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現代の効率厨、異世界で生産と経営を回して気づいたら領主の右腕  作者: てへろっぱ


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75/112

第75話 同じ形は腐らない、腐るのは観察の方

朝、返却棚を見る。流れの中に口が向いてる。箱壁も固定。遅延札は三のまま。増えてない。減ってない。減ってないのが良い日もある。減らそうと手を入れたくなるのが人間の癖だ。癖は燃える。今日は動かさない日。空振りを積む日。進捗ゼロで勝つ日。

レイナ、今日

動かさない日。進捗ゼロ。位置固定。言葉固定。板は数だけ。対象外は数だけ。拾うな

了解

同じ形で回せ。変化を見せるな。観察を腐らせろ

了解


フィンが欠伸しながら言う。

進捗ゼロって、やっぱ落ち着かねえ

落ち着かないのが効く。相手も同じ

ミナが帳面を抱えて頷く。

落ち着かない日に何か増やすと、噂が座ります。だから増やしません

ゼフが木札束を揃える。

札、減らす日

ユハが短く言う。

回すだけ


動かさない日は、やることが無いんじゃない。やることを増やさない。増やさないために、いつも通りを短く回す。灯り点検、油の扱い、返却棚の数、窓口の同文、出口一回。全部同じ。全部短い。全部数。

ミナが板(1行ログ)の枠を置く。

時刻 灯り点検 一致2 異常0/1

時刻 返却棚 遅延札数 対象外数

時刻 窓口 同文回数

時刻 出口 端材束数

枠を先に置くと、余計なことができない。余計なことは燃える。枠があると燃えない。


灯り点検。昨日と同じ。二基一致。異常なし。板に数だけ。

時刻 灯り点検 一致2 異常0

終わり。終わりが早いほど燃えない。


窓口へ。板材は販売しない。補修依頼は窓口で受付。受領と返却は夕方のみ。三行は昨日と同じ。角で止まらないために空箱導線も昨日と同じ位置。箱が動くと観察が生きる。生かさない。

フィンが空箱を置きながら言う。

今日、箱の角度まで一緒にしとくわ

角度も大事。角度で人の足が止まる

ミナが淡々と言う。

止まった瞬間に紙が増えます

ゼフが言う。

紙、増やさない

ユハが短く言う。

流れ


午前、来る。昨日からの値の口の残り、帳面役の息、左肩の擦れた男の影。影は薄いが、まだいる。まだいるなら空振りを積む価値がある。相手は今日の変化を探しに来る。変化が無ければイラつく。イラつけば雑になる。雑は拾いやすい。だが今日は拾わない。拾う日を固定する。固定が燃えない。

レイナが短く言う。

拾うな。見ても、数だけ

了解


最初の口が窓口で言う。

昨日の返却棚、邪魔だ。戻せ

運用です

誰が決めた

運用です

説明を増やさない。誰が決めたに答えると燃える。権威で押すと噂が座る。だから運用で終わり。

フィンが軽口を足す。

邪魔なら流れろ。止まるな

相手が舌打ちして流れる。流れたら勝ち。


次の口が言う。

灯り、暗い。もっと明るくしろ

足元のみです

暗いと危ないだろ

走らなければ大丈夫です

ここも説明を増やさない。危ないと言われたら、危ない理由を話し始めた瞬間に舞台になる。舞台にしない。

ミナが淡々と同文を返す。

灯りは足元のみです

相手が言う。

子供が転ぶぞ

子供便は走りません

子供の安全を盾にされるのが一番燃える。燃えやすいからこそ、言葉を増やさない。安全を語り始めると終わらない。終わらないと椅子が立つ。椅子が立つと噂が座る。座らせないために同文。事実だけ短く。子供便は走らない。それだけ。


ここで子供便が通る。空箱だけ。板は触らない。一行が効いてる。

空箱通りまーす

走るなよ

走らない。損するから

子供が勝手に損で自制する。叱らない運用が勝つ。叱ると反発が燃料になる。燃料を渡さない。


返却棚の前でも試しが来る。今日は棚の向きが変化として残ってる。相手はそこに触りたい。触りたいのは止まりを作るためだ。止まりができると、人が集まって、返却が遅れて、遅延札が増えて、噂の椅子が立つ。立てさせない。

知らない顔が箱壁を指で押す。ほんの少しずれる。ずれると寄りかかれる。寄りかかれたら終わり。

ユハが無言で戻す。無言が強い。口を与えない。口を与えないと燃えない。

知らない顔が言う。

触ったらいけねえのか

運用です

ミナの一言だけ。運用の一言で終わる。議論にしない。


次は混ぜ。混ぜは相手の得意手。混ぜるとこちらが慌てる。慌てると口が増える。口が増えると燃える。燃やさないために、混ぜは棚で見つけて、対象外で落として、数だけ板に残す。

ゼフが棚の中段で指を止める。

穴が違う。ここは穴二つの段

ミナが即答する。

対象外

レイナが短く言う。

反応するな。落とせ。数だけ

了解

ゼフが短い札を付ける。

穴不一致 対象外

板回収箱へ落とす。誰が持ってきたかを見ない。見れば追いかけっこが始まる。追いかけっこは燃える。燃えないために、見ない。数だけ。

ミナが板に入れる。

時刻 返却棚 遅延札3 対象外1

終わり。混ぜの内容も段の穴も書かない。書くと次はそこだけ偽装する。偽装が進むとこちらが疲れる。疲れると燃える。燃えないために情報を与えない。


窓口も同じ。相手が質問を増やすほど、こちらは同文を繰り返す。同文が何回出たかだけ板に数で残す。数を残すと、こちらの言葉が増えていない証拠になる。証拠があると領主が数字で守ってくれる。数字は燃えない盾。

午前中、同文が何回出たか。ミナが指で数える。十回。多いが、同文だから燃えない。

ミナが板に入れる。

時刻 窓口 同文10

フィンが笑う。

同文10って、なんか強そうだな

強い。相手の言葉が10増えて、こちらが0増えたって意味だ

ミナが淡々と言う。

相手の燃料だけ減ります


昼、ブラントが戻ってくる。外の口を吸ってきた顔。今日の動きが無いのを見て、相手が苛ついてるのが分かる顔。

市場側、今日は空振りだって苛ついてる。灯りも返却棚も、変化が無いから攻めにくいらしい

攻めにくいのが正しい。攻めにくいと雑になる

ブラントが言う。

雑になり始めてる。帳面役が変な紙を配り始めた。安全改善提案ってやつ。灯りを増やせ、棚を戻せ、工房を見せろ、って全部まとめた紙

提案書で椅子を立てる。署名で椅子を固定する。固定された椅子は燃える。燃やさないために、紙を舞台にしない。紙に反応しない。反応すると、紙が正当な議題になる。議題は燃える。だから扱わない。

レイナが短く言う。

提案紙は無視。窓口に持ち込ませるな。持ち込まれたら凍結箱へ入れて数だけ。返事は同文

了解

ただし今日、凍結の進捗は無しだ。凍結箱を開ける日じゃない。だが持ち込まれた紙をどうするかは運用。既にある箱へ入れて放置なら増えてない。増えてない範囲でやる。箱を増やさない。紙を増やさない。言葉も増やさない。


案の定、午後に来た。安全改善提案の紙を持った男。左肩の擦れた男ではないが、同じ匂い。紙を掲げて言う。

署名しろ。危ない。暗い。棚が邪魔。工房が隠れてる

署名が舞台。署名が椅子。椅子が燃える。だから署名しない。議論もしない。同文で終わらせる。

運用です

何の運用だよ。ここに書いてあるだろ

紙(条件)と板(1行ログ)と箱(導線)

フィンが言いそうになって、俺は視線で止める。説明は燃える。相手は説明を引き出したい。引き出して、紙に書き足して、議題を増やす。増やした議題が椅子になる。椅子が燃える。燃やさないために、言葉を増やさない。

ミナが淡々と言う。

署名はしません

理由は

運用です

同じ。短い。終わり。

男が苛つく。

領主に出すぞ

どうぞ

言った。どうぞ。これは挑発じゃなく距離。領主は数字で判断する。こちらは数字の板がある。相手が紙で燃やそうとしても、領主の前では燃えにくい。燃えにくい土俵に投げるのが距離。

ブラントが軽く言う。

領主は噂嫌いだからな。紙より板を好む

男が舌打ちして去る。去ったら勝ち。追わない。


ただ、紙は置いていく。置いていく紙が一番厄介だ。床に置かれると誰かが拾い、読んで、議題が広がる。広がれば椅子が増える。燃える。燃やさないために、紙は見つけた瞬間に箱へ入れて終わり。読むな。内容に反応するな。箱に入れて空振りを積む。

レイナが短く言う。

読むな。箱へ。数だけ

了解

ユハが無言で拾って、窓口の受付箱へ入れる。受付箱は既存。新しくない。増えてない。運用の範囲。

ミナが板に数だけ入れる。

時刻 窓口 持ち込み紙1 凍結箱送り

詳しく書かない。持ち込み紙の内容は書かない。書けば相手が喜ぶ。


相手は次に、見せろに行く。見せろは最も燃える。見せれば覗きが生きる。覗きが生きれば燃える。燃やさないために見せない。理由も言わない。

知らない顔が工房の入口に寄って言う。

棚、見せろ。内張り板、見せろ

見せません

何で

見せません

同文。ここで一度でも理由を言うと、理由に反論が生まれる。反論が議論になり、議論が椅子になる。椅子は燃える。だから見せませんだけ。

フィンが軽口で足す。

見せる店は見せる客を選ぶんだよ。お前は選ばれてない

軽口がギリ。長い煽りは燃える。短い一撃で流れを作って終わり。

ユハが短く言う。

流れ

流れで終わる。相手が立ち止まれない場所に戻す。箱壁。灯り。返却棚。全部が止まりを殺してるから、口は座れない。


そして一番燃えやすいのが、事故の匂い。今日の新しい攻めは、灯りの油を盗まれたことにする噂を流すこと。油は火種。火種が無くなったと言われると人は不安になる。不安は燃える。燃やさないために、油は数で守る。払い出し2、返却2。板で守る。板が世界の勝ち筋。

夕方前、窓口で女が言う。

油、盗まれたらしいよ。危ないよ

油の払い出しは夕方のみです

だから夕方に盗むんでしょ

盗むという言葉に反応すると燃える。燃やさないために、事実の数だけ返す。数は板にある。板を見せるのは慎重だが、領主が数字好きなら、外には数を叫ばない。叫べば舞台。舞台にしないために、板は指すだけ。

ミナが板を指す。

数は板にあります

女が言う。

見せて

見せません

さっきは見せない、今は板にあるって、矛盾じゃない

矛盾に見せて議論を作りたい。議論は椅子。椅子は燃える。だから短く。

板は内部用です

内部用って何

運用です

同文。運用は便利な終点。終点があると燃えない。


夕方、受領と返却。ここで空振りの勝ちが確定する。相手は夕方に舞台を作ろうとする。だが返却棚は流れの中、箱壁で寄れない。窓口は同文、空箱導線で止まれない。出口は一回。灯りの油払い出しも夕方のみ、番号一致。全部固定。固定だと舞台が立たない。

フィンが言う。

夕方の溜まり、マジで消えたな。前なら角に三人は固まってた

固まらないなら噂は座れない

ミナが頷く。

固まらないと、紙も増えません。今日、受付紙も増えてません

増えてないのが勝ち


油払い出し。担当札。瓶2。番号一致。板に数だけ。

時刻 油払い出し 瓶2 一致

相手はこの瞬間に目を光らせる。番号を盗みたい。瓶を盗みたい。返却を遅らせたい。だが瓶は手持ちで歩かない。箱で運ぶ。箱は導線。導線は勝ち筋。

ゼフが瓶を箱に入れて運ぶ。運ぶだけ。余計な言葉無し。見物の口は入れない。

レイナが短く言う。

見せるな。運べ。止まるな

了解


返却棚の前で、最後の試し。箱壁をずらし、角に寄りかかり、立ち話を作ろうとする。だがユハが無言で戻す。戻すだけ。何度でも。何度でも戻すと、試す側が疲れる。疲れると雑になる。雑になると撤退する。

知らない顔が言う。

しつこいな

運用です

ミナが同文。しつこいと言われても同文。相手の感情は相手のもの。こちらは燃えない。


夜、灯りが点く。地味。足元だけ。角は止まれない。返却棚も夜便が回収して終わり。点検、数だけ。異常0。板に一行。

時刻 灯り点検 一致2 異常0

油返却、瓶2一致。板に一行。

時刻 油返却 瓶2 一致

返却棚、遅延札は三のまま、対象外は今日2。板に数だけ。

時刻 返却棚 遅延札3 対象外2

窓口同文回数は今日も多い。だが同文だから燃えてない。板に数だけ。

時刻 窓口 同文14

出口は一回、端材束数はいつも通り。板に数だけ。

時刻 出口 端材束1

数字が並ぶ。数字は静か。静かな板は燃えない。燃えないから強い。


最後に、領主がふらっと見に来た。珍しい。噂を嫌う人間は、噂が増えそうな夜に確認しに来る。確認しに来た時に静かなら、それが一番の説得だ。

領主が灯りを見て言う。

地味だな

地味が正しいです

返却棚を見て言う。

止まりが無い

止まりを殺してます

領主が板を見たがる。板は見せる相手を選ぶ。領主は数字の人。数字で守ってくれる。見せて良い。

ミナが板を差し出す。内容は数だけ。領主は数だけを読んで頷く。

同文14。対象外2。遅延3。油は払い出し2返却2。異常0

はい

領主が言う。

噂は増えていない。良い。増えると面倒だ

面倒は増やしません

領主が短く言う。

次は何をする

ここで次を言うと観察が生きる。相手が聞いてる可能性がある。だが領主には必要な範囲でだけ言う。短く。日程も曖昧に。余計な情報は渡さない。

内張り二段目を検討します。ですが空振りを積んでからです

領主が頷く。

空振りは好きだ。私は噂が嫌いだからな

了解


帰り道、フィンが笑う。

領主、空振り好きって言ったぞ。なんだそれ

数字の人は空振りが分かる。動かないで守るのが一番安い

ミナが頷く。

安いは燃えません。高いは燃えます

ゼフが言う。

安い、良い

ユハが短く言う。

静か

レイナが短く言う。

今日の勝ちは同文と数。相手の紙は箱で凍った。明日は進捗一つ。内張り二段目。だが入口は照らすな。覗きを生かすな。やるなら中だけ、作業台側から。外に音を出すな

了解


夜、工房の外から見る。入口は暗いまま。足元だけがぼんやり明るい。止まれない。覗けない。覗けないなら燃えない。燃えないなら進める。進むのは明日。今日は空振りを積んだ。相手の観察が腐った日。腐った観察は次の無茶を雑にする。雑なら板で拾える。拾っても燃やさない。距離で終わる。


俺は板に一行だけ残した。

動かさない日で同文と数だけを回し、提案紙は読まずに箱へ凍結、混ぜは対象外で数だけ残し、夕方も夜も固定で空振りを積んだ。観察が腐った。明日は内張り二段目を中だけ静かに進める。

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