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現代の効率厨、異世界で生産と経営を回して気づいたら領主の右腕  作者: 検証中


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28/60

第28話 依頼が回り出すと、騒ぎは数字に負ける

朝、ギルド前の掲示板に着く前からレイナが言った

今日は運用確認

問題が起きる前提

起きても燃やさない

燃やさないで直す

直したら終わり


板の前、人が昨日より多い

旧鉱山の管理依頼が“仕事”として認識された証拠

噂はまだ残ってるけど、目が違う

掘りたい目じゃなく、日当の目


ユハが淡々と声を張る

灰腕章は作業だけ

赤木札は調査班のみ

看板より内側に入ったら依頼停止

例外なし


例外なし、が効く

例外があると人は試す

試すと燃える


レイナが小声で言う

例外なしは強い

強い言葉は短く

短いほど守られる


ミナが受領簿を机に置く

今日の班分け、三つ

柵補修

外周巡回

見張り記録

名前を書いて

腕章番号を受け取って

返却は夕方

紛失はその時点で依頼停止


紛失で依頼停止

重いけど正しい

重いのは嫌われる

でも嫌われるより燃える方が嫌だ


フィンが笑いながら俺の横で囁く

昨日まで強気だった奴ら、すげぇ丁寧に名前書いてる

腕章って効くな


レイナが即答する

権威は人を静かにする

静かなら管理できる

管理できたら勝ち


受付の流れは驚くほどスムーズだった

理由は単純で、書くことが少ないから

名前

腕章番号

それだけ

ミナの手が止まらない

止まらないなら運用は勝ち


ユハが俺を見て頷く

旧鉱山へ行く

初日だけは、お前も見ろ

見ておけば次から手が離れる


その言葉の“次から手が離れる”が、最高にうまい

俺はそれだけで動ける


旧鉱山の入口、柵の前

見張り小屋にはすでに板が置かれていて、担当が座っている

昨日までは“見張り”が立ってるだけだった

今日は“担当”が座って書いてる

それだけで空気が違う


レイナが言う

座らせたのが勝ち

立たせると暇になる

暇は口になる

口は噂になる

噂は火

火は損


柵補修班が槌を打ってる音が規則的に響く

巡回班は二人一組で外周へ

見張り記録班は小屋で板を埋めていく

全部が仕事

全部が箱


ガイルが腕を組んで見ていた

俺たちの顔を見ると鼻で笑う

案外、満足そうだ


悪くない

人が動いてる

だが初日は必ず試される

誰かが線を踏む

踏んだ時の反応で、次が決まる


レイナが即答する

踏まれる前提は正しい

踏まれたら切る

でも切り方は“静か”

騒いだら相手が勝つ


その直後だった

外周の方、囮点2のあたり

見張り小屋の缶がカラ、と一度鳴った


俺の足が出そうになる

でもレイナが先に言う

走らない

走ったら見物が走る

見物が走ると燃える

ここは担当に任せる

担当が動けば公になる


ユハも同じ判断だった

護衛を一人だけ出す

大勢は出さない

大勢は騒ぎ


護衛が静かに向かう

巡回班の二人が合流する

その動きだけで十分だ

“誰かが見てる”が伝わる


しばらくして、護衛が男を一人連れて戻ってきた

灰腕章をつけてる

つまり、依頼を受けた側

やらかしたのは“外の敵”じゃなく、“中の手”だ

初日あるある


男は慌てて言い訳する

すみません

音が鳴ったから確認しただけで

中に入るつもりは—


レイナが冷たい

言い訳は穴

穴は燃える

ここは処理


ユハが机もない場所で、短く言う

お前の役割は何だ


巡回です


ユハ

巡回は外周の線の外だ

看板の内側は赤木札だけ

知ってたな


男の顔が固まる

知ってて踏んだ

試した

それが一番厄介


俺が言うより先に、レイナが言った

初日で一回だけ

猶予は作る

でも記録に残す

記録があると次が早い

早いと燃えない


俺は短く言った

今日だけ、警告で終わらせる

だが帳面に残す

次は依頼停止

言い訳は不要

戻れ


男は青くなって頷いた

周りの灰腕章たちも、空気で理解した

線を踏めば終わる

終わるのが見えると、人は踏まない


レイナが静かに言う

今のが効く

見せしめじゃない

処理

処理は燃えない

燃えない処理が最強


ミナが帳面に一行だけ書く

時刻

囮点2

灰腕章(番号)

線の内側に接近

警告

次回停止


短い

でも刺さる

これで“試すのは損”になる


そのままB裂け目も確認する

木枠、網、炭袋、湿布、看板

全部無事

鳴子も無事

粉の吸い込みは中のまま

匂いも落ち着いている

“守り”は、仕事が回るとさらに強くなる

見張りだけじゃなく、柵補修が常に入るから


フィンが嬉しそうに言う

B、昨日より平和だわ

人が近づく前に仕事で埋まってる


レイナ

正しい

暇がないと悪さはできない

悪さは暇の副産物


昼前、錬金屋から使いの弟子が来た

小さな木箱を抱えてる

封蝋付き

番号付き

ちゃんと“箱”で来た

それだけで信用が一段上がる


弟子が言う

店主が試験ロットの準備を整えました

炉の温度帯を三つ

袋の材も三種

冷却も三通り

記録用紙も用意しました

明日の朝、立ち会いを


レイナが即答する

完璧

相手が箱に入った

箱に入ったら走らない

走らないと揉めない

揉めないと稼げる


俺は弟子に言う

明日の朝、行く

条件は一つ

結果は全部残す

都合のいい部分だけ切るのは無し


弟子は真面目に頷いた

それが店主の判断の早さにも見えた

独占を言い出した店主が、いまは“数字”を選び始めてる

数字は人を丸くする


レイナが言う

数字は最強の麻酔

興奮を眠らせる

眠らせると燃えない


午後、掲示板に戻ると、管理依頼の追加枠を求める声が出ていた

あれもやりたい

これもやりたい

もっと日当を

欲は増える

増えると燃える


ユハが短く切る

増やさない

今日は初日

明日、記録を見て決める

今日増やすと崩れる


レイナ

正しい

増やすのは成功してから

成功の前に増やすと失敗する

失敗は火


俺はその場で、代わりの箱を作った

明日以降の応募は“待機”に回す

待機札を配る

札があれば人は落ち着く

落ち着けば帰る


ゼフがすぐ木片を削って簡単な待機札を作った

番号だけ

明日、番号順に声をかける

今日の段階で期待を整理する

整理は火消しになる


レイナが言う

待機札は偉い

期待を箱に入れた

箱に入れた期待は燃えない


夕方、灰腕章と赤木札の回収

紛失なし

返却の流れもスムーズ

ミナの帳面は短いのに、必要な情報が揃っている

見張り板も埋まってる

異常は一件だけ

警告一件

それ以外は静か


ガイルが言った

初日としては上出来だ

線を踏む馬鹿も一人で済んだ


レイナが淡々と言う

一人で済んだのが勝ち

二人目を生まない

そのための帳面

帳面は火を止める


拠点へ戻る道、フィンが急に思い出したみたいに言う

そういやさ

香鉄石って、加工したら何になるんだ

武器? 装備? 金?


レイナが即答する

まだ決めない

決めるのは試験ロットの後

先に結果

結果が出たら使い道は勝手に増える

増えても燃えないように枠を作る

枠が先


枠が先

レイナらしい

俺の好みでもある

やる前に売り方を決めると、火がつかない


寝る前、板に一行だけ書く

明日:錬金屋で試験ロット立ち会い 結果の記録回収 管理依頼2日目の異常確認 待機札の運用開始


灯りを落とす直前、レイナが言った

任せて

明日は“価値”が見える日

価値が見えたら

次の稼ぎが加速する

加速しても燃やさない

箱で守る


異世界二十八日目、終了

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