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現代の効率厨、異世界で生産と経営を回して気づいたら領主の右腕  作者: てへろっぱ


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第76話 内張り二段目、外に見せず中だけ硬くする

朝、工房の入口を外から見る。暗い。足元だけぼんやり。止まれない。覗けない。覗けない場所は噂が座れない。座れないなら、進める日が作れる。今日は進む日。進捗は一つ。内張り二段目。やる場所は中、作業台側だけ。外観は変えない。音も出さない。見せない。覗きを生かさない。

レイナ、今日の段取り

内張り二段目。作業台側のみ。外観変化ゼロ。入口は閉めたまま。資材は番号払い出し、残材返却。切断はしない。穴は事前。打音は布で吸う

了解

外に見せるな。外が気づけば観察が生きる。今日は中だけ強くする

了解


フィンが欠伸しながら言う。

進捗一つって言われると、逆に燃えるな。今日はやる日だって感じする

燃えるのは中で。外は燃やさない

ミナが帳面を抱えて頷く。

外に出る言葉を増やさない、ですね。内張りの話は窓口に出さない

ゼフが木札束を揃える。

内張り二段目、払い出し札。番号は短く。戻し札も作る

ユハが短く言う。

入口、閉める


まず固定。灯り点検と返却棚はいつも通り。変えると観察が生きる。進む日は、進む所以外は固定する。

ミナが板(1行ログ)の枠を置く。

時刻 灯り点検 一致2 異常0/1

時刻 返却棚 遅延札数 対象外数

時刻 内張り二段目 払い出し数 残材返却数

灯りは一致2、異常0。返却棚は遅延札3、対象外0。数だけ入れて終わり。今日は棚の混ぜを拾わない日じゃないが、拾って騒ぐ日は作らない。拾っても数だけ。外に言葉は出さない。

時刻 灯り点検 一致2 異常0

時刻 返却棚 遅延札3 対象外0


窓口は通常運転のまま。今日は工房の中が本番なので、外は短く回す。フィンが空箱導線を同じ角度で置く。ミナは同文を貼ったまま。ユハは流れの位置に立つ。ゼフは棚の札を揃える。ブラントは外の口を吸いに出る。

ブラント、今日は外どうする

値の口は痩せてるが、変化を嗅ぎに来る。だから余計な話を増やさず、問い合わせは全部窓口に戻す。外で吸って、内には入れない

レイナが短く言う。

外の口は吸うな。窓口へ戻せ。吸うと話題が増える

いや、吸うって言っても吸い込んで捨てる方の

言葉遊びをするな。燃える

ブラントが笑って頷く。

了解、燃やさない


工房の中へ。鍵二つ。内側で閉める。入口は閉めたまま作業できるように段取りしてある。ここが二段目の肝。入口を開ける回数が増えると、覗きが生きる。覗きは燃える。だから最初から運び込みは朝一回、後は中で完結。

ゼフが言う。

内張り板、用途パックで出す。作業台側二段目。番号札はこれ

短い木札に穴が一つ。穴一つが二段目。穴二つが一段目。穴なしが通常。穴で分けると口が減る。口が減ると燃えない。

ミナが淡々と言う。

払い出しは数だけ板に残します。板の番号は書きません

番号を書くと狙われる

レイナが短く言う。

番号は現物のみ。板には数だけ。盗む側に学習させるな

了解


払い出し。内張り二段目用の板を四枚。枠材二本。釘は使わない。釘は音が出る。音は外に漏れる。漏れると覗きが生きる。今日は打たない。事前に開けた穴に木栓で留める。木栓は押し込むだけ。押し込む音は布で吸える。

フィンが箱を抱えて言う。

道具箱、これ。布も入れた。打音吸いセット

よし。箱(導線)が中でも勝つ

ミナが板に一行。

時刻 内張り二段目 払い出し4 残材返却0


作業台側の壁へ。二段目は一段目の上にさらに内側へ薄い板を重ねる。狙いは二つ。視線の抜けを殺す、音の抜けを殺す。外に見せないための内張りだ。内側が落ち着けば、作業も早くなる。早いと外に時間が漏れない。漏れないと噂が座れない。

レイナが短く言う。

一段目は視線。二段目は音。音が減ると外の口が減る

了解


ユハが板を支え、ゼフが木栓を押す。フィンが布で押し音を受ける。ミナは作業台の上で寸法を指で示すだけ。言葉を増やさない。言葉が増えると、口にしたくなる。口にすると窓口で漏れる。漏れると燃える。だから指で済ませる。

フィンが小声で言う。

これ、地味だけど、めっちゃ静かだな

静かは強い

ミナが頷く。

静かだと、工房が話題になりません

話題にならない工房が一番の拠点


二枚付けたところで外がざわつく音。窓口の方から強い声が一回だけ飛ぶ。すぐ止まる。ユハが耳だけ動かす。だが工房の中は止めない。止めると焦りが伝わる。焦りは匂いになる。匂いは嗅がれる。嗅がれると燃える。外は外で回っている。中は中で進める。

レイナが短く言う。

止めるな。外の口は外で処理する。中は進めろ

了解


三枚目を付ける。木栓を押し込む。布で受ける。打たない。切らない。静か。二段目が重なると、作業台側の壁の響きが変わる。音が吸われる。工房の中が少し落ち着く。落ち着くと人の動きが柔らかくなる。柔らかい動きは音が出ない。音が出ないと覗きが生きない。良い循環。

ゼフが言う。

音、減った

フィンが笑う。

なんか、秘密基地っぽい

秘密って言うな。秘密は噂を呼ぶ

ミナが即座に言う。

作業効率の改善、でお願いします

フィンが肩をすくめる。

はいはい、効率基地


四枚目を付け終わる。作業台側の二段目が閉じた。残材は少ない。残材が少ないほど燃えない。余りが増えると「何かある」が生まれる。「何かある」は噂の椅子になる。椅子は燃える。余りは返す。返却で燃えない。

ミナが板に一行。

時刻 内張り二段目 払い出し4 残材返却2

ゼフが残材二枚を束ねて返却棚の内側へ戻す。番号札も戻す。戻すだけ。残材の説明はしない。説明は燃える。


ここで工房の中の小さなほのぼの。フィンが作業台の端に小箱を置く。

これさ、木栓入れ。散らかると踏んで音出るだろ

小箱は増やすなって言われたばかりじゃ

外の導線に小箱は増やさない。中の作業台は例外。だが例外は一つだけ

レイナが短く言う。

小箱は一つだけ。増やすな。増えたら管理が燃える

了解、木栓箱一つだけ


ミナが帳面を閉じて小さく息を吐く。

作業台側が静かになりました。話し声も外に漏れにくいです

それが狙い

ユハが短く言う。

良い


鍵を開けずに中から窓口の様子を確認することはできない。だが外の声の質で分かる。今日は覗きが増えてない。増えてないから進捗が燃えてない。進捗が燃えないのは珍しい。珍しいほど価値がある。


外へ出るのは一回だけ。入口を開ける時間を短くする。短くするために、出る目的も一つだけ。中の作業完了報告の板一行を窓口ではなく領主へ届ける。窓口に出すと噂が座る。領主は数字で握る。数字は燃えない。だから板一行だけ持って行く。

レイナ、領主に出す文

短く。内張り二段目完了。外観変化なし。音漏れ減。数字だけ

了解


ミナが板(1行ログ)から切り出した小板に、短く書く。

内張り二段目(作業台側)完了 外観変化なし

これで十分。理由は言わない。理由を言うと、理由に噂が座る。座らせない。


領主のところへ。ブラントが同行。領主は板を見て頷く。

外観変化なし、は良い。噂は変化に座るからな

はい

領主が言う。

音漏れが減るなら、夜の口も痩せる。面倒が減る

面倒は減らします

領主が短く言う。

次の進捗は何だ

ここで次を言いすぎると覗きが生きる。領主には必要最低限だけ。日程も言わない。

二段目をもう一面検討です。ですが空振りを挟みます

領主が頷く。

空振りは好きだ


戻る途中、ブラントが小声で言う。

外が少し騒いでた。提案紙の続きだ。署名集めが窓口前で始まりそうになった

始まりそう、で止まったなら、箱と同文が効いた

ブラントが頷く。

フィンが軽口で潰した。ユハが流れを崩さず、ミナが署名しないを同文で返してた。紙は拾われて受付箱へ入った

凍結箱へ入れたなら、紙は死ぬ

レイナが短く言う。

紙は箱で殺す。署名は椅子だ。椅子を立てるな

了解


窓口へ戻ると、まさにその場面の後。紙を抱えた女が不満そうに去っていく。去っていくなら勝ち。追わない。距離。

フィンが言う。

あぶねえな。署名集め、マジで椅子になる

椅子は立てさせない。立てたがるなら床を滑らかにする。箱で流す

ミナが淡々と言う。

持ち込み紙は凍結箱へ入れました。内容は見ていません

見ないのが正解

ユハが短く言う。

見ない


ここで左肩の擦れた男が来る。久しぶりに顔が見えた。焦ってる。焦りは雑。雑は拾いやすい。だが拾うのは板で、捕まえない。燃やさず距離で終わらせる。

男が窓口で言う。

工房、今うるさかったな。何してた

補修依頼は窓口で受付

答えろ

補修依頼は窓口で受付

同文で吸う。質問に答えない。答えると覗きが生きる。覗きが生きると燃える。

男が言う。

領主に言う。危険作業だ。夜も灯りも危ない。棚も邪魔。全部危ない

危ない、を束ねて燃やす気だ。束ねると大きな椅子になる。椅子を立てさせないために、束ねを分解しない。分解すると議論が増える。増えると燃える。だから束ねは運用で終わらせる。

運用です

男が言う。

運用運用って、逃げだろ

逃げじゃない。終点だ。終点があると燃えない。

レイナが短く言う。

終点を維持。相手の燃料を受け取るな。距離

了解


男が一歩寄る。寄っても触れない。触れさせないのが箱導線とユハの位置。ユハは塞がない。ただ、寄ると邪魔になる場所に立つ。邪魔になると男は止まれない。止まれないと椅子が立たない。

男が言う。

お前ら、隠してるんだろ。板を溜めてる

板材は販売しない

売れって言ってんじゃない、見せろって言ってんだ

見せません

短い。終わり。これ以上は増やさない。

フィンが軽口で言う。

見せるのは選ぶ。お前は選ばれてない

男が舌打ちする。舌打ちが空振りの音。空振りが積もってる。積もれば離れる。離れれば距離で終わる。


男は最後の無茶に行く。無茶は雑。雑は拾える。だが拾い方は板と箱で、燃やさない。

男が声を張る。

この灯り、油が漏れたら火が出るぞ。危ないぞ

火、という言葉を出して火種にしたい。だがこちらは火を出さない運用で回している。油は番号返却で管理。灯りは足元のみ。倒れない。触れない。ここで反論すると舞台。舞台にしないために、数だけの盾を出す。叫ばない。板を指すだけ。

ミナが板を指す。

油は払い出しと返却で数が一致しています

男が言う。

そんな板、嘘だ

嘘だと叫ばれても、こちらは短い。嘘かどうかは領主が数字で判断する。領主の土俵に投げる。距離。

どうぞ領主へ

男が一瞬止まる。止まったが、箱導線があるから止まり続けられない。人が流れてくる。邪魔になる。邪魔になると押し出される。押し出されると舞台が崩れる。

ユハが短く言う。

流れ

男は押し出されるように去る。去ったなら終わり。追わない。捕まえない。燃やさず距離で終わる。


夕方、受領と返却。今日は内張り二段目をやった日だが、外の形は変えてない。返却棚も灯りも同じ。変えないほど観察は空振りする。夕方に舞台が立たない。

ミナが板に数だけ。

時刻 窓口 同文9

同文が減った。減ったのは空気が軽い証拠。空気が軽いと質問が減る。質問が減ると燃えない。


油払い出し。瓶2。番号一致。板に数だけ。

時刻 油払い出し 瓶2 一致

灯り点検。異常0。板に一行。

時刻 灯り点検 一致2 異常0

油返却。瓶2一致。板に一行。

時刻 油返却 瓶2 一致

返却棚。遅延札3のまま。対象外1。板に一行。

時刻 返却棚 遅延札3 対象外1

対象外は穴不一致。混ぜだろうが、内容を言わない。数だけ。数だけで殺す。


夜、工房の中で少しだけ息をつく。二段目が付いた作業台側は、確かに音が吸われる。話し声も柔らかい。柔らかい声は外に漏れない。外に漏れないなら、拠点は拠点のまま育つ。育てるのは燃えない形で。紙と板と箱で。

フィンが小声で言う。

なんかさ、今日の工房、落ち着くな。静か

静かは強い

ミナが頷く。

静かだと、言葉が減ります。言葉が減ると噂が減ります

ゼフが言う。

板、余り少ない。良い

ユハが短く言う。

外、見てない

見てないのが勝ち


レイナが短く言う。

二段目完了。だが見せてないのが本当の成果。次は動かさない日で馴染ませろ。提案紙は凍結箱で腐らせる。腐ったら数だけ残して捨てろ。次の進捗は二段目の別面じゃない。補修班工房に作業台側パックを試験で渡せ。外の口を別の餌に追い出す

了解

補修班に?

試験。数で許可を広げる。噂じゃなく数字で広げる。燃えない

了解


最後に板へ一行だけ残す。今日の進捗は一つ。内張り二段目。外観変化なし。残材返却。これで十分。

時刻 内張り二段目(作業台側)完了 外観変化0 残材返却2


俺は心の中でだけ笑った。燃やさないまま、また一段硬くなった。相手は見てない。見てないなら、観察は腐る。腐った観察は次の無茶を雑にする。雑なら板で拾える。拾っても燃やさない。距離で終わらせる。

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