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現代の効率厨、異世界で生産と経営を回して気づいたら領主の右腕  作者: 検証中


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23/45

第23話 塞がずに絞る、が最速

朝、目が開くより先にレイナが言った

今日は工事

でも塞がない

絞る

呼吸を細くする

匂いを減らして

来る理由を減らす


板に残ってる予定を見た

外周穴の呼吸を絞る工事

ギルド聴取(出所だけ)

見張り増し


フィンが戸を開けて顔を出す

入口、今朝も人多い

でも昨日の捕縛が効いてる

妙に静か

目が怯えてる


レイナが即答する

怯えは抑止

でも怯えだけだと恨みになる

今日は仕事を渡して落ち着かせる

柵を補強

見張り小屋

役割を増やす


ガイルが腕を組んだ

昨日の二人、どうする


ユハが入ってきて短く言う

聴取はこれから

聞くのは一つだけ

誰が場所を教えた

それ以外は切る


レイナがすぐ肯定する

一つでいい

糸を辿ると時間が死ぬ

でも出所だけは潰す

潰すと火が弱くなる


ミナが縄と石灰と、粘土の袋を抱えてきた

粘土です

藁もあります

穴の縁を整えて

細い筒にします

空気は通すけど

匂いは減るはず


レイナの声が少しだけ軽くなる

それが今日の勝ち筋

安い

速い

誰でも再現できる

再現できると回る

回ると燃えない


俺は立ち上がった

まず外周

工事

そのあと聴取の結果だけ確認

最後に小屋


レイナが釘を刺す

工事の前に一つ

見張りの言葉を統一した紙を貼る

工事中は人が集まる

集まると口が動く

口が動くと噂が増える

だから先に紙


ギルド前に貼る紙は短くした

調査地 領主・ギルド管理

無断立入禁止

違反は依頼停止

調査班は赤印のみ


貼った瞬間に、俺の中で嫌な気配が鳴った

赤印

昨日まで赤紐と赤杭で回してた

目に見えて便利

だから相手にも便利


レイナがすぐ言う

赤は情報

情報は武器

赤紐は偽造される

赤杭は繋がれる

今日で終わり

赤印は木札

番号付き

毎朝配って回収

偽造しにくい形にする


ゼフがすぐ反応する

木札なら作れる

番号は焼き印で入れられる

今日、十枚でいいか


レイナ

十でいい

少ない方が管理できる

管理できると燃えない


旧鉱山へ向かうと、入口柵の空気は昨日より落ち着いていた

護衛と領主印が効いてる

人は怖さの前で静かになる

静かな人は仕事に吸い込みやすい


中心点の穴の前に着く

昼の見張りが立っていて、目だけで会釈する

穴は小さいまま、でも確実に呼吸している

近づくだけで甘い金属の匂いが薄く刺さる


レイナが言う

工事前の匂いを覚えて

工事後と比べる

比べるのが勝ち

気分じゃなく差分


ミナが小麦粉をほんの少し落とす

粉は吸われる

出入りもある

呼吸が強いまま


ラルカが周囲を見回す

足跡、今朝も増えてるな

見張りがいなかったら掘られてた


ガイルが低く言う

見張りは増やす

だが暇だと勝手に動く

柵だけじゃ足りん


レイナが即答する

だから小屋

椅子と板と水

暇を記録に変える

記録は落ち着く

落ち着くと余計なことをしない


工事に入る

やることはシンプルに決めた

穴の縁を整える

内側に布を一枚敷く

粘土と藁を混ぜて筒を作る

筒の内径を指二本分まで絞る

完全に塞がない

呼吸は残す

匂いだけ減らす


レイナが途中で言う

完全封鎖はしない

完全封鎖すると別が生まれる

別が生まれると探す範囲が増える

範囲が増えるとあなたの時間が死ぬ

だから絞る

絞って管理


ゼフが作業を見て言う

筒の先に網を付けよう

石ころも少し入れとく

手を突っ込めなくなる

虫も入りにくい


レイナ

最高

網は安い

安いのに効く

見た目が工事っぽい

工事っぽいと触りにくい

触りにくいと夜が静かになる


ミナが布を押さえて、ゼフが網を固定して、俺が粘土筒を整える

ラルカは周囲の視線を止める

ガイルは柵の外で見張りに指示を出す

フィンは砂時計を置いて時間で止める


工事の途中で人が寄ってきた

近づきすぎないが、視線が刺さる

話したがる顔がある

知りたがる顔は、燃える顔だ


レイナが低く言う

工事中は説明しない

説明すると価値が漏れる

言うのは危険だけ

危険だけなら止まる


俺は振り返らずに言う

崩落注意

虫の誘引あり

勝手に触るな

仕事があるなら受けろ


数人が不満そうに舌打ちして、でも柵の補強へ戻っていった

戻るなら勝ち

口より手が動けば、足は止まる


筒が完成した

内径は指二本

手は入らない

呼吸は残る

粉を落とすと吸い込みは弱くなった

煙も吸われる速度が遅い


レイナが言う

嗅いで


俺は鼻で浅く吸う

刺さり方が半分になっている

頭の奥に残る感じも薄い


フィンが小さく笑う

マジで減った

これ、効くな


レイナ

すごいのは工事じゃない

決めたことを守ったのがすごい

守れたから減った

これが効率


ミナが帳面に短く書く

工事:粘土筒+網

呼吸:弱

匂い:弱

粉:吸い込み減


ここで終わりにした

もう少し絞りたくなる

でもそこで触ると差分が消える

差分が消えたら、次が分からなくなる

次が分からなくなるのが一番の損


レイナが釘を刺す

今日は固定

明日もし匂いが戻るなら

別の口がある

その発見が価値

今日いじりすぎると別が分からない


工事を終えた頃、ユハが戻ってきた

顔は疲れてるが、言葉は短い

出所、分かった

あいつら、赤い杭を見て当てた

夜に外周を歩いて

赤印の点を繋いで中心点を出した

誰かに教えられたわけじゃない

勝手に推理した


俺は一瞬だけ黙った

こっちが便利にした仕組みが、相手にも便利だった


レイナが即答する

想定内

だから赤は危険

赤は情報

情報は武器

次は赤を減らす

赤は動かす

固定しない

それと囮を置く


囮という言葉が胸の奥に引っかかる

嫌だが必要だ

人は目立つ方を信じる

だから目立つ方に寄せて、目立たない方を守る


ユハが続ける

もう一つ

灯りは錬金屋じゃない

町外れの道具屋で売ってる安物

誰でも買える

だから次も来る


レイナ

来る

でも今日は勝ってる

匂いが減った

匂いが減ると来る理由が減る

理由が減ると入口で止めやすい


俺は板を出して決めたことを短く言った

赤印を木札に変える

番号付き

毎朝配って回収

杭の色も変える

赤は最小

外周点は灰にする

中心点は印だけにする


レイナがすぐ足す

囮点を二つ作る

囮は目立たせる

看板も付ける

本命は地味にする

地味は守り

守りは速い


ゼフが頷く

杭を太くして

看板に工事中って書けば

触るなって気持ちになる


ガイルが言う

見張りに言う文も一つだな

工事中

触るな

赤印以外入るな

違反は依頼停止

それだけ


次は見張り小屋

と言っても大げさな建物じゃない

柱四本

屋根

椅子

水桶

それだけ


レイナが言う

小屋の価値は建物じゃない

記録板

記録が残ると

言った言わないが消える

消えると揉めない

揉めないと燃えない


ミナが板を用意した

書くことは三つだけにした

時間

誰が来た

何を言った


書くことが少ないと続く

続くと強い


夕方、小屋が形になった

見張り役が座って、水を飲んで、板を見て、落ち着いた顔をしている

落ち着いた見張りは最強だ

怒鳴らないで済む

怒鳴らない日が増えるほど、街は静かになる


フィンが言った

ギルド前の空気

昨日より軽い

皆、走るのが怖いんだな


レイナ

怖さは抑止

でも抑止は仕組みで支える

仕組みがあると

怖さが薄れても走らない

それが本物の勝ち


帰り際、中心点の穴をもう一度嗅いだ

匂いは確かに減っている

ゼロじゃない

ゼロじゃないのが良い

呼吸が残ってる証拠

完全に止めると、別が生まれる

別が生まれたら、俺の時間が死ぬ


レイナが最後に言った

明日は確認

匂いが減ったままなら成功

もし別の場所が強くなったら

そこが次の口

口を見つけたら

また絞る

絞って管理

繰り返す

それが一番速い


俺は板に一行だけ書いた

明日:外周点を再確認 匂いの移動チェック 赤木札運用開始 囮点設置


灯りを落とす直前、レイナが静かに言う

任せて

あなたの時間は守る

燃えないやり方で

一番速く進める


異世界二十三日目、終了

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