなのだ。女子に飢えている男子がたくさんいる。
△▼△
「先輩、なんで体育館に来てるのに体動かさないんですか?」
「疲れるからに決まってるでしょ。後輩君と私の仲なんだから分かると思ったのに」
「後輩を拉致してる先輩の気持ちなんて分かるわけないわっ!」
体育館裏でロープによって配水管と手首が抱き合っている。
「えー、だってこうでもしないと後輩君皆の所へ楽しく遊びにいって私に見せびらかすでしょ。きっとうざいから捕まえた」
「理不尽! ……というかサボるならクラスにいる友達としてください。え、もしかして」
「捨て犬を見るような目で見ないで! ぼっちじゃないわよ! 後輩君と一緒にいるほうが落ち着くのよ」
「立場的な意味ですか」
「そうだ!」
「はっきり言いやがった! ……はぁ」
何も言わずに拉致られたからクラスの人に心配かけてしまいそうだ。
「先輩、サボるのに付き合いますから友人に報告してきていいですか」
「本当に付き合ってくれるの?」
上目遣いの先輩は捨てられた子犬のようだ。
「それじゃあこのロープ外してください」
「分かった。でもその前にこの首輪をつけて……」
「そうそう、これで僕がどこかに行かないように……犬か!」
「そうだ!」
「またハッキリと!」
「あ、でもちょっと違う。後輩君は駄犬かな」
「WAO!」
「でも、流石に可哀想よね。手を繋いで友達に言いにいこっか」
「近所の友達と喧嘩した子供か!」
「子供のころに喧嘩したなんて羨ましい!」
「先輩の方が可哀想になってきましたよ!?」
△▼△
「どういう状況なんだよ……」
「やぁ、イケメン君。先輩と手を繋いでるのは無視してくれ。……先輩がすりすりしてくるのもだ。えーと腹が痛いからトイレ行ってくるんだけど、帰ってこなかったら保健室にいるから先生が探してたら言ってくれ」
「そのあだ名やめろ。……言いたいことは分かったけど、ジェラシーが沸くよ」
「それをカップヌードルに注いで美味しく召し上がれ」
「……はぁ。もしも二人で保健室のベッド使うときはお前を殺す」
「普通は一人ひとつでしょ。あ、なぞなぞ?」
「ピュアだな!」
△▼△
「先輩、なぞなぞ分かりましたか? 答え教えてくれないってひどいですよね」
イケメン君はどこかへと行ってしまい答えは聞けずじまいだった。
「私、分かるよ。そ、その答えは……実践しましょうか」
「じっせん? まぁ、答えが分かるなら何でもしましょう」
手を繋いだままの僕は先輩に導かれるように保健室へと向かい、ベッドに座りカーテンを閉められた。
「先生いなかったし勝手に使っちゃ迷惑ですよ。というかベッドに座って答えが分かるんですか?」
「分からないよ」
急に先輩は俯いて耳まで顔を赤くしながら、握っている手が力強くなった。
でも先輩は女性で握っている手は華奢で、自分からも力を入れて握っていたいなと変態的な思考に走る。
「どうすればわか「こうやって押し倒すの」
五秒ほど頭の情報処理をしたのだが分からない。
これがなぞなぞの答えなのか?
「き、急に黙らないでよ! 恥ずかしくなるでしょ!」
先輩の黒目と赤い顔は僕の目をひきつけて離れようとしない。
「次は見つめないでよ……」
顔を逸らされてもなお僕の上には先輩が乗っていて、体が動かない。
「えーと、先輩。体調が悪いんですか?」
一番可能性がある答えを導き出した僕は咄嗟に発した。
「……ふざけんな」
「実は本当に体調悪くてサボろうとしてたんですか?」
「ここまでやってんのになぜ分かんない!」
「え!? これってなぞなぞの答えですか!?」
「ちっぎゃう!」
先輩の鉄拳が僕のみぞおちにクリーンヒット。
「ごふぇ! それじゃあいったい何の意味があるんですか」
「知らない!」
「えええええええええええ!」
「後輩君なんてだいっきらい!」