第156話 一式でも二つ
朝。入口は暗いまま。箱壁も返却棚も灯りも触らない。外変化0。
返却棚に三箱。
一番。本人。異常0。
二番。本人。異常0。
三番。本人。異常0。
物理箱3。
朝値変更0。
工程分割0。
今日、外から届いた使用要求は四件。
補修班内1。
馬具工房1。
車輪工房1。
木工房1。
フィン 今日は少ないな。
ミナ 二便目も要らないかもしれない。
ブラント 紙だけなら4です。
レイナ 実物は。
ブラント 木工房に二つあります。
フィン 木工房1じゃないのか。
ブラント 市場戸棚補修一式、として一枚にまとめられています。
ゼフ 戸棚は?
ブラント 北市場の戸棚1。南市場の戸棚1。別の場所で使う物です。
レイナ 対象2。
ミナ 紙上4。実物5。
フィン 昨日と逆だな。
レイナ うん。名前を二つにしても一件。名前を一つにしても二つ。
ゼフ 今日の進捗。
レイナ 一式でも二つ。
ミナが紙を一枚だけ置く。外から見えない位置。理由は書かない。
別々に完成する物は別件 一式名で対象減少0 完了ごとに返却 追加抱込み0 説明無し
フィン 同じ依頼主でも?
レイナ 別物なら別。
ミナ 同じ工房で直しても?
レイナ 別々に完成するなら別。
ゼフ 一つが終わった後、そのまま次へ箱を使うのは?
レイナ 返却して再数。
フィン わざわざ木工房から返して、また木工房へ出す可能性もあるのか。
レイナ ある。
フィン 運ぶ分だけ無駄じゃないか。
レイナ 返さないと一式が増える。
ミナ 戸棚二つの後へ、椅子、扉、荷台まで追加できる。
ゼフ 同じ依頼主の修理一式。
レイナ 箱が私物になる。
フィン 返却が区切り。
レイナ うん。
一枚の依頼書。
市場設備補修一式。
その下には小さく、北戸棚、南戸棚と書かれている。
どちらも市場の物。
支払いも市場側がまとめて行う。
金を払う人は一人。
紙も一枚。
だが戸棚は二つ。
北の戸棚を直せば、北で使える。
南の戸棚が壊れたままでも、北の戸棚は完成している。
完成を別々に数えられる物を、一式という言葉で一つにしない。
フィン 昨日は完成する物が一つだから、工程二つでも一件。
ミナ 今日は紙が一つでも、完成する物が二つだから二件。
レイナ 物を見る。
ブラント 市場へは何と返しますか。
レイナ 返さない。木工房へ対象2だけ。
ブラント 依頼書の修正は?
レイナ 不要。支払いの紙は一枚でもいい。箱の数と関係0。
ミナ 会計は一式。運用は二件。
レイナ 混ぜない。
入口の外から、縄が擦れる音がした。
長い荷車。
その上に、戸棚の扉が二枚並んでいる。
一枚目は濃い色。
二枚目は薄い色。
二枚を縄で強く縛り、一つの荷物にしてある。
左肩が擦れた男が縄の結び目を叩く。
左肩の男 見ろ。一荷だ。修理一式1。
レイナ 扉2。
男 一つの荷車で届いた!
レイナ 運送1。対象2。
男 一枚の依頼書だ!
レイナ 紙1。対象2。
男 同じ木工房で、同じ職人が、同じ金具を使って直す!
レイナ 人1。材料同じ。対象2。
男 支払いも一回だ!
レイナ 会計1。対象2。
フィン 何を一つにしても、扉だけ二枚残るな。
ミナ 強い。
左肩の男は縄を持ち上げる。
男 縛ってあるから、途中で分けられない!
ゼフ 縄を解けばいい。
男 一式として運ぶための縄だ!
レイナ 外縄1。
男 勝手に解くな!
木工房主 俺が解くぞ。
木工房主が荷車の後ろから現れた。
腰に工具。
手には北と南の小さな札。
木工房主 縛ったままでは裏を見られん。
左肩の男 同時に工房へ運び、順番に直せばいい!
工房主 二枚とも工房へ置くのは構わん。だが箱は一枚目が終わるまで使う。
男 そのまま二枚目も直せ!
工房主 箱を返せと言われてる。
男 工房から工房へ移動しない!同じ作業台だ!返す意味がない!
レイナ 次の対象を追加しないため。
男 二枚目は最初から依頼に入っている!
レイナ 最初から対象2。箱の使用も2。
男 一度に箱を渡せば、運送が一回で済む!
ミナ 箱を渡す運送は1。箱が戻らない時間は2件分。
ゼフ 使用1と見せて、箱を長く抱える。
フィン 数字だけ一件に減って、占有時間は二件になる。
レイナ 隠れ使用1。0。
左肩の男 一つ目が終わった瞬間、二つ目へ移るだけだ!箱を遊ばせない効率的な使い方だ!
レイナ 木工房が次箱を決める。
男 何が悪い!作業が残っている!
レイナ 他の残作業もある。
ミナ 返却後に全体を再数する。
ゼフ 木工房の二つ目が、必ず次とは限らない。
男 途中で別の工房へ回せば、木工房の作業が止まる!
木工房主 別の作業をする。
男 今日中に二枚とも直せるんだぞ!
工房主 箱が戻ればな。来なければ明日だ。
レイナ 正解。
木工房主 一回。
フィン 今日も始まった。
左肩の男が、二枚の扉を結ぶ縄へ新しい札を付ける。
市場戸棚一式 分離禁止
ミナ 外札1。
レイナ 工房の荷物。好きに外す。
男 市場管理側の指示だ!
ブラント 市場の正式な印はありません。
男 これからもらう!
レイナ 今は0。
木工房主 作業出来んから外す。
木工房主が縄を切らない。
結び目を解く。
一本。
二本。
濃い扉と薄い扉が離れる。
運送は一荷だった。
修理対象は二つ。
フィン 物理的に答えが出たな。
レイナ うん。
今日の使用対象を数え直す。
補修班内1。
馬具工房1。
車輪工房1。
木工房・北戸棚1。
木工房・南戸棚1。
実対象5。
午前便は、返却まで短い三つ。
一番。補修班内。
二番。馬具工房。
三番。木工房・北戸棚。
車輪工房は、今日は軸の確認に少し時間が掛かる。
木工房・南戸棚は、北戸棚の次ではなく別の残作業。
フィン 木工房へ一箱だけ。
ミナ 二枚とも工房にあるけど、使用対象は北1。
レイナ 南は箱待ちじゃない。前工程を進める。
木工房主 南の扉は穴を埋めて乾かす。箱が来る頃にちょうどいい。
レイナ 正解。
木工房主 二回。
フィン 本人も楽しみ始めてるな。
三番を木工房の若い職人が持つ。
材料を取りに来た帰り。
若い職人 三番、木工房、北戸棚。
レイナ 対象名は言わなくていい。
若い職人 三! 木工!
レイナ 速歩き。
若い職人 終わり!
二番は子供便。
子供 二! 馬具!
レイナ 速歩き。
子供 終わり!
一番は補修班内。
午前使用3。
左肩の男が木工房へ走る。
三番が北戸棚の修理へ使われる。
濃い色の扉。
金具を外す。
穴を整える。
新しい留め具を付ける。
開閉。
少し傾く。
木工房主 右が低い。調整1。
若い職人 南の扉も金具を外しておきます。
工房主 それはいい。箱の中身は使うな。
若い職人 北が終わったら、続けて南へ、
工房主 箱は返す。
左肩の男 返す必要はない!一式の途中だ!
木工房主 北は北。南は南。
男 依頼主は同じだ!
工房主 扉は別だ。
男 三番を返せば運ぶ手間が増える!
工房主 市場へ戻す木材がある。帰り荷だ。
男 戻した後、また別の箱を運ぶ手間が、
木工房主 その時、南が次ならな。
男 南を次にしろ!
レイナ 木工房が決めない。
男 作業効率を誰が考える!
レイナ 全体。
男 全体とは誰だ!
フィン 今使える対象の数。
ミナ 声の大きい工房じゃない。
ゼフ 紙の一式でもない。
木工房主が北戸棚を調整する。
留め具を少し上げる。
開閉。
傾き0。
引っ掛かり0。
木工房主 北、完了1。
左肩の男 市場戸棚一式は未完!箱を保持しろ!
木工房主 北の戸棚は使える。
男 南が終わっていない!
工房主 南の戸棚とは別だ。
レイナ 対象1、完了1。
男 一式の半分だ!
レイナ 紙の半分。物は一つ完成。
三番の中身は使用終了。
若い職人が、市場へ戻す木材と一緒に三番を運ぶ。
若い職人 三番、本人返却。北戸棚完了1。
左肩の男 南戸棚継続1!
若い職人 親方に返せと言われました。
男 依頼書を守れ!
若い職人 扉はもう分かれてます。
フィン 外の若いのも強くなってきた。
三番が返却棚へ戻る。
ゼフが底内側の木目を確認する。
本人。
ゼフ 三番。本人。午前返却1。
ミナ 北戸棚完了1。南戸棚残作業1。
レイナ 再発行0。
三番だけでは動かない。
補修班内。
一番の作業は、箱壁内側の小さな棚留め。
短く終わる。
一番、本人返却。
ゼフ 一番。午前返却2。
レイナ まだ。
馬具工房。
二番を使い、革帯の金具を交換する。
裏裂け0。
締まり異常0。
別荷と一緒に返却。
ゼフ 二番。本人。
ミナ 午前返却3。
レイナ 午前便終了。
三箱が揃う。
残作業を再数する。
車輪工房1。
木工房・南戸棚1。
二件。
フィン 紙の数だと、木工房一式は午前で使用中のまま。残りは車輪1だけになる。
ミナ 実物では北完了1、南未完1。
ゼフ 残作業2。
レイナ 箱2。
一番を車輪工房。
二番を木工房・南戸棚。
三番は休む。
フィン 三番を木工房へ戻さないんだな。
レイナ 午前に木工で使用1。今日は負担を散らす。
ゼフ 二番は馬具の短作業。木工までの帰り荷あり。
ミナ 工房が箱を所有していない形も見える。
レイナ うん。
左肩の男 二番ではなく三番を戻せ!同じ一式だ!
レイナ 箱に依頼書は付いてない。
男 作業の連続性が切れる!
木工房主 中身は同じだろ。
男 三番の使用履歴が、
ミナ 補修歴は内側。依頼履歴で箱を固定しない。
男 同じ担当箱の方が責任が明確だ!
レイナ 担当箱0。
ゼフ 二番も現在異常0。
男 南で問題が出たら、北を直した箱と違うせいだと言われる!
木工房主 箱のせいにはせん。俺が直す。
レイナ 正解。
木工房主 三回。
フィン 順調だな。
二便目2が出る。
一番は女商人の荷車で車輪工房。
女商人 一番、車輪工房。別荷二。
ミナ 途中保管。
女商人 0。
ゼフ 返却時刻。
女商人 確約0。
レイナ うん。
二番は木工房の若い職人。
若い職人 二番、木工房。材料の帰り。
レイナ 速歩き。
若い職人 終わり!
左肩の男は三番を指す。
男 三番が空いている!一式の予備として木工房へ置け!
レイナ 予備箱0。
男 南戸棚で追加の傷が見つかった時に必要だ!
ミナ 二番を使用中。
男 二番で足りない場合だ!
レイナ 箱は一つで使う。足りないなら返却後に再数。
男 木工房へ二箱置けば早い!
レイナ 集中受取0。
フィン 昔の話まで戻ってきたな。
ゼフ 同じ入口。終わり。
木工房。
薄い色の南戸棚。
穴埋めは乾いている。
二番の中身を使い、新しい留め具を取り付ける。
若い職人 北と同じ金具です。
木工房主 扉の厚さが違う。北と同じ位置へ付けるな。
左肩の男 同じ一式なら同じ位置でいい!
工房主 お前は木を見ろ。
男 規格を揃えれば作業が速くなる!
工房主 厚さが違う。
男 削れば、
工房主 扉を金具へ合わせるな。金具を扉へ合わせる。
レイナ 正解。
木工房主 四回。
レイナ 増えてる。
留め具を少し内側へ付ける。
開閉。
引っ掛かり0。
傾き0。
南戸棚、完了1。
北戸棚と南戸棚。
二つとも直った。
会計上は市場戸棚補修一式1。
運用上は修理対象2。
箱使用2。
本人返却2。
どちらも間違いではない。
混ぜなければいい。
木工房主 二番、使用終了。
若い職人 市場へ戻す扉と一緒に運びます。
左肩の男 扉二枚をまた一つに縛れ!一式として納める!
木工房主 運ぶ時は傷付かないよう縛る。
男 なら最初から一つだった!
工房主 運送が一つなだけだ。修理は二つ。
フィン 朝と同じ答えに戻った。
レイナ 終了。
二枚の扉は、傷が付かないよう布を挟んで縛る。
一荷。
だが完成数2。
二番と一緒に市場へ戻る。
二番は返却棚。
扉二枚は北と南へ別々に戻る。
車輪工房。
一番の中身を使い、軸受けを交換する。
車輪を回す。
異音0。
傾き0。
女商人が別荷を回って戻る。
車輪工房主 一番、本人返却。
女商人 帰り荷と一緒に運びます。
一番も戻る。
二便目使用2。
本人返却2。
物理箱3。
当日使用5。
本人返却5。
紙上要求4。
実対象5。
フィン 昨日は紙6を実物5へ減らした。
ミナ 今日は紙4を実物5へ増やした。
ゼフ どっちも都合よく件数を動かさない。
レイナ 物の数。
フィン 数字を小さくするのが目的じゃないんだな。
レイナ 正しく小さくする。正しく増やす。
ミナ 効率は、数字を減らすことじゃない。
レイナ 嘘の数字を消すこと。
左肩の男が、分離禁止の札を持って戻ってくる。
男 市場戸棚一式は一件として納品された!
ブラント 北戸棚1、南戸棚1へ戻りました。
男 支払いは一件だ!
ミナ 会計1。
男 依頼書も一枚だ!
レイナ 紙1。
男 運送も一回だ!
ゼフ 荷1。
男 なら修理も一件だ!
木工房主 完成した戸棚は二つだ。
男 全体として一式だ!
レイナ 一式の中身2。
男 お前たちは都合よく数え方を変えている!
フィン 数える対象が違うだけだ。
ミナ 会計を数える時は1。
ゼフ 運送を数える時も1。
レイナ 修理対象を数える時は2。
ブラント 箱使用も2。
木工房主 俺の仕事も二つ。
左肩の男 ……。
一つという数字も正しい。
二つという数字も正しい。
何を数えたかを混ぜた時だけ、嘘になる。
夕方。ブラントが市場から戻る。
ブラント 市場戸棚一式は納品されました。
レイナ 数字。
ブラント 紙上要求4。実修理対象5。木工房の一式1は北戸棚1・南戸棚1です。
ミナ 午前便。
ブラント 使用3、本人返却3。北戸棚完了1。
ゼフ 二便目。
ブラント 車輪1、南戸棚1。使用2、本人返却2。
フィン 合計。
ブラント 当日使用5、本人返却5。
レイナ まとめ要求。
ブラント 一式抱込み1、途中継続要求1、担当箱固定要求1、追加箱配置要求1。すべて成立0です。
ミナ 朝値。
ブラント 変更0。会計は市場側で一式1のままです。
レイナ それでいい。
ブラント 市場では、一枚の請求書でも直す物が二つなら箱は二回使う、へ話が変わっています。
レイナ 何を数えたかだけ短く。
ブラント はい。
領主へ数字だけ。
ブラント 物理箱3。紙上要求4。実修理対象5。当日使用5・本人返却5。一式抱込み1は成立0。
領主 請求は一件なのか。
ミナ 市場戸棚補修一式として会計1です。
領主 箱は二回。
レイナ 戸棚2。
領主 運送は。
ゼフ 二枚を一荷で運んだため1です。
領主 同じ仕事で、一と二が混ざるのか。
レイナ 数える物が違う。
領主 良い。全てを同じ件数へ揃える必要はない。揃えれば、どこかの数字が嘘になる。
レイナ 正解。
領主 五回。
フィン 今日は使用5です。
領主 紙上要求4へ一つ足した。
ミナ 説明まで正しい。
レイナ 異常?
領主 なぜ正しいと異常扱いされる!
フィン 普段との差です。
領主 お前たちの礼儀だけは、何件にまとめても0だ。
夜。灯りは二基。低く地味に足元だけ。入口は照らさない。外変化0。
物理箱は三つ。
一番。午前1、二便目1。異常0。
二番。午前1、二便目1。異常0。
三番。午前1。異常0。
当日使用5。
本人返却5。
一式箱なし。
途中抱込みなし。
担当箱なし。
分離禁止札なし。
追加配置なし。
箱別依頼名なし。
穴札12は腰袋のまま。
朝値変更0。
補修班の許可段+1もそのまま。
一つの物を名前だけで二件にしない。
二つの物を一式という名前だけで一件にもしない。
請求書が一枚でも、荷車が一台でも、担当者が一人でも。
別々に完成して、別々に使える物なら、修理対象は二つ。
俺は板に一行だけ残した。
紙上要求4の一式1を実対象2へ戻し、一式抱込み1・途中継続1・担当箱固定1を成立0にして当日使用5・本人返却5を揃えた。
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