18 毒の効きはじめ
翌週、ソフィアからキャサリンへ短い文が届いた。
『言われたとおりにしてみます。明日、ドリアン様とお会いします』
読み終えたキャサリンは、丁寧に手紙を折り畳んだ。
✿✿✿❀✿✿✿
自分だけでは、何か起きたときに不安である。
ソフィアにそう頼まれたキャサリンは、彼女の友人として植物園を訪れていた。
「なんだか緊張します……」
少なからず、相手を騙そうというのだ。
人のいいソフィアには難しい注文だったのかもしれない。
「心配しないで。私もついているわ」
キャサリンがソフィアの肩に手を置く。
「お嬢様」
エマがキャサリンに声をかける。
「部外者がいると変でしょう? 離れたところから見守っているわ。声は聞こえているから安心して」
準備が整うやいなや、ドリアンはすぐに現れていた。
「直接会って話がしたいなんて、どうしたんだい?」
「すみません、忙しいのに」
「構わないよ。それにしても、植物園なんて珍しいところを選んだね」
ソフィアが少しショックを受けたような顔をした。
「覚えて……いませんか?」
ドリアンが少しだけイラついたのが、遠目からもわかる。
声が少しだけ揺れる。
「どうだったかな……。それより話があるみたいだったようだけど」
当然だろう。
ドリアンは持参金の話が出ると思っているのだから、本題がまさか植物園にあるとは思ってもいないはずだ。
ソフィアの目にじわりと涙がにじんでいく。
当然、気がつかないドリアンは自ら墓穴を掘る。
「持参金の話だろう? 気にしなくていいんだ。僕は君がいてくれるだけで満足さ」
さわやかにドリアンがはにかむ。
本来であれば、これでゲームセットだっただろう。
キャサリンの負けだ。
しかし、違う。
「持参金? なんの話ですか?」
ソフィアが目を丸くして、ドリアンを見返していた。
「……。はっ……?」
ようやく、ドリアンは自分が誤った選択をしたことに気がついた。
――詰めるなら、今ね。
キャサリンがソフィアたちに近づいていく。
「失礼、ドリアン子爵」
「……何者だ。エルフェルト家の令嬢……?」
キャサリンの顔を見たドリアンが警戒を露わにした。
「そんなに身構えないでください。私とソフィア嬢はお友達なのです。ついて来てほしいと言われましたので、そばで見させてもらいました」
キャサリンのことを睨みつけたドリアンだったが、さすがにソフィアの手前、表情をすぐに柔和なものに改めた。
コメントまでは望みませんので、お手数ですが、評価をいただけますと幸いです。この後書きは各話で共通しておりますので、以降はお読みにならなくても大丈夫です(臨時の連絡は前書きで行います)。
次回作へのモチベーションアップにもつながりますので、なにとぞよろしくお願いいたします。(*・ω・)*_ _)ペコリ




