表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
岩見優司のリア充(?)な日常  作者: 霧島こう
4/220

第四話 罰ゲーム的な告白(後編)

前回の続きです。思ったより早くupできました。ひょんなことから、告白した岩見優司の運命や如何に!? 

第四話 罰ゲーム的な告白(後編)


 放課後の屋上にて、俺と陽菜は見つめあったままでいた。俺は陽菜の返事を待ち続けていた。というか、身構えていた。どんな言葉で罵られるのだろう。こっちから告白しておいて何だけど、俺、結構打たれ弱いから、友達でいましょうとか、ごめんなさいとかで、簡単に済ませてほしい。


「ククク……」


「馬鹿! 気づかれるでしょ。もう少しの辛抱よ」


 物陰から、馬鹿共の押し殺したような笑いが聞こえてくる。幸いなことに陽菜には聞こえていないようだ。


 元はといえば、ホイケルのために恥を忍んで告白しているのだ。なのに、当の本人ときたら、笑いを堪えているばかりで、自分が告白する際のデータを集めているような素振りはない。これでは何のために俺が告白したのか、分からない。理不尽だ。


 あの不届き者たちには、後でたっぷりとお礼をしてあげねばなるまい。


 とにかく一つ言えるのは、早くこの時間が去ってくれるのを、全力で祈っているということだ。


 なのに、陽菜は黙ったまま。


 どうしよう。返事の催促でもしようか。などと考えていると、ふと陽菜の変化に気づいた。


 彼女の顔がさっきより喜びの度合いが増えている気がする。


 気のせいかと思って見ていると、陽菜の顔はどんどん紅潮していった。遂には目には涙まで浮かぶ。俺に告白されたのが、そんなにショックなのだろうかと、女心に疎い俺はどきどきした。


 そして、次の瞬間、全く予想もしていなかった言葉が、俺の耳に入ってきた。


「私も岩見君のことがずっと好きだったの。両想いだったなんて嬉しい」


 そう言って手を握ってきた。


「……え?」


 あれれ? 話がどんどん明後日の方向に進んでいくぞ。予定では、「ごめんなさい」と丁重に断られている頃なんだが。もしくは、「あんたなんか眼中にないわよ。身の程を知りなさいよ、馬鹿!」と手痛い言葉を言われてへこんでいる頃か。


「そうなんだ……」


 とりあえず絞るようにして出したのがこれ。もう気が動転してしまい、これが精いっぱい。今更緊張してきて、唇は乾燥し、喉もカラカラに干上がった。


「えへへへ……。私たち、両想いだったんだね。こんなことなら、うじうじ悩んでいないで、私の方から早く告白すればよかったよ」


 告白が嘘と知らず、陽菜は本気で喜んでいた。何か、彼女にすごくひどいことをしている気がしてきた。土下座して謝った方がいいかな……。


「い、いいじゃないか。こうしてお互いの気持ちを知ることが出来たんだから」


「そうだね……」


 早く本当のことを言わなきゃいけないことは分かっているのに、陽菜の顔を見ていると言い出せない。彼女を傷つけまいと、嘘を重ねていく。


「ただのクラスメイトなのは今日まで。この瞬間から、カップルだね!」


「ああ……」


 結局、俺は本当のことを言えず、告白を終了させてしまった。つまり、陽菜と付き合うことになったのだ。


 物陰の二人も、さぞかし驚いているだろうな。特に、俺の後に告白する予定だったホイケルには衝撃だろう。ただ、先を越されたならいざ知らず、自分で自分の首を絞める結果になってしまったのだから。


「まずは、一緒に帰ろう。恋人同士なんだから変じゃないよね」


「うん。別におかしくない……」


 改めて見ると、陽菜は幸せそうだ。好きだった相手から告白されたんだから、無理もない。問題なのは、その相手というのが俺だということだけど。


「いろいろお話ししよう。あ、でも、もしかしたら、私の方が一方的に優司君に質問しちゃうかも。私、おしゃべりだから。気になったら、言ってね」


「分かった……」


 陽菜のペースに合わせていたら、このまま二人で仲良く帰宅コースか。その前に、早智とホイケルと話しておきたかった。話すことで、ちょっと頭を整理したいと思ったのだ。


「教室に鞄を置いてきたから、取ってくる。悪いけど先に下駄箱のところで待っていてくれないか?」


「うん!」


 満面の笑みで、陽菜は屋上から去っていった。去り際に「先に行っているから、早く来てね」と言ったのがかわいくて、不覚にもグッときてしまった。


 屋上に一人ポツンと残される俺。いや、厳密には一人ではない。隠れキャラが二人いるのだ。


「おい、もう出てきていいぞ」


 後ろを振り返らないで、独り言のように叫ぶ。


「OKされちゃったわね……」


 「振られちゃったね! 岩見君元気出せ! 女の子は一人じゃないよ!」と書かれた横断幕を持った早智が、何とも言えない顔で出てきた。後ろにはゾンビのような顔をしたホイケルもいた。


「何だよ、それ。俺が振られた後、からかうつもりだったのか」


 横断幕を見たら、また怒りが沸いてきた。


「あははは! その点は水に流してよ。それより、OKされちゃったね」


 こいつは「OKされちゃったね」しか言えない子なのだろうか。何回繰り返すつもりだ。


「でも良かったじゃない。彼女が出来て。私ね、あんたには一生彼女が出来ないって信じていたから、この結果には素直に驚いているの。あんたの方は……、そんなに嬉しそうじゃないけど」


 当たり前だ。悪ふざけの延長で、好きでもない女子に告白させられ、思いがけずに付き合うことになった。整理するだけで一杯一杯だ。喜んでいる余裕などあるはずがない。ていうか、俺に一生彼女が出来ないって何だよ。勝手に失礼な期待を寄せるな。


 胸の内を正直に打ち明けると、早智は仕方ないといった顔をしてため息をついた。


「だったら別れろよ……」


 ゾンビ顔のまま、ホイケルが恨めしそうに俺を見た。ゾンビで満たされた町に行けば、彼らから仲間として迎え入れてもらえそうなくらいだ。


「断る!」


 俺はホイケルの要求を断固として拒否した。


 俺を笑いものにしようとした罰だ。先に告白させるから、こういうことになるのだ。存分に反省するがいいさ。


 それにあんなに喜んでいる陽菜に、本当のことを打ち明けるのは気持ちが痛んだ。


「てめえ……」


 恨みがましくホイケルが睨んでくる。俺には心地よい顔だ。すっかり立場が逆転している。


 一方の早智は、「いつもの調子で面倒くさいから付き合うのは止める! とかいうと思ったのに、意外。さては本気で惚れたか?」とか言っている。相変わらず失礼な奴。いつもの調子って、何だよ!


 心配しなくても、陽菜とのラブラブ生活などすぐに終わる。賢い陽菜なら、俺などつまらない人間だということに気づき、自分とは釣り合わないと、すぐに向こうから別れ話を切り出すに決まっている。流れで付き合うことになったとはいえ、せめてそれまでは彼氏として接しよう。


 俺をからかおうとした罰だ。さっきのお返しを決め込んだ俺は、ホイケルの憎しみがかなり混じった視線を背に受けながら、校門で待つ陽菜の元に急いだ。


 この時の俺は陽菜との交際をこんな感じで軽く捉えていた。自分の人生がこの日を機に大きく変わっていくことになろうとは、夢にも思っていなかった。


こんな展開が自分にも起きないかな……。などと思いながら書きました。このコメントを読んで、気分を害された方がいたらすいません。間を空けないで、続きを書きたいと思っていますので、また読んでいただければ嬉しいです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ