また16歳。
死が内容に含まれます。
フィクションです。
16歳ですね。
私は16歳になる。
もう何度目かわからない16歳をまた迎えた。
5年はこれが続いてる。
きっかけはずっと覚えている。
16歳の夏。クーラーもなく、ジメジメとした部屋に1人、ベットの上で蝉の声を聞きながらだらけていた。
夏休み期間の補習がある日。
何もできなかった日。
何もできない自分に諦めがついた日。
私は自死を試みた。結果として死ぬことはできなかった。
そのあとどうやって過ごしたか思い出せない。
私はご飯を食べたのか。
親はいつきたのか。
私は死にきれなかったことは誰にバレたのか。
何もかもあやふやで思い出せない。
ただそれでも母が泣きながら抱きしめてくれたとき、私は死にきれなかったことに悔しさを感じていた。
今もずっと鮮明に覚えている。
16歳。私の16歳はそんな年齢。
思い出す日、私は16歳になる。
今日もまた16歳。当日のこと、よく覚えている。
家族の誕生日。
狙ったわけでもないけど、それでもこの日に死んだら、家族は祝うことを悔やむだろうな、と少し考えた。
でもそんなのどうでもいい。自分が死ぬことだけが最重要だから。
今となっては呪いの日。
ごめん、誕生日に死のうとして。
祝うとき、同時に私は16歳になる。
呪いは私だけに残っている。
私が限界だってことを伝える手段がこれしかなかった。言葉で伝わらなかったから。行動にでも移さないと人には伝わらない。今でも大事にしてる考え。
だから私は何度も16歳になる。
16歳になったら、何度も同じ光景を見る。
いまだにあの部屋の天井を覚えている。
ゆっくり瞼が落ちてそのままゆっくり死ねたらなんて思ってたけど、うまくはいかないな。
あんなのじゃ死なないのなんて、今なら簡単にわかるのに。
あの日の動悸が今もずっと残ってる。
心臓が強く脈を打つ日、私は16歳になる。
不安と恐怖から逃げてしまいたい、終わってしまいたい。
私はこの16歳を何度繰り返すのか。
見慣れた光景にならない。
5年経った今も変わらず、あの日を鮮明に思い出しては死にきれなかったことを悔いてる。
ずっとあの日は私の中にある。
この先何年も、ずっと私は16歳。
それでも、16歳で終わる日は来ない。
16歳。また今日も。




