表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
現代の効率厨、異世界で生産と経営を回して気づいたら領主の右腕  作者: てへろっぱ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

86/112

第86話 落下は対象外

インフルで寝込んでる間に投稿も止まる中ブックマークをして頂いて感謝です。


朝。入口は暗いまま。箱壁も返却棚も灯りも触らない。外変化0。

返却棚に落ちていた箱を数える。札穴、番号、向き。遅延はない。対象外もない。静かだ。

ただ、空が低い。石畳が湿ってる。雨は椅子を生やす。危険だの注意だのの言葉が勝手に集まるからだ。言葉が集まる前に、条件だけ刺す。


レイナ 落下。固定。

フィン 落下?今日なんかあるのか。

レイナ 雨。足元。無茶が来る。

ミナ 紙一枚?

レイナ 一枚。理由なし。

ゼフ 箱は増やさない。

ユハは入口側に立つ。立ち位置だけで幅を殺す。止まれる場所を消す。覗きが寄れる角度を潰す。


落ちた箱をどう扱うか。

ここで揉めると燃える。誰が悪い、危険だ、点検だ、公開だ。椅子セットが完成する。

だから落下は対象外。開けない。触らない。凍結送り。数だけ残す。次便は同番号で再送。説明は無し。謝罪も無し。怒鳴りも無し。終わりだけ残す。


ミナが紙を一枚だけ置いた。短い条件文。理由は書かない。


落下箱 対象外(凍結) 同番号で再送 開封禁止


ミナ これで終わり。

レイナ 終わり。

フィン 冷たすぎて逆に強い。

ブラント 外に出る言葉が減ります。事故報告とか、安全掲示とか。

レイナ 掲示しない。外変化0。


ゼフが穴札の束から小札を一枚だけ出す。落下の札じゃない。言葉が踊るから。番号札だけ。

落下した箱は、番号があっても対象外に落ちる。番号があるから再送ができる。言葉がなくても回る。


ゼフ 予備、同じ箱。内側。

レイナ 見せない。入れ替えるだけ。

フィン 予備があるの、前からって顔でやれよ。

レイナ 前から。外に見せない。


昼。動かさない日を混ぜる。棚の前で作業をしない。入口で喋らない。窓口は短く。同文で終わらせる。

空箱便は今日も三つ。番号だけ。1、2、3。三番は運搬だけ。開けない。運ぶだけ。


子供 今日も三つ!

ミナ 三つ。番号だけ。

子供 いち!に!さん!

フィン 雨でも元気だな。

レイナ 走るな。滑る。

子供 じゃあ、速歩き!

ミナ えらい。終わりが早いと燃えないよ。

子供 終わり!


ユハが角を一つ選ぶ。いつも通り、止まらない角。灯りの当たらない角。覗きが学べない角。

だが今日は湿っている。足が滑りやすい。相手はそこに乗る。事故を作って言葉を集める。集めた言葉で椅子を立てる。


嫌な予感は、だいたい当たる。

左肩が擦れた男が来た。薄い顔で、手だけが雑。今日は早い。雨の日は焦る。雨は正義の顔が作りやすいからだ。


男 おい、危ねえぞ。今日みたいな日は照らせ。

フィン 足元は照らしてる。入口は照らさない。終わり。

男 終わりじゃねえ!滑ったらどうすんだ!

レイナ 滑ったら対象外。

男 ……は?

ミナ 紙。

ミナが紙を箱の縁に置く。手渡しにしない。置いて、取らせる。止まりを作らない。

男が紙を見た。理由がない。だから議論が始められない。始められないと燃えない。


男 落下箱、対象外…同番号で再送…?

レイナ はい。

男 ふざけるな!危険を、

レイナ 却下。理由なし。

ユハが一歩だけずらす。返却棚の前の幅が死ぬ。男は立ち話を続けられない。続けるほど自分が浮く。


男は、紙で椅子が立たないと分かると、現場で作る。

子供の進路に、わざと足を出した。軽い無茶。転ばせるほどじゃない、という顔。転びかけた瞬間に大声を出して、観客を集めるやつ。


子供 うわっ…!

箱が一つ、滑って落ちた。音が小さく響く。

そこで燃えるか、燃えないで終わるか。勝負は一秒。


レイナ 触るな。対象外。

ゼフ 対象外。

ミナ 数だけ。

フィン はい終わり。次。


誰も怒鳴らない。子供を叱らない。叱ると燃える。

ゼフは箱を起こさない。整列しない。丁寧に扱うと見せ場になる。見せ場は餌。

箱はそのまま流れの外へ押し出され、凍結送りの既存箱へ落ちる。増やさない。名付けない。掲示しない。

ユハは立ち位置で男と子供の間を切る。触れない距離。捕まえない距離。燃えない距離。


男 見たか!危険だろ!公開点検を、

フィン 公開って言った瞬間、椅子。ここ椅子ない。

男 子供が危ねえ!

レイナ 子供は無事。箱は対象外。終わり。

男 責任者を、

ミナ 理由なし。

レイナ 同文。終わり。


男はさらに声を上げようとしたが、声を上げる場所がない。

子供便が動いたままだからだ。止まらない。止まれない。流れの中の叫びは、ただの音になる。音は燃えない。


子供 落ちた…。

ミナ いいよ。落としたら終わり。次。

子供 次!

フィン ほら。叱らないと、燃えない。

レイナ 予備。3番、続行。

ゼフが内側の棚から同じ箱を一つだけ出す。外は同じ。札穴も同じ。番号も同じ。

差し替える動作は早い。早いほど見せ場にならない。見せ場にならないほど燃えない。


子供 3ばん、もっかい運ぶだけ!

ミナ 運ぶだけ。終わり。

子供 終わり!


そこへ帳面役の息が寄ってくる。紙束。署名。公開。安全。今日は最高の餌だ。落下。危険。子供。責任。全部そろってる。

でも、餌はもう凍結送りに落ちている。燃やす材料が手元にない。


相手 事故だ!公開説明を、

フィン 公開って言った瞬間、椅子。ここ椅子ない。

相手 皆のために!

レイナ 皆のためは椅子。却下。

ミナ 紙は凍結送り。


紙束は受け取られて、読まれず、既存の凍結送りへ。箱は増やさない。口も増やさない。

相手は叫ぶ。叫んでも、立ち止まる人がいない。ユハが幅を殺してる。子供が走って終わらせてる。終わりが早いと、燃える時間がない。


相手 落下の原因を、

ミナ 聞かない。

レイナ 聞かない形。

フィン はい終了。次の角行け。


左肩の男は最後にもう一度だけ、雑な無茶を重ねた。

落ちた箱の近くに、穴が合うように見える札を落として、拾わせて混ぜを作る。事故に混ぜを足せば、説明の口が増えると思ってる。


ゼフが一瞥する。

ゼフ 違う。

レイナ 対象外。凍結。

ミナ 数だけ。


拾わない。止まらない。流れの外へ押し出す。既存の凍結送り箱へ落とす。

男の無茶は、材料にならない。材料にならないと燃えない。燃えないと、ただの雑になる。雑は距離で死ぬ。


夕方。ブラントが市場から戻る。噂の内容は持ち帰らない。形だけ。

今日は落下の話が膨らみかけていた。危険、隠蔽、公開、点検。椅子セットは作りやすい。雨の日は特に。


ブラント 落下の噂が回りかけました。

レイナ 数だけ。

ミナ 条件は紙一枚。理由なし。

フィン 外は原因探し大好きだからな。

レイナ 探させる。板にないなら盾にならない。

ブラント 落下1、対象外1、再送1。そこまでで止めました。それ以上の言葉は渡してません。


領主へは数字だけ。短く。

板の数字は盾になる。噂が嫌いな人間は数字で切る。


領主 落下があったと聞いた。

ブラント 落下一。条件通り対象外。再送一。

領主 理由で揉めるな。事故を見せ場にするな。噂は嫌いだ。

レイナ 見せ場にしてない。

領主 よろしい。外は変えるな。

ミナ 外変化0。


夜。灯りは二基。低く地味に足元だけ。入口は照らさない。外変化0。

油の払い出しは番号一致。返却も番号一致。異常なし。

今夜は許可を増やさない。話題を増やすと椅子が増える。椅子は燃える。

代わりに、落下対応の再送を一回だけ通す。昼と同じ。特別扱いしない。特別扱いは見せ場になる。


レイナ 再送。1回。番号だけ。

ミナ 紙はもうある。

ゼフ 箱は同じ。

ユハが先に歩く。角の幅を殺す。立ち話が生える角は通らない。

止まらずに置く。札穴を見る。合う。受け取る。終わり。


補修班頭 今日は何かあったか。

再送一。番号だけ。

補修班頭 ……分かった。

レイナ 終わり。戻る。


翌朝。返却棚はいつも通り。落とし口は一つ。向きは流れに向く。止まらない。

雨はまだ残ってる。でも燃える言葉は残ってない。落下は条件で死んだ。原因は聞かれない。聞かれないから椅子が立たない。

左肩の男は薄い足音だけ残して消えた。追わない。捕まえない。距離で終わらせる。


フィン 落ちたのに燃えなかったな。

ミナ 聞かない形にしたから。

ゼフ 合う箱だけ戻った。

ユハは無言で入口の暗がりへ戻る。止まりは今日も死んでいる。

レイナ 次も一つだけ。外変化0。


俺は板に一行だけ残した。

落下1/対象外(凍結)1/再送1で処理し、原因を聞かせず見せ場を作らせなかった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ