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現代の効率厨、異世界で生産と経営を回して気づいたら領主の右腕  作者: 検証中


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第5話 市場の詰まりRTA 動線だけ抜いて、在庫を見える化する

朝。


拠点倉庫の薄暗さが、逆に落ち着く。

俺は起きてすぐ、板を開いた。


本日の稼働上限:6時間

現在:0時間00分


レイナの声が、寝起きでもブレない。


今日のAは市場

目的は一つ

荷車が通れる状態に戻す

揉め事の解決は二の次


分かってる

昨日も言ったしな

動線だけ抜く


そのまま5分で出発

朝は脳が軽い

軽いときにAを片付ける


扉がノックされた。


入るぞ!


フィン。

昨日の反省が効いたのか、今日は息が切れてない。


1分前集合、できた?


できた!

で、ギルド作業員も一人、手配だけしてきた!

水路の本修理、午前で行ける!


いい

手配だけって言っただろ


……手配だけです!

喋っただけ!


合格。


俺は拠点ボードを指さす。


今日の順番はこれ


A:市場の詰まりを抜く(動線だけ)

A:水路パン屋側の本修理(午前)

B:市場の在庫ボードを作る(見える化)

C:倉庫棚を一本


フィンが目を輝かせる。


Aが二つ!


Aは日によって二つまで

三つは死ぬ


死ぬ!


よし。


市場の詰まり 原因は人じゃなくて置き方


市場に着くと、もう音がうるさい。

叫び声。荷車のきしみ。魚の匂い。野菜の青い匂い。

道の真ん中に荷車が二台、がっちり噛み合って動けない。


魚屋が腕まくりして怒鳴ってる。

八百屋が箱を抱えて負けじと怒鳴ってる。

周りの店が迷惑そうに見ている。

でも誰も止められない。止めたら自分に火の粉が飛ぶから。


俺は一歩前に出て、まず一言だけ大きめに言った。


今から道を空ける

話はそのあと

動かすだけ


魚屋がこっちを見た。


誰だお前!


俺は短く返す。


臨時物流監督官

動線を空ける


八百屋が鼻で笑う。


監督官だぁ?

こっちは商売だぞ

今じゃなきゃ売れねぇ


分かる

だから今は売るために道を空ける

道が塞がると誰も売れない


魚屋が唾を飛ばす勢いで言う。


先にどけるのはこいつだ!

こいつが道を塞いだ!


レイナが冷静に刺す。


犯人探しは後

今は物理

彼らは正義じゃなく、焦りで動いてる

焦りは枠で落とす


俺は指を二本立てた。


今やるのは二つだけ


1:荷車を一台ずつ動かす

2:一時退避ゾーンを作る


フィンに言う。


フィン

あの角に縄張って

ここからここまで、荷下ろし禁止の線を作れ

俺が言うまで誰も置くな


フィンが走る。


はい!


俺は魚屋に言った。


魚屋

荷車の左輪、持ち上げられるやつ二人出せ


魚屋が目を剥く。


は?


二人

今すぐ

出せないなら、今日の魚が腐る


魚屋が舌打ちして、若い男を呼んだ。


おい!来い!


次に八百屋へ。


八百屋

荷車の後ろ、引けるやつ二人


八百屋も渋々人を出す。


俺は手を上げる。


合図で動く

勝手に動くな

1、2、3で押す


フィンが縄を張り終え、札をぶら下げた。


一時退避ゾーン

荷下ろし禁止

違反は後で回収


字がでかい。いい。


俺は合図する。


1、2、3


左輪が持ち上がる。

後ろが引かれる。

噛み合っていた角度がほどけて、荷車が一台、スッと逃げた。


周りの空気が変わる。

人は通れる。

通れるだけで、怒りが一段落ちる。


俺はすぐ次。


そのまま二台目も逃がす

同じ手順

同じ合図


もう一回、合図。


1、2、3


二台目も動いた。

道が空いた。


ここまで、5分。


俺は板を見た。稼働0:37。

良い。最短。


魚屋が息を荒げながら言う。


で?

どっちが悪いんだ


悪いのは置き方

人じゃない


八百屋がムッとする。


置き方?


俺は市場全体を指さす。


ここにルールがない

みんな自分の前で荷下ろしする

だから道が死ぬ

道が死ぬと市場が死ぬ

それだけ


魚屋が言い返す。


でも急ぎなんだよ!


急ぎだからルールが要る

急ぎはルールで守る

喧嘩で守れない


八百屋が腕組みして黙った。

魚屋も黙る。

周りの店が、こっそり頷いてる。


レイナが言う。


今が勝負

ルールを一枚で出す

説明は短く


俺はフィンに目配せして、木札を一枚出させた。

昨日のうちに作らせておけばよかったが、今日のために即席でいい。


市場の動線ルール(仮)


・道の真ん中は荷下ろし禁止

・荷下ろしは一時退避ゾーンで2分以内

・2分超えるなら店の横へ引き込み

・揉めたら監督官へ、ただし最初に道を空ける


魚屋が眉をひそめる。


2分って短くねぇか


短いから効く

長いと誰も守らない

守れないルールは無いのと同じ


八百屋が言う。


誰が見張るんだよ


フィンが一歩出る。


僕が記録します

違反が続く店は、ギルドに報告します

でも最初は注意だけです


俺は頷く。


最初の三日は注意

四日目から罰

罰は軽く始める

重いと反発が増える


魚屋が鼻を鳴らした。


……まぁ、道が通れりゃいい


八百屋も渋々頷く。


……分かったよ


ここで終わり。

揉め事を解決しない。

動線だけ抜いた。

それでいい。


俺は周りの店に言う。


今日からこれ

文句は受ける

でも道を塞いだら即やめさせる

市場は道が命


誰かが小さく拍手した。

拍手は危険。調子に乗る。


レイナが即ブレーキ。


拍手はC

受け取るな

次、パン屋の水路


了解。


水路パン屋側 本修理はテンプレで殴る


パン屋の裏へ行くと、昨日の応急はまだ持っていた。

でも持つだけ。治ってない。


フィンが言う。


作業員、来ます!


来たのはギルドの若い作業員。

道具も持ってる。助かる。


俺はテンプレを開く。


本修理:板の固定+土留め+水の偏り調整

担当:作業員+フィン

期限:本日午前


俺は言う。


俺は監督だけ

手は出さない

手順通りにやって、戻らない形にする


作業員が頷く。


分かりました


板を正しい位置に戻す。

杭で固定する。

周辺の土を固める。

流れの偏りを調整する。


作業は地味。

でも地味が勝つ。


パン屋が見ていて、ふっと笑う。


なんか…工事って感じだな

昨日は魔法みたいだったのに


魔法は戻る

工事は残る


パン屋が頷く。


それ、いいな


修理は一時間ちょいで終わった。

水が安定して流れる。


俺はパン屋に言う。


明日もう一回点検する

問題なければ完了

問題があれば、原因を一個ずつ潰す


パン屋が頭を下げた。


助かった

うち、明日パン一個、持ってく


いらないって言いかけて、飲み込む。

この世界、食い物は正義だ。

それにフィンが喜ぶ。


レイナが小声。


報酬は受け取っていい

ただし抱え込まない

配って回収すると死ぬ


分かった。


在庫ボード 市場を落ち着かせるのは数字じゃなく見える化


ここからが今日のB。

市場の乱高下は、だいたいこれ。


どこに何が余ってるか見えない

だから買い占める

買い占めるから値段が跳ねる

跳ねるから揉める


俺は市場の入口に、簡単な板を立てた。

拠点ボードの市場版だ。


市場在庫ボード(仮)


今日の入荷(朝):魚/野菜/麦

不足:塩/油

過多:根菜

価格の目安:高/普/安(3段階)

更新:朝・昼の2回


フィンが言う。


数字じゃないんだ?


最初は色分け

高い・普通・安い

三段階で十分

細かくすると嘘になる


魚屋が近づいてきて言う。


これ、誰が書くんだ


店が自分で書く

嘘を書いた店は、次から誰も信じない

信用が死ぬと商売が死ぬ

だから嘘はやめる


魚屋が鼻で笑った。


……なるほど

脅しじゃなくて、仕組みか


そう

脅しは疲れる

仕組みは続く


八百屋も見に来て、ぶつぶつ言いながら板に書いた。


根菜:安

葉物:普

果物:高


魚屋も書いた。


魚:普

干物:高

貝:安


周りの店が、ちょっとずつ寄ってくる。

この瞬間が大事だ。

勝手に参加が始まると、仕組みは根付く。


レイナが言う。


今は褒めない

褒めると調子に乗って拡張する

拡張は明日


了解。


俺は最後に一文だけ追加した。


困ったら

まず道を空ける

次にボードを見る

それでも無理ならギルドへ


よし。今日はここまで。


拠点倉庫へ戻る途中、リオネルが待っていた。

相変わらず姿勢がいい。


迅殿

市場の道が通ったと報告が来た

早いな


動線だけ抜きました

揉め事は枠に入れただけ


リオネルが小さく笑う。


領主も喜ぶ

だが、喜ぶと仕事が増える

気をつけろ


分かってる

俺は一日六時間


リオネルは頷いた。


その制限を守れる者は強い

……ところで


リオネルが一枚の紙を差し出した。


ギルドから

依頼の山だ

市場が回り始めると、次は供給が増える

供給が増えると、倉庫が必要になる

倉庫が必要になると、あなたが必要になる


……来た。

仕事の雪崩。


レイナが即断する。


全部受けない

Aだけ選ぶ

それ以外はフィンに分類させる

あなたは判断だけ


俺は紙を受け取り、言った。


今日の俺はここまで

明日、優先度Aを三つに絞る

フィンに仕分けさせる


リオネルが頷く。


賢明

では領主へ伝える

あなたは働きすぎない、と


働きすぎないのも仕事です


良い言葉だ


拠点倉庫に戻ると、板が出た。


稼働:5時間34分

推奨:終了準備


最後にCを一個だけ。

棚を一本。未来の俺を助けるやつ。


俺とフィンで、板を立てて、横木を渡した。

簡易棚。

見た目は雑。だが機能は十分。


フィンが言う。


拠点、城っぽくなってきた


城じゃない

作業場だ


でも、作業場が整うと

安心する


フィンが、ほんとに嬉しそうに笑った。


安心…


レイナが静かに言う。


あなたが欲しかったのはこれ

忙しさじゃなく

回る安心


俺は息を吐いた。


そうだな


板に、今日のログを書く。


市場:動線RTAで解消/ルール仮設/一時退避ゾーン

水路:パン屋側本修理完了/明日点検

在庫:市場ボード仮運用開始

拠点:棚1本


最後に、明日の優先度を置く。


明日のA:依頼の山をA/B/Cに仕分け

明日のA:ギルド依頼をRTA式に回す準備

明日のB:市場ボード更新係の固定

明日のC:棚2本目


灯りを消す。


異世界五日目。

水が回った。

道が回った。

在庫が見え始めた。


次は、ギルドが回る番だ

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