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タイムリープするお嬢様――二度目の婚約破棄はもう遅い。あなたが破滅する始まりです  作者: 御咲花 すゆ花
3話 ソフィア・ホーウッド

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17 毒を仕込んだ中庭

 ソフィアとのお茶会は、穏やかな午後に設けられた。

 恋の話は恥ずかしいからと、場所を人の少ない中庭にしてもらっている。


「キャサリン嬢とお会いできて光栄です。おじいさまからよくお名前を伺っておりました」

「まあ、そうでしたの?」

「ええ。クラリス嬢の件で大変お世話になったと……それはもう、うれしそうに話すものですから」


 くすくすと笑うソフィアの隣で、アルバートが照れたように咳払いをした。


「そういうことは黙っておくものだよ、ソフィア」

「だって本当のことなんですもの」


 悪びれない孫娘に、老研究者は苦い顔をしながらも目を細めている。

 キャサリンは静かに呼びかけた。


「ソフィア嬢。ドリアン子爵とは、どのように知り合われたのですか?」


 ソフィアの顔が、ふわりと明るくなった。


「じゃあ、おじいさま。そろそろ……」

「若い2人だけで楽しんでください」


 アルバートには退散してもらう。

 彼から情報が漏れるとは思っていないが、念のためだ。

 キャサリンに向き直ったソフィアが話しはじめていた。


「昨年の春のお茶会で。向こうから声をかけてくださったんです。最初はびっくりしてしまって……だって、お名前はよく存じ上げていましたから」


「社交界では名の通った方ですものね」

「ええ。なのにどうして私にと思ったんですけれど」


 ソフィアが少しだけ恥ずかしそうにつづけた。


「研究が好きだと話したら、それがいいんだと言ってくれて……。変わっていると笑われることが多かったので、素直にうれしかったんです」


「そうでしたの。……ドリアン様との一番の思い出は何ですか?」


 ソフィアが嬉しそうに話し始めた。

 初めて二人で出かけた植物園のこと。

 雨が降り出して、小さな東屋で雨宿りをしたこと。

 そのとき、自分が子供の頃に亡くした母親の話を、初めてだれかに打ち明けたこと。


「ドリアン様は、ただ黙って聞いてくださったんです。何も言わずに。それがとても嬉しくて」


 ソフィアの声は柔らかい。


「素敵な思い出ですわね」

「はい。このことがあったから私はドリアン様を……」


 ソフィアが頬を赤く染めた。

 キャサリンは静かに答えながら、頭の中で照合していく。

 エマが調べた内容と、今ソフィアが語った話。


 ――一致しない。


 ドリアンはソフィアの侍女に対して、婚約者が最近悩んでいることを探るはずだ。

 しかし、植物園の話も母親のことも、侍女は詳しくは知らなかったはずだ。

 つまり、ドリアンが事前につかめる情報ではない。


「ドリアン様も今でもその話を?」


 さりげなく、キャサリンが問いかける。


「もちろん、覚えていてくれていると思います」


 はっきりと言い切るが、ソフィアの顔は浮かない。思うところがあるのだろう。


「ドリアン様とは、最近どのようにお時間を過ごされていますの?」

「婚約の準備もありますし……でも、できるだけ会うようにはしています。ドリアン様はお忙しい方なので、なかなか難しいこともあるのですけれど」


「忙しい方なのですね」


「ええ。急に予定が変わることも多くて……でも、それだけ多くの方に必要とされているということですし……」


 ソフィアが、少しだけ間を置いてから続けた。


「……。たまに、寂しいと思うこともありますけれどね」

「では、ちょっとふざけてみましょうか?」

「ふざける?」

「ええ、そうです。寂しい思いをしているのですから、ちょっとくらいわがままを言ってもいいでしょう? そのほうがかわいく見えますから」


「ど、どうすれば……」

「近く、そのときの植物園にドリアン様を呼びだしてください。当時の再現をするのです。婚約者同士なんですもの、すぐにソフィア嬢のしてほしいことくらい伝わりますわ」


「なるほど……」


 キャサリンがあえて同意しやすい言い方をしたからこそ、抵抗感が少なかったのだろう。

 ソフィアが、ゆっくりとうなずいていた。

 これと並行して持参金の話を、アルバート経由で侍女に流す。


 ――今度こそ仕留めさせてもらうわ。

 コメントまでは望みませんので、お手数ですが、評価をいただけますと幸いです。この後書きは各話で共通しておりますので、以降はお読みにならなくても大丈夫です(臨時の連絡は前書きで行います)。

 次回作へのモチベーションアップにもつながりますので、なにとぞよろしくお願いいたします。(*・ω・)*_ _)ペコリ

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