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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

黒い犬

作者: 袢纏礼二郎

 飼っていた子犬を殺してしまった。あぁどうしよう・・・。

とっても可愛い真っ黒い子犬。

 名前はなんだっけココとかココアとか。

 純真な真っ黒な目がとっても可愛いんだ。・・・もうとっちゃったけど。

 黒い毛並みがとっても綺麗だねってみんな口をそろえて言っていた。・・・抜いちゃったけど

 11月の9日に飼った黒い子犬。まだここに来て3ヶ月しかたってない。

 220500円両親がこの日のためにこつこつと貯めていた貯金。もう死んじゃったから無駄になっちゃった。

 せっかく買ったドックフードもケージも、子犬が好きだった丸いボールも全部いらなくなっちゃった。

 怒られるかな・・・ 多分怒られるんだったらマシだろう。きっと両親はこないだ死んじゃったみさこさん家のゆずき叔父さんと同じ色をして見てくるのだろう。

 目だってもう合わせてくれなくなるかも知れない。

 お母さんは優しいフリが得意だからきっとたくさん泣くだろう。

 お父さんはびっくりして出てっちゃうかも知れない。

 そうなったらどうしたら良いんだろう・・・ お母さんがパウダーケースの中にこっそり入れているクレジットカードを持っていっても一年もつかどうかだろう。

 お母さんがみんなに秘密にしているクレジット―カードの中に入っているお金は

 1000000円子犬より高いお金でどうしたかったんだろう。家族のために使いたかったのかな、それとも悪いことしたかったのかな・・・

 やっぱり家に居たほうが良いのかな。もう抱えきれなくなってしまった両親の側にいるのは申し訳ないから、お部屋を真っ暗にして、温かい毛布にくるまれて死んじゃおうかな。きっと大事な物はゆっくり溶け出してからっぽになっちゃて新しく生まれるから、そしたら子犬を殺しちゃった悪い子は死んじゃうから。

 水崎さんがいたマンションは高いからそこから落ちちゃうっていうのも良いかもしれない。きっと風が気持ちよいと思う。落っこちるんじゃなくて誰も見たことのない下の世界にビューンって飛んじゃうって考えたらワクワクする。

 腕の中にいる子犬はそんな僕の考えにはなにも言わない。そりゃそうだ僕が殺しちゃったんだから。

 なにも言わないでただぐでーんと伸びている子犬はもう屍体を抱えているというよりかは人形を抱えているような気分になったきた。

 おもちゃ屋さんで3000円で売っている子犬の人形。それよりかはちょっと重いけど。

 あぁ僕はこの犬をどうすれば良いんだろう。やっぱり素直に両親に白状するのが良いんだろうか、それともこの犬をまな板の上に載っけちゃうっていう方法もある。きっとびっくりする。

 お母さんとお父さんの僕の平和な世界を守るなら事故死にさせちゃうっていう手もあるけどあまりしたくない。

 僕が、この子を、みんなの大切な、可愛い可愛い新しい家族を殺しちゃったんだよ。って言いたいから。

 子犬を腕から下ろして考えるんだ。どうしようって。

 外に出てゆっくり考えようと思ってやめた。だって寒いんだもん。それどころじゃなくなっちゃう。

 温かい炬燵に入りながら考えることにする。誰かがもらってきたどこだかわからない和菓子を食べながら考えた。

 子犬の舌の色が段々みたこともない赤茶色になって、そのうち黒い毛並みと同じくらいになっちゃいそうになっても僕は最善の方法が分からなかった。

 そうして子犬が人形から屍体みたいになっちゃったときに結局お母さんが帰って来ちゃうんだ...

 お母さんはいつもみたいにこういった。

 ただいまって

 僕は迷ったあげくに

 おかえりって

 いつもみたいにいった。



今日の最高気温は9度

   最低気温は3度

まだまだ寒い季節が続くらしい。

 僕は炬燵でぬくぬくしながら誰がもらってきたかわからない和菓子を食べながら、モモを呼んだ。

「モモおいで」

 白い毛並みが揺れる。

 柔らかく小さな足が一心に動かして僕の方に駆け寄る。

「ワンッ」

 僕はモモの柔らかい真っ白な頭を撫でた。

 モモは嬉しそうにマシュマロみたいに柔らかい尻尾を振る。

 僕はモモを殺せない。

 悪い僕は誘拐されて融解しちゃったから、

               

 

 僕 良い子だよ。

                     -終-

明星大学文学研究部、一年袢纏礼二郎です。勝手に更新しちゃいましたてへぺろ

次回はきっと…誰かが…

お楽しみに!!

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