第37話 夜の板が鳴る前に、距離で勝つ
朝、レイナが言った
今日は夜の結果を見る
夜に動いたなら切る
切り方は捕縛じゃない
距離
距離は燃えない
板を見る
夜の板の結果確認
男が動いたら距離をさらに増やす
拠点設備の見積もりを領主に提出
板セットの運用を錬金屋以外に一つだけ広げる候補を探す
次の稼ぎクエを一つ取る
ギルド前の板から見る
夜の板
倉庫周辺整備
宿通り
三枚とも、一行が増えていた
倉庫周辺整備
夜半
左肩の擦れた男
倉庫通りの角で立ち止まる
中へ入らず戻る
宿通り
夜
同じ男
二人連れ
酒場から出る
路地で短く話す
すぐ別れる
旧鉱山
異常ゼロ
こっちは静か
静かな所は守れてる
騒ぐ所は潰すだけ
フィンが低く言う
やっぱり夜に動いたか
二人連れってのが嫌だな
レイナ
嫌で正解
でもまだ手は出してない
手を出さないなら
箱で勝てる
今日やるのは一つ
夜の導線を消す
夜の導線を消す
つまり、倉庫へ近づける“暗い角”を消す
ユハを呼ぶ前に、レイナが言った
番を増やさない
番を増やすと噂
噂は火
だから
光と仕事で埋める
光
角に灯りを一つ置く
安い灯り
でも暗い角が消える
暗い角が消えると立ち止まれない
立ち止まれないと計測できない
仕事
倉庫通りの角に、夜の雑便を一回だけ回す
夜番じゃない
ただの荷運び
人が通ると立ち止まれない
立ち止まれないと狙えない
レイナが言う
人は箱
人が自然にいると
犯罪は息ができない
ユハに短く伝える
夜の板に出た
二人連れ
倉庫通りの角に立ち止まる
捕まえるな
灯りと夜便で潰す
ユハは一回だけ頷いた
灯りは領主に言う
夜便はギルドで回す
見張りは増やさない
板だけ増やす
板だけ
これが今の強さ
次に領主へ見積もり提出
大工の数字
木材
金具
鍵二つ
棚四段
作業台
扉二重
雨避け
銀貨の合計
期日は二週間
領主の前で、俺は短く言う
箱を先に作る
中身は後
これで燃えない速度が上がる
レイナ
説明はそれだけ
余計な言葉は火
領主が頷いた
承認
ただし
場所は俺が決める
倉庫の近くは駄目
近いと噂が育つ
少し離せ
街の外れに置け
レイナ
最高
離すのが正解
混ざると燃える
分けると回る
俺は言う
了解
導線は雑便で繋ぐ
目立たず運ぶ
それで守れる
領主
よし
資材の手配は俺が回す
工賃は半分前払い
残りは完成時
数字は揃えろ
それが条件だ
数字は揃える
揃えば燃えない
燃えないなら速い
昼、板セットの運用を広げる候補を探す
候補は一つだけ
増やしすぎると管理が死ぬ
死んだ管理は燃える
候補は倉庫補修班の工房
領主直轄の小さな工房
噂になりにくい
作業が単調
事故が多い
つまり内張り板が効く
レイナが言う
単調な現場ほど効く
効いたら数字が出る
数字が出たら領主が許可する
許可が出たら加速する
工房へ行く
責任者は硬い顔
けど、弟子たちが咳をしている
匂いじゃない
粉塵だ
粉塵も同じ
抑えられたら勝ち
俺が言う
板セットの試験運用
条件は同じ
番号管理
返却
記録提出
違反は剥奪
目的は事故減らし
数字を出す
責任者が頷く
数字が出るならやる
うちは事故で人が減る
人が減ると工期が延びる
工期が延びると怒られる
だからやる
レイナ
いい
怒られる恐怖は
仕組みを守る力になる
板を二枚だけ渡す
炉じゃない
作業台の上の簡易囲いに使う
粉塵が舞う場所を囲う
囲えば吸い込みが減る
減れば休憩が減る
休憩が減れば進む
進めば領主が喜ぶ
次の稼ぎクエ
ここでレイナが言った
稼ぎは大きく取らない
今日取るのは小さい安定
夜便を回すための費用を稼ぐ
夜便は燃えない防壁
防壁は金を生む
俺はギルド板に一枚追加した
夜便運搬
市場→倉庫通り
荷物は布束と縄
報酬は小
回数は一回
灰腕章可
違反は停止
待機札の列がすぐ動いた
夜の仕事は人気だ
昼の仕事より少ないのに人気
理由は単純
夜の暇が潰れるから
暇が潰れると裏が減る
裏が減ると燃えない
レイナ
夜の暇は火種
火種を仕事で潰す
これが一番効く
夕方、袋の返却も一枚入った
ギルド運搬係が期限前に返した
一分で終わる
癖になってきた
癖になったら勝ち
フィンが言う
ここまで回るとさ
もう攻略終わりじゃねえの
レイナ
終わりじゃない
守りが安定しただけ
ここから稼ぎを増やす
稼ぎが増えたら拠点が育つ
拠点が育ったら
ギルド攻略RTAの次のステージ
領地経営RTAが始まる
夜
倉庫通りの角に灯りが置かれた
小さな灯り
でも暗い角が消えた
そのタイミングで夜便が一回通る
誰かが通る
通るだけで、立ち止まれない
板は翌朝に結果を出す
だから今日は待たない
今日やることはやった
箱を増やした
距離を増やした
燃えないまま強くした
寝る前、板に一行だけ書いた
明日:夜便と灯りの効果を板で確認 男が二人連れを増やすなら対象外の範囲を広げる 拠点工房の場所確定と着工手配 補修班工房の板試験の初日記録 次の売り物は板セットの“用途パッケージ”にする
灯りを落とす直前、レイナが言った
任せて
夜の角は消した
角が消えたら嗅覚は迷子
迷子になったら勝手に自滅する
こっちは静かに稼いで
静かに強くなるだけ
異世界三十七日目、終了




