第70話 値の口は外で吸う、棚で混ぜを殺す
朝、返却棚を見る。上段 今日返却が空いてる。中段 明日返却が整ってる。下段 遅延札が少ない。確認箱の口も増えてない。静か。静かな日は進捗が入る。進捗は一つだけ。今日は棚を増やす。内張り二段目に手を出したら、覗きは減るけど欲が増える。欲は燃える。だから棚。用途パックを棚に入れて、混ぜを殺す。混ぜは相手の次の手。次の手を先に潰すのが楽。
レイナ、今日
進捗一つ。用途パック棚を作る。炉/倉庫/作業台を分離。外は値で揺らす。値の口はブラントに吸わせる。現場は同文。混ぜは対象外
了解
棚は防御。防御は速度。速度は燃えない
了解
フィンが欠伸しながら言う。
棚って地味すぎて、話数タイトルにできるのか
できる。地味が勝つ回
ミナが帳面を抱えて頷く。
棚ができると、説明が減ります。どこから出したかが一目で分かります
ゼフが木札束を揃える。
札、三種類。穴で違う
ユハが短く言う。
分ける
工房へ。内張り一段目はちゃんと効いてる。外の光が減って、覗きの影が薄い。影が薄いと止まる口が減る。止まる口が減ると作業が早い。早いと音が少ない。音が少ないと覗きが寄らない。良い循環。
棚は枠の反対側、作業台の横に作る。ここにパックを置く。床に置くと混ぜられる。棚に入れると混ぜにくい。混ぜにくいと、相手が損する。損が積むとやめる。
ゼフが言う。
棚、三段。段ごとに穴違い札
穴違い札?
札自体に穴の位置を変える。目で分けるのは覚えゲー。覚えゲーは燃える。穴は手が勝つ
レイナが短く言う。
文字で分けるな。穴で分けろ。穴が違えば混ざらない
了解
棚の材料は端材。端材は束ね箱へ行く前に、役を持てる分がある。役を持てば燃えない。燃えない役を先に取ると、出口束数も増えない。増えないのが勝ち。
ゼフが薄板を切り出す。切る音は短く。何回も切らない。切り直しは音が増える。音は覗きを呼ぶ。
フィンが囁く。
棚作りって、地味に職人感あるな
地味に寄せる。派手にしない
ミナが言う。
派手にすると見学が増えます。見学が増えると口が増えます
棚の骨組みが立つ。三段。段の前に差し込み穴。そこに木札が刺さる。札は段の顔。顔が決まると迷いが減る。迷いが減ると手が止まらない。止まらないと燃えない。
ゼフが札を三つ刺す。
上段 穴一つ
中段 穴二つ
下段 穴三つ
ミナが即答で合わせる。
倉庫パックを穴一つ、作業台パックを穴二つ、炉パックを穴三つ、でいいですか
逆。炉が一つだと危ない。覗きが炉に寄る。寄ると燃える。炉は一番奥へ。倉庫は手前
レイナが短く言う。
倉庫が一つ。作業台が二つ。炉が三つ。炉は奥。覗きから遠い
了解
ミナが笑いそうになって我慢する。
穴の数で覗き対策、は初めて聞きました
初めてでも、燃えないなら採用
ここで外の気配。今までの止まりじゃない。ザワつき。値の匂い。市場が動くときのザワつき。ブラントが言ってたやつが来る。
フィンが耳を動かす。
なんか、外が市場みたいな音してる
ミナが窓口方向を見て言う。
板を買いたい、って人が増えました。内張り板を譲れ、って
来た。値で揺らす。板を売ると燃える。売ると買い占めが出る。買い占めが出ると不足が出る。不足が出ると不満が燃える。燃やさないために、売らない。だが断り方で燃える。断る口は燃える。燃やさないために、紙(条件)を短くする。板を売らないのは条件。条件で切れば口が減る。
レイナが短く言う。
売るな。売らないの三行。窓口に紙。繰り返しは同文。値の話はブラントへ
了解
ミナが窓口用の条件紙を一枚だけ作る。長くしない。三行。
板材は販売しない
補修依頼は窓口で受付
受領と返却は夕方のみ
受領と返却は夕方のみ、をここに書くか迷う。窓口の情報を増やすと燃える。でも今は値の口が来る日。夕方固定があると昼に粘られにくい。粘られにくいなら書く価値がある。書くなら三行以内。これで三行。OK。
窓口へ。人が三人止まりかけてる。止まると燃える。空箱導線で流す。昨日のやり方をそのまま。新しいことはしない。新しいことは燃える。やるのは同じ形。
フィンが空箱を一つ置く。窓口前に一直線の道。道ができると人は流れる。流れれば椅子が立たない。
男が言う。
板、売ってくれ。金は出す
板材は販売しない。補修依頼は窓口で受付
男が言う。
じゃあ補修依頼として板をくれ
補修依頼は窓口で受付。板は用途パックで許可制
許可制、まで言うと情報が増える。増えると燃える。だからそこで止める。
ミナが淡々と言う。
補修依頼は窓口で受付。必要ならこちらで加工します
加工。ここが逃げ道。売らない代わりにサービスにする。サービスは条件で燃えない。条件紙で吸える。
男が言う。
加工ならいくらだ
値の話。値は燃える。燃えないように外に投げる。ブラント。
値の話はブラントへ
フィンが軽く手で指す。
市場でやってる。そっち
男が舌打ちして流れる。流れたら勝ち。止まらないなら燃えない。
別の女が言う。
板が品薄になるって聞いた。今のうちに確保したい
品薄、って言葉で椅子を作りに来た。椅子に座らせない。座らせないには同文。
板材は販売しない。補修依頼は窓口で受付
女が言う。
隠してるだけでしょ
隠す、も燃える言葉。だが反応すると燃える。反応しないのが勝ち。
ミナが同文。
補修依頼は窓口で受付
女が止まりかける。止まりかけた瞬間、子供便が空箱を運んで通る。止まると負け。子供は止まらない。子供の流れで大人も流れる。流れれば椅子が立たない。
工房へ戻る。戻るのが正しい。値の口は外で吸わせる。俺は棚。棚を作れば混ぜが死ぬ。混ぜが死ねば、値の口も燃えにくい。値は不足を作れないと広がらない。不足を作らせない。
棚の段を仕上げる。段の内側に薄い当て木。板束が滑って落ちないようにする。落ちると床に置く。床に置くと混ぜられる。混ぜられると燃える。燃やさないために落ちない棚。
レイナが短く言う。
落ちる棚は燃える。落とすな
了解
その途中で、ブラントが工房に入ってきた。顔が笑ってる。笑ってる時ほど厄介を処理できてる。
市場、吸ってきた。品薄の噂、元は帳面役だな。板を買い占めて値を上げる筋
買い占めは、売る場所がないと成立しない。売らないなら筋が折れる
折れた。ただ、別のやり方に来る。子供に板運ばせる手だ。工房の板を欲しいやつがいるって言ってた
来た。子供を使う。暴力じゃなく誘惑。誘惑は燃える。燃やさないために、子供の導線を奪う。導線を奪う道具は箱(子供便)だ。子供便は空箱運びで吸収した。次は板に触らせない運用を一行だけ足す。足すのは板(条件)じゃなく、子供便の板(注意)を短く。長いと読まない。短いほど効く。
レイナが短く言う。
子供便は板に触らない。空箱のみ。板で一行。叱らない。箱で吸う
了解
ミナが子供便の出入り口に小さい板を置く。主板じゃない。子供向けの一行だけ。
子供便 空箱のみ(板は触らない)
これだけ。叱らない。説明しない。子供はルールの理由を聞く。理由を話すと燃える。だから損だけ言う。
子供が来て言う。
板さわったらだめ?
だめ。さわると損する
なんで
板は番号がある。触ると番号が変になる。変だと皆が困る。皆が困るとお前も損する
損、やだ
なら空箱だけ
うん
これで終わり。終わったら流れる。流れれば燃えない。
棚に用途パックを入れる。倉庫パックは穴一つの札の段。作業台は穴二つ。炉は穴三つの一番奥。入れた瞬間、工房が整理される。整理されると混ぜが入りにくい。入りにくいと相手が困る。困ると雑になる。雑は拾いやすい。拾うのは板、終わらせるのは距離。
ゼフが言う。
パック、見える。足りないのも見える
足りないが見えると、焦って動かなくて済む。焦りは燃える。燃えないために足りないを見える化する。見える化は板じゃなく棚。
ミナが頷く。
棚が帳面になります。燃えない帳面
燃えない帳面、いい表現だな
ここで混ぜが来る。予想通りだ。昼過ぎ、作業台パックの段に、穴一つの板が一枚紛れてる。昨日の混ぜと同じ方向性。だが今日は棚がある。棚があると異物が目立つ。目立つなら拾いやすい。拾って対象外にして距離。
ゼフが指で止める。
これ。穴一つ。段は二つの段
ミナが即答する。
不一致です。対象外札
レイナが短く言う。
棚で見つけた混ぜは、棚の勝ち。騒ぐな。板ログは数だけ。対象外に積む
了解
対象外札は短い。
穴不一致 対象外
板回収箱へ落とす。内容は書かない。穴位置詳細は書かない。真似が進む。進むと追いかけっこ。追いかけっこは燃える。
ミナが板(1行ログ)に一行。
用途棚 不一致板1 対象外
数だけ。棚が帳面になる。板はログだけでいい。
フィンが戻ってきて言う。
市場、まだざわざわしてるぞ。板が上がるって
上がらない。売らない。加工だけ。値の口はブラントが吸う
ブラントが頷く。
値の口は吸ってる。加工の条件紙で締めた。言い争いになりそうなところも、紙で終わる
どんな紙
ブラントが笑う。
三行。加工は窓口受付、納期は夕方、支払いは窓口。値の話は俺、以上
上手い。条件が短いほど燃えない。
夕方が近づく。端材出口は一回。受領は夕方のみ。これを崩すと観察が生きる。観察が生きると燃える。燃やさないために固定を守る。
だが今日は市場の噂が残ってる。夕方は人が集まりやすい。集まると止まる。止まると燃える。だから夕方前に導線を一本にして、受領口と返却口と出口をそれぞれ混ぜない。混ぜると質問が増える。質問が増えると燃える。
レイナが短く言う。
夕方は導線を三本にしない。一本で流せ。口を一つずつ。箱の位置を固定
了解
フィン、空箱導線、夕方仕様。返却棚→窓口→出口の順に流す
フィンが笑う。
導線係、任された
夕方、返却が流れる。窓口も流れる。出口も一回。人がいても止まらない。止まらないなら燃えない。
案の定、値の口が最後に刺しに来る。帳面役の匂い。左肩の匂いは薄い。だが言葉が同じだ。
男が言う。
加工なら今すぐ板を渡せ。金を払う
受領と返却は夕方のみ。補修依頼は窓口で受付
今が夕方だろ
だから受付。渡すとは言ってない。渡すと燃える。燃やさないために、受付だけで終わる。箱(導線)に落として距離。
ミナが淡々と言う。
受付します。加工は順番です
男が言う。
順番を飛ばせ
順番飛ばしは燃える。燃やさないために、順番の土俵に上げない。板(条件)で終わらせる。
フィンが軽口で刺す。
順番飛ばせる店は、順番で燃えるんだよ。順番がある店の方が安心しろって
男が睨む。
お前
ユハが短く言う。
流れ
流れ、の一言で導線が戻る。戻れば椅子が立たない。椅子が立たなければ噂が座れない。
受付は紙で受けるが、紙は増やさない。受付紙は定型。項目は三つ。名前、用途、束数。余計な自由記述はなし。自由記述は燃える。燃やさないために枠だけ。
ミナが小さな用紙を出す。
名前、用途、束数だけ書いてください
男が言う。
用途は何でもいい。板が欲しい
用途がないなら受付できない。受付できないなら終わり。終わりにする。説明しない。
用途を書いてください
男は苛ついて、適当に書く。適当に書いた紙は後で対象外にできる。対象外にするための紙じゃないが、枠があると雑が見える。雑は拾いやすい。
レイナが短く言う。
雑を拾うな。今は流す。紙は箱へ。処理は凍結日にまとめて
了解
受付紙は受付箱へ。受付箱は新設じゃない。窓口の紙受け箱をそのまま使う。箱を増やさない。増やさないと燃えない。
板(1行ログ)に残すのは数だけ。
時刻 加工受付 件数1
名前も用途も書かない。書くと値の口が追う。追うと燃える。
夜、工房へ戻る。棚は埋まってる。用途パックが段で分かれてる。これだけで気持ちが軽い。軽いと余計な口が出ない。口が出ないと燃えない。
フィンが言う。
棚できたの、地味に革命だな。混ぜが一発で分かる
分かると騒がないで済む。騒がないのが勝ち
ミナが頷く。
騒がない勝ちは、紙が減ります。紙が減ると、噂の餌も減ります
ゼフが言う。
穴、強い。棚、強い
ユハが短く言う。
進む
レイナが短く言う。
明日は動かさない日を入れろ。市場が揺れた翌日は観察が増える。空振りさせる。内張り二段目は焦るな。凍結日に受付紙を処理して、同文で終わらせろ。進捗は一つ
了解
俺は板に一行だけ残した。
値の口は外で吸わせて、工房は棚で混ぜを殺した。売らない三行が椅子を立てさせず、今日も燃やさずに進捗一つで終わった。




