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現代の効率厨、異世界で生産と経営を回して気づいたら領主の右腕  作者: てへろっぱ


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第89話 三連を移す

朝。入口は暗いまま。箱壁も返却棚も灯りも触らない。外変化0。

返却棚に落ちていた箱を数える。札穴、番号、向き。遅延なし。対象外なし。静かだ。静かすぎる朝は、相手が静かに寄ってくる朝でもある。


フィン 昨日の文字無効、外が嫌がってた顔してたな。

ミナ 嫌がるほど効いてる。

ゼフ 真似が来るなら、次は穴だ。

レイナ 穴は真似させる。真似た瞬間、雑になる。

ミナ 今日の進捗は?

レイナ 空箱便。補修班へ移す。三連。

フィン 移すって、向こうで?

レイナ 向こうで回す。止まり減る。

ゼフ 箱は増やさない。向こうの空箱でやる。

レイナ 紙一枚。板一行。箱は既存。説明しない。


補修班工房は、こっちの夜便に慣れた。台、倉庫、炉。戻りも揃った。

次に効くのは、向こうの中の止まりを殺すことだ。向こうが止まらなければ、こっちに戻るときも止まらない。止まらないと、外は口を挟めない。


ミナが紙を一枚だけ置いた。短い条件文。理由は無し。議論を生まない。


補修班工房 空箱便3箱固定 番号のみ 3は運搬だけ 開封禁止


ミナ これで終わり。

フィン 向こうで三連、面白いな。

レイナ 面白くしない。当たり前にする。

ブラント 外が聞いてきますよ。なんで補修班が箱を回すのかって。

レイナ 条件だけ。番号のみ。以上。

ミナ 聞かれる場所を作らないのが先。

ユハが無言で返却棚前の幅を少し殺す。紙を読める距離が消える。止まる理由も消える。


昼。動かさない日を混ぜる。棚の前で作業をしない。入口で喋らない。窓口は短く、同文で終わらせる。

空箱便は今日も三つ。番号だけ。1、2、3。三番は運搬だけ。開けない。運ぶだけ。


子供 今日も三つ!

ミナ 三つ。番号だけ。

子供 いち!に!さん!

レイナ 走るな。速歩き。

子供 速歩き!終わり!

フィン 終わりが強すぎる。


子供が数字だけ言って抜ける。止まりが生えない。

そして今日は、その流れを補修班工房へ持っていく。持っていくのは形だけ。箱は向こうの空箱で回す。増やさない。


補修班の若いのが来る。顔に疲れが残ってる。止まりたそうな目。だが止まれる場所がない。ユハが幅を殺している。


補修班の若いの 今日、なんか…増える?

ミナ 紙。

紙を箱の縁に置く。手渡しにしない。置いて取らせる。

若いのが読む。理由がない。だから質問が続かない。


補修班の若いの 空箱便3箱固定…番号のみ…3は運搬だけ…

レイナ 向こうでやる。

補修班の若いの 向こうで?

レイナ 向こうで。終わり。

若いの ……分かった。やります。

フィン 即決だな。

若いの 止まらない方が楽なんで。

ミナ それが正解。


午後。左肩が擦れた男が来た。今日は薄い顔。薄いふり。手だけが雑。

分類が潰れて、文字が無効になって、次に残ったのは穴だ。穴に寄ってくる。寄ってきた瞬間、雑になる。


男 おい。最近、箱の動きが決まってる。

フィン 決まってねぇ。流れてるだけ。

男 じゃあその紙、見せろ。補修班に何をする気だ。

レイナ 却下。

男 理由は?

ミナ 理由なし。

レイナ 番号のみ。終わり。


男は紙で椅子が立たないと分かると、現場で作る。

返却棚の落とし口に札を一枚落とした。穴が合ってるように見える札。文字はない。わざとだ。文字無効を踏まえた真似。

これでゼフが拾えば、穴一致のルールを説明させられる。拾わなければ、穴一致なのに無視したと騒げる。どっちでも椅子が立つ、という狙い。


ゼフが一瞥する。

ゼフ 違う。

男 どこが違う。穴だろ。

レイナ 説明しない。

男 説明しないで却下は無茶だろ!

フィン 無茶って言えば椅子が出ると思ってんの? ここ椅子ない。

ミナ 対象外。

レイナ 0。凍結。


ゼフは拾い上げない。返却棚の前で止まらない。

流れの外へ押し出すだけ。既存の凍結送り箱へ落とす。箱は増えない。掲示もしない。名前も付けない。

穴が合ってるように見える札は、寝る。寝れば踊らない。踊らないと燃えない。


男 見たか!穴一致だろ!隠蔽だ!

レイナ 0。

男 0って何だ!

レイナ 説明しない。

ミナ 理由なし。

フィン はい終了。次の角行け。


男は怒鳴り続けるが、周りが止まらない。

子供便が数字だけ言って抜ける。空箱が三つ、淡々と流れる。止まらない流れの中の怒鳴り声は、ただの音だ。音は燃えない。

止まって見えるのは男だけ。止まった方が負ける。雑は距離で死ぬ。


そこへ帳面役の息が来る。紙束。署名。公開。安全。

今日は補修班に三連を移すのを餌にしたい。勝手に作業が増えた、危険だ、説明しろ、公開だ。椅子セットを揃える。


相手 補修班に新しい仕事を押し付けた!危険だ!公開説明を、

フィン 公開って言った瞬間、椅子。ここ椅子ない。

相手 皆のために!

レイナ 皆のためは椅子。却下。

ミナ 紙は凍結送り。


紙束は受け取られて、読まれず、既存の凍結送りへ。箱は増えない。口も増えない。

相手は叫ぶが、叫ぶ場所がない。ユハが幅を殺している。流れが止まらない。

説明の足場がないと、正義の椅子は立たない。


相手 危険の根拠を、

ミナ 理由なし。

レイナ 番号のみ。

フィン はい終了。次の角行け。


ほのぼのは、補修班側に移る瞬間に出る。

夕方前、補修班工房へ一度だけ行った。外変化は0。入口の暗さも、灯りの使い方も、口の短さも持ち込まない。持ち込むのは形だけ。空箱三つだけ。


補修班頭 お前ら、今日は何だ。

空箱便、三箱固定。番号だけ。

補修班頭 空箱?

レイナ 空箱。止まらない。

補修班の若いの 1、2、3ってやつです。3は運ぶだけ。

補修班頭 ……運ぶだけって何だ。

レイナ 開けない。

ミナ 紙。

紙を箱の縁に置く。手渡しにしない。置いて取らせる。

補修班頭が読む。理由がない。だから長引かない。


補修班頭 番号のみ、開封禁止。

レイナ はい。終わり。

補修班頭 ……分かった。やる。


工房の中で、補修班の若いのが空箱を抱えて走りかけた。

頭が咳払いする前に、ユハが一歩だけ位置を変える。通路幅が細くなる。走るとぶつかる幅。ぶつかると損。損だと走らない。叱らないで止まる。


補修班の若いの あ、速歩きで。

フィン お前、飲み込み早すぎ。

補修班の若いの 止まると作業増えるんで。

レイナ 正解。


空箱三つが、工房の中を一周して戻る。

誰も説明しないのに、番号だけが残る。番号だけなら口が増えない。口が増えなければ燃えない。

補修班の作業が早く終わる。終われば帰る。帰れば噂が育たない。


夕方。ブラントが市場から戻る。噂の内容は持ち帰らない。形だけ。

今日は二つの形が動いていた。補修班に箱が回り始めた、という形。穴一致の札を無視した、という形。どちらも椅子を立てる材料になりやすい。


ブラント 補修班が箱を回すって話が回りかけました。

レイナ 回させる。飽きさせる。

ミナ 条件は紙一枚。理由なし。

フィン 外は理由好きだからな。

レイナ 理由は渡さない。番号だけ。

ブラント 穴一致の札を弾いた件も来てました。

レイナ 0。凍結。説明なし。

ブラント はい。0で止めました。分類ができないから座れません。


領主へは数字だけ。短く。

板の盾を立てるのは領主の仕事。噂が嫌いな人間は数字で切る。


領主 補修班の工房で箱が回り始めたと聞いた。

ブラント 空箱便を三箱固定で移しました。番号のみです。

領主 よろしい。余計な口を増やすな。噂は嫌いだ。

レイナ 増やさない。

領主 穴の件は?

ゼフ 対象外。0。凍結。

領主 説明するな。数字だけ残せ。

ミナ はい。


夜。灯りは二基。低く地味に足元だけ。入口は照らさない。外変化0。

今夜は許可を増やさない。話題を増やすと椅子が増える。椅子は燃える。

代わりに、補修班工房の三連が回っているか、返却の数だけ確認する。確認は箱で終わらせる。止まらない。


補修班の若いのが夜便の返却に合わせて、空箱三つを落とし口に落としていった。

言葉はない。数字だけが動く。

止まらないから、見せ場にならない。見せ場にならないから、外は掴めない。


翌朝。返却棚はいつも通り。落とし口は一つ。向きは流れに向く。止まらない。

補修班工房からの返りも、数が揃っていた。三つ。番号だけ。

穴偽装の札は凍結の中で寝ている。外に出ない。説明も出ない。

外はまた雑になる。雑は距離で死ぬ。こちらは追わない。捕まえない。燃やさない。


フィン 三連、向こうに移したの効きそうだな。

ミナ 止まる場所が減る。

ゼフ 穴の真似は雑になる。

ユハは無言で入口の暗がりへ戻る。止まりは今日も死んでいる。

レイナ 次も一つだけ。外変化0。


俺は板に一行だけ残した。

補修班工房へ空箱便3連を移植し、穴偽装は0凍結で説明せず潰して止まりを増やさなかった。

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