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岩見優司のリア充(?)な日常  作者: 霧島こう
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第六話 送り主不明の脅迫を受けたので、幼馴染みと学級委員に相談してみた

新キャラが登場します。こんな感じでキャラを増やしていって、ハーレム展開にしていく予定です。

第六話 送り主不明の脅迫を受けたので、幼馴染みと学級委員に相談してみた


 教室に到着すると、教室中の視線を一身に浴びることになった。


「おはよう!」


 陽菜はいつも通りに挨拶をしたが、俺には出来そうもない。みんなの視線を無言で受け流した。


 教室に入ったところで、陽菜と一旦別れて、互いの席に移動した。俺が離れるのを見計らったように、クラスの女子が、一団となって陽菜を質問攻めにした。


「ねえ、陽菜。岩見君と付き合い始めたって聞いたけど、本当なの?」


「うん。昨日の放課後に、彼の方から告白されたの」


「どうして岩見君なの? 陽菜に言い寄ってくる男は他にもいるじゃない。サッカー部や野球部のキャプテンに、生徒会長。そっちと付き合う方が絶対にいいと思うけど」


 女子のひそひそ話が聞こえてくる。声のトーンはだいぶ落ちているが、それでも声は大きいので、耳に勝手に入ってくる。明らかに俺に対して失礼なことを言っている。俺よりふさわしい男がいることくらい知っているが、はっきり言われるとさすがにいい気はしない。


 一つ確かなのは、女子に人気がないということだ。嫌われているわけではないが、恋愛対象にはなりえない。


「もう! 優司君にはいいところがたくさんあるの!」


「え~! どこにあるの~? 教えて教えて」


 陽菜は必死に彼女らしく便宜してくれているが、俺にいいところがないのは、俺自身がよく知っている。もし、たくさんあるのなら、ぜひとも教えてほしいものだが。


 結局、陽菜への質問攻めはチャイムが鳴っても続いていた。この分だと、教師がやってくるまで続くのだろう。当事者の俺としては、さっさと終わってほしいものなのに。だって、俺など話題にしても、面白いことなどないだろう。


 いつまでも聞き耳を立てるのにも、いいかげん疲れてきたので、鞄の中身を机に入れることにした。教科書とノートを右手に持って、机に入れると、何かに手がぶつかった。


 疑問に思って確認すると、ピンク色の封筒だった。良く似たものを十分ほど前に見たばかりなので、嫌な予感がした。


 すぐに中を見たかったが、ここは朝の教室。そうでなくても、今の俺は注目の的だ。変な疑いをかけられないように、後で確認することにした。


 結局、早智が教室に入ってきたのは、チャイムが鳴ってから十分後だった。遅れてやってきた担任教師のすぐ後について入ってきたので、一瞬、転校生かと思った。




 時間は流れて、昼飯の時間。食堂に向かおうとする早智に、相談があると言って、屋上に連れ出すことにした。


 面倒くさそうにしていたので、購買部のパンを奢るという条件を出した。食欲の塊のような女なので、二つ返事で快諾してくれた。


 先に早智を屋上に行かせて、俺は購買部により、生徒の波をかき分けて、アンパンとクリームパン、あと出血大サービスでカツサンドも買って、屋上に向かった。


 屋上に行くと、早智が気持ちよさそうに寝そべっていた。このまま、声をかけなければ、寝てしまうだろう。


「ふう……。ここはいつ来ても静かでいいわね」


「お前の口から静かがいいなんて言葉が聞ける日が来るとはね。午後から、雨が降るかもな」


「早智ちゃんだって、たまには一人でいたいときはありますよ。それで、購買で何のパンを買ってきてくれたの? ちゃんとカツサンドは買ってきてくれた? あと、用事って何?」


 こいつの頭の中は飯のことでいっぱいの様だ。俺の悩みなど後回しで、パンをねだってきた。ま、早智らしいけど。


 約束通り、パンを放り投げると、早智は片手でキャッチして、中身を咀嚼しだした。アンパンを二口で完食する様を眺めながら、黙っていれば美少女なのにもったいないと内心ため息をつく。


「へえ、美咲さん以外にもあんたのことが好きな女子がいたんだ。それで、その子から脅されちゃったのかあ。あんたは常に話題に事欠かないわねえ。一緒にいて飽きないわ」


「恋愛がらみのトラブルはノーセンキューだ。当事者の俺は、全身全霊で平穏な毎日を送りたいんだよ」


 大体俺のことが好きなら、陽菜と付き合う前に言ってほしい。もしくは、陽菜と付き合うことになった俺をそっと見守ってほしい。俺のことが好きなら、俺を困らせないでくれ。


「それで? 2通目には何て書かれていたの?」


「そういえばまだ読んでいなかった」


「呑気ねえ。あんたらしいけど」


 机に入っていた封筒を開けて、手紙に目を通す。


「美咲さんより私の方が優司君のことを愛しているよ。君のことをちゃんと見ているのは私だけだからね。忘れないでね」


 新聞の切り抜きのみで構成される文面は相変わらずだ。


「うげ! これ、完全にストーカーだよね。もしくはヤンデレってやつ? 美咲さん一人じゃ飽き足らず、もう一人女の子をひっかけるなんて、やるじゃない。見直したわよ」


「お前に見直されても嬉しくねえよ! 大体二人の女子に言い寄られても、付き合えるのは一人だ。それは陽菜で決定している」


「いいじゃない。二股かければ」


「馬鹿だろ、お前」


 早智を罵倒しつつも、こいつはそういう昼ドラ的な泥沼の展開が大好きな奴だということを思い出した。もちろん、こいつの言う通りにはしない。うっかり口車に乗せられようものなら、俺にとってよろしくない事態が待ち構えていることは容易に想像できる。


 その時、手紙の最後の方にある文章を見つけた。


「追記。万が一、この手紙を誰かに見せたら、その誰かの安全は保障できません。だから誰にも見せないでね」


「ちょっと! あなたしか見ちゃいけない文面を見ちゃったわ。私、狙われるじゃない。見せる前に確認しなさいよ、この馬鹿!」


 最後の分を読み終えるなり、早智にものすごく悪態をつかれた。俺は「今知ったんだから、しょうがないだろ」と応戦し、危うく口げんかになりかけた。


 結局、有効な解決策が見つからないまま、午後の授業の開始を告げるチャイムが鳴った。




 いつもなら睡魔に襲われる午後の授業も、妙な手紙の姓で、パッチリ目が覚めてしまい、数学の教師にも、今日は寝てないことをいじられる始末だ。ただトラブルは起きず、淡々とプログラム通りに授業は消化されていき、放課後を迎えた。


「優司君! 放課後だよ」


「ああ。ていうか、元気がいいな」


「当然だよ。やっと優司君と手をつなげるんだからね。嫌だって言っても無駄だからね!」


 帰りのホームルームが終わると、すごい勢いで陽菜がやってきた。もう帰り支度は済んでいるみたいだ。担任教師が出ていってから、十秒と経っていないはずなのに、いつの間に準備をしたのか。


 何がそんなに楽しいのか、しっぽがあったらブンブンふられていそうな勢いだ。


 陽菜と話すたびに男子から、きつい視線が浴びせられる。だが、もうそろそろ慣れるころなのか、今朝ほどびくつくこともなくなってきた。


 鞄を持って席を立とうとしたところで、別のクラスの女子が陽菜を呼びに来た。


「あ、ごめん! すぐ終わるから待ってて。長くかからないから」


 俺の返事を待たずに、陽菜は女子のところに駆けていき、そのまま楽しげに話し始めた。


「元気がないわね。せっかく陽菜と交際が出来るようになったんだから、もっと喜びなさいよ」


 陽菜が話し終えるのを待っていると、七海に声をかけられた。言い方にとげがあることから、親友に彼氏が出来たことを、あまり好ましく思っていないことは明らかだ。


「彼女が出来たことは、まあ、嬉しいんだけどね……」


 本音はあまり嬉しくないんだが、そんなことをカミングアウトすると、どんな目に遭うか分からないので嘘をついた。


 七海は俺の顔をじっと見つめていたが、そっぽを向いて、フンと鼻を鳴らした。


「大体察しはつくわ。陽菜のファンから嫌がらせを受けているんでしょ。男子から人気が高かったからね」


 陽菜ファンからは睨まれているだけで、実害はない。これから危険なイベントが起こるかもしれないけど。


 しかし、俺の内情を見抜くとは。生徒会で役員を務めるだけあって、人の心の内を見透かすのは得意らしい。中途半端な嘘をついても、バンバン見抜かれるわけだ。こいつの彼氏は絶対に浮気は出来ないな。


 さっき黙っておこうと思ったばかりだが、勢いに任せて、洗いざらい話してしまうことにした。


「実はこんなものをもらっちゃってさ」


 鞄から、今朝もらったピンク色の封筒を二つ取り出した。良い機会だから、一部始終を話すことにした。好意的に相談に乗ってくれるとは思えないが、学級委員なんだから、早智よりもまともな意見が期待できる。


「全く。そんなことだと思ったわよ」


 一通り、話し終えると、ため息をつかれた。次いで、軽蔑のこもった目で俺を睨まれた。


「どうせフラれて終わりだと思ったんだ。とんとん拍子にことが進んで驚いているよ。お前の意見は、「やっぱり陽菜と別れろ」なのか?」


 真面目な七海ならきっとそういうに違いない。そう思っていた。だが、七海から発せられたのは、全く逆のセリフだった。


「そのまま陽菜と付き合い続けなさい。恋愛モードに入ると、周りのことなんて目に入らないんだから、私が何を言っても聞かないわ。心配しなくても、あんたなんてその内に飽きて捨てられるわよ」


 何気にひどいことを言う。


「それから、手紙の送り主に関しては、こっちでも調べてあげるわ。どうせ嫌がらせだろうけど、万が一ってこともあるしね。あなたみたいな人でも、王泉高校の生徒ですもの。安全は確保しないと」


 最後の一言が余計だったが、七海なりに動いてくれるらしい。快く思っていない親友の彼氏のためでも、ちゃんと行動してくれるところが、責任感の強い七海らしい。


「俺の問題なのに、手を煩わせて悪い。でも、ありがとう。今度昼飯でもおごるよ」


「そんなことしなくていいわ。その代わり、陽菜を絶対に泣かせないって約束して。もし、破るようなことをしたら、私にも考えがあるから」


 そう言って、今まで以上に怖い顔で睨まれた。


「了解」


 言いたいことは全て言い終えたとばかりに、七海は去っていった。入れ替わりに、おしゃべりを終えた陽菜がこっちに歩いてくるのが見えた。




 つくづく思うが、俺は本当に鈍感だ。一日中、ストーキングされていたのに、気付かなかったんだから。


 こうして、陽菜と下校している瞬間だって、物陰から見られているのに。


 俺をストーキングしている女子が俺のでこうする姿を見ながら、こう呟いていたことにも、もちろん知らない。


「何なの! 今日一日だけで、美咲さん以外にも、二人もかわいい女子と話していたじゃない。あの子たち、確か、鹿内早智さんと蒼井七海さんよね。優司君は格好いいからなあ。でも、私は負けないんだから。ライバルが何人いようと、最後に優司君のハートを射止めるのは私なんだから」


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