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現代の効率厨、異世界で生産と経営を回して気づいたら領主の右腕  作者: てへろっぱ


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142/210

第142話 四つ目は箱じゃない


朝。入口は暗いまま。箱壁も返却棚も灯りも触らない。外変化0。


返却棚に三箱。


一番。補修班内。

二番。東通りの金具工房。

三番。木工房。


昨日、同便で早戻りした三番も朝を越えた。

通常位置へ戻る。特別札なし。説明なし。


返却3。破損0。遅延0。

穴札12。机出し0。朝値変更0。


フィン 三番、今日から普通に戻すんだな。

レイナ 朝になった。

ミナ 木工房の必要は?

ブラント 今日は0です。昨日の戸棚は修理完了。新しい作業もありません。

ゼフ なら空き1。

レイナ うん。

フィン 中身を先に移しても、今日の箱は取れなかった。

ミナ 翌朝になっても、使う作業が無ければ戻らない。

レイナ 正解。


木工房に昨日の中身は残っていない。

戸棚の修理に使い切った。


作業は完了。

今日の必要0。


早く箱を返して明日の分を確保する狙いは消えた。

箱を返しても、今日使う動作がなければ行かない。


フィン これで一段落か。

レイナ 次は数を増やす。

ミナ 注文じゃなくて?

レイナ 箱そのもの。

ゼフ 三箱で足りないなら、四箱目を持ってくる。

フィン 勝手に作って?

レイナ 無料で。


入口の外から、車輪の音がした。


小さな荷車。

その上に、見慣れた形の箱が一つ。


高さも幅も、三箱とほとんど同じ。

持ち手の位置も似ている。

蓋の縁も、返却棚へ落とせそうな形に整えられている。


ただし番号がない。


荷車を押しているのは、左肩が擦れた男ではなかった。

白髪交じりの箱職人。腕には削り屑。

その横を、左肩の男が得意そうに歩いている。


左肩の男 足りないなら増やせばいい。四つ目だ。

フィン 本当に来た。

ミナ 出来はいい。

ゼフ 寸法も近い。

レイナ 進捗、一つ。四つ目は箱じゃない。


フィン 目の前に箱があるけど。

レイナ 物は箱。運用では0。

ミナ 外持込。

レイナ 数えない。


ミナが紙を一枚だけ置く。外から見えない位置。理由は書かない。


運用箱3固定 外持込箱0 贈与0 交換0 増数は内側のみ 説明無し


左肩の男 何が0だ。見れば分かるだろ。箱だ。

レイナ 四つ目。0。

男 三箱では足りないと、工房が言っている!

ブラント 今日の使用数3。空き1。

男 明日は増える!

レイナ 明日は明日。

男 だから先に用意した!

レイナ 予約0。

男 箱まで予約扱いにするのか!

レイナ 外持込0。


箱職人が荷車の横で眉を寄せる。

左肩の男ほど声は大きくない。


箱職人 少し見てもらえないか。寸法は三つから目で拾った。木も乾かしてある。蓋も歪まん。

ゼフ 出来はいい。

箱職人 なら使えるだろう。

レイナ 使える。ここでは0。

箱職人 どういう意味だ。

フィン 品物として悪いんじゃない。ここの流れに入れる箱じゃないってことだ。

箱職人 同じ形だぞ。

ミナ 番号がない。

左肩の男 番号なら付ければいい!

レイナ 付けない。

男 四と書くだけだ!

レイナ 四は0。


男が箱の側面へ炭を当てようとする。

番号を書けば、見た目だけは四番になる。


ゼフ 書いても外箱。

男 番号があれば管理できる!

レイナ 外が番号を増やさない。

男 誰が作ろうと箱は箱だろ!

レイナ 物は箱。運用は3。

ミナ 説明一周。終わり。


箱職人は納得していない。

自分の作った物を見てもらえず、0と言われたように感じている。


箱職人 触りもしないで、悪いと決めるのか。

レイナ 悪いと言ってない。

箱職人 なら、試しに一度。

レイナ 試用0。

箱職人 一便だけでいい。

レイナ 一度が前例。

フィン 試したら、次から四箱で回せるって話になる。

箱職人 実際、回せるならいいだろう。

ミナ 返却口、行き先、使用数、全部一つ増える。

レイナ 外から増やさない。

箱職人 外、外と。俺も領内の職人だ。

レイナ 運用の外。人の外じゃない。


箱職人が黙った。


フィン 今のは分かりやすい。

ミナ 人を拒否してるんじゃない。

ゼフ 勝手に追加された数を拒否してる。

レイナ うん。


左肩の男がすぐ割り込む。


左肩の男 なら領主に献上する!領主から渡されれば内側だ!

レイナ 贈与0。

男 領主への献上まで止めるのか!

レイナ 止めない。渡せばいい。

男 なら、

レイナ 領主が箱として使うのは別。ここへ入るのは0。

フィン 先に言っておくけど、領主の名前を書いて置いていくのも0だぞ。

男 まだ何もしてないだろ!

ミナ 前にした。

男 あれとは違う!

レイナ 同じ席。終わり。


男は箱を荷車から降ろそうとする。


ここへ置いていけば、受け取った形になる。

返却棚の横へ並べれば、四箱に見える。


だが箱は大きい。

紙や札のように凍結箱へ入らない。


ユハが無言で一歩動く。

荷車から箱を降ろせる幅だけを消す。


左肩の男 どけ。

ユハ 通行は向こう。

男 この箱を置くだけだ!

ユハ 置く場所0。

男 お前まで0と言うな!

フィン 浸透してるな。

ミナ 短いから便利。


荷車を入口へ寄せれば、子供便が通れなくなる。

外側へ置けば、荷車の持ち主が管理する物のまま。


受け取る場所がない。

降ろせない。


箱職人 持って帰れと言うのか。

レイナ 売る場所は他にもある。

箱職人 この寸法で作ったんだ。他では使いにくい。

フィン 注文したのは誰だ?

箱職人が左肩の男を見る。


箱職人 こいつだ。三箱では足りない。作れば必ず買い取ると言った。

左肩の男 買い取るとは言ってない。必要な場所へ納めれば金になると言った。

箱職人 同じだろう。

男 納められれば、だ!

箱職人 先に言え!

男 普通は使えると思うだろ!これだけ出来がいいんだぞ!


箱職人の顔が変わる。


自分の品を褒められているのに、嬉しくない顔。

注文した男が代金を出すつもりではなかったと分かった。


フィン ここへ押し込めば、こっちが払うと思ってたのか。

左肩の男 需要がある物を作った職人へ、対価を払うのは当然だ!

レイナ 注文者が払う。

箱職人 そうだな。

男 待て。これは領地全体のための、

箱職人 誰が注文した。

男 だから、必要になると、

箱職人 誰が作れと言った。

男 俺だが、金を出すとは、

箱職人 ならお前が買え。


フィン 普通の商売になった。

ミナ 箱運用から外れた。

レイナ 問題0。


左肩の男は言葉を探す。


箱職人は荷車の持ち手を握ったまま離さない。

箱を置いて帰る気は消えたらしい。


左肩の男 使える物を拒否して、無駄にするのか!

レイナ 無駄にしたのは注文。

男 三箱で足りない日が来る!

レイナ 来たら内側で決める。

男 その時、この箱を使えばいい!

レイナ その時に選ぶ。今は0。

箱職人 保管料も取るぞ。

男 なぜ俺が!

箱職人 買わないなら、別の買い手を探す間の分だ。

男 勝手にしろ!

箱職人 勝手に作らせたのはお前だ!


左肩の男が後ろへ下がる。


そこへ子供便が来た。


三箱を運ぶ三人。

一、二、三。


荷車の上の四つ目を見て、最後の子供が首を傾げる。


子供 よん?

ミナ 外。数えない。

子供 外!

レイナ 三まで。速歩き。

子供たち いち! に! さん! 終わり!


三箱だけが入口を通る。

四つ目は荷車の上。


見た目が同じでも、流れに入らなければ数ではない。


箱職人は子供たちの背中を見て、小さく息を吐く。


箱職人 三箱しか運ばない仕組みなんだな。

ゼフ 今は三箱。

箱職人 増やす時は?

レイナ 内側で数を決める。使用先と返却まで作る。

箱職人 箱だけ増やしても駄目か。

レイナ 箱だけ増えると止まる。

箱職人 ……先に聞けばよかった。

フィン 注文した奴が全部知ってる顔してたんだろ。

箱職人 そうだ。

レイナ 次は数字を聞く。

箱職人 注文数を?

レイナ 運用数。

箱職人 覚えておく。


荷車は帰りかける。


女商人が市場側から現れた。

今日は返却巡回の途中らしく、荷車には空きがない。


女商人 立派な箱ですね。

箱職人 買うか。

女商人 用途は?

箱職人 ここと同じ寸法だ。

女商人 ここでは0になった?

箱職人 聞いてたのか。

女商人 市場で声が響いていました。

フィン 噂が早い。

レイナ 嫌い。


女商人が箱を一周見る。触らない。


女商人 別の工房で部品運搬に使えます。蓋が丈夫なら需要はある。

箱職人 値は。

女商人 買い取りではなく、買い手を探します。手数料はこの額。

箱職人 高い。

女商人 専用寸法で買い手が狭い。

箱職人 半分。

女商人 四分の三。

箱職人 二分の一と、売れたら追加。

女商人 追加額次第です。

箱職人 商人だな。

女商人 商人ですので。


左肩の男が離れた場所から睨んでいる。

箱は運用へ入らなかった。


だが物として捨てられもしない。

別の用途へ売られる。


拒否したせいで職人が損をした、という椅子も立たない。

損を誰が負うかは、注文した者と作った者と商人の話。


こちらは入らない。


フィン 四つ目を壊したり取り上げたりしなくて済んだな。

レイナ 物は悪くない。

ミナ 運用へ入れないだけ。

ゼフ 外で別の値が付く。

レイナ 問題0。


今日の三箱。


一番は補修班内。

二番は東通りの金具工房。

三番は、木工房が不要なので革具工房へ空き移動。


革具工房では、修理待ちの留め具が作業台に並んでいる。

当日使用1。


三箱で使用3。

不足0。


左肩の男が叫んでいた、足りない日は今日ではなかった。


午後。

補修班から一番返却。


金具工房から二番返却。


革具工房から三番返却。


女商人の巡回荷車が、二番と三番を別の時間に一箱ずつ戻す。

満載待ち0。途中保管0。


返却3。


フィン 四箱目がなくても全部回った。

ミナ 当日使用3。返却3。

ゼフ 不足0。余り0。

レイナ 増数理由0。


夕方。ブラントが市場から戻る。


ブラント 外持込箱の話が回っています。

レイナ 数字は。

ブラント 外箱1。運用受入0。贈与要求1、交換要求1、成立0です。

ミナ 職人の箱は?

ブラント 女商人が買い手を一つ見つけました。染料工房が、蓋付きの運搬箱として検討しています。

フィン 無駄にはならなかった。

ブラント はい。箱職人は注文主へ代金の一部を請求するそうです。

ゼフ こちらの責任0。

レイナ 当日使用は。

ブラント 3。返却3。不足0です。

ミナ 市場の噂は?

ブラント 三箱で足りない、から、勝手に四箱目を作っても入らない、へ変わりました。

レイナ 説明しない。

ブラント 数字だけ返します。


領主へ数字だけ。


ブラント 運用箱3。使用3。返却3。外持込箱1。受入0。贈与0。交換0。

領主 箱の出来は。

ゼフ 良い。

領主 なら買えばいいのではないか。

レイナ 今は使わない。

領主 予備に。

レイナ 予備箱があると、四つ目を出したくなる。

ミナ 破損時は、その時に内側で交換を決めます。

領主 外から勝手に増やされた数を受けるな、ということか。

レイナ うん。

領主 良い。贈り物で仕組みを増やすな。

フィン 箱は別の工房へ売れそうです。

領主 なら無駄でもない。注文した者が払えばいい。

レイナ 正解。

領主 今日は当然すぎて腹も立たん。

レイナ 老化?

領主 前言撤回だ。腹が立った。

ミナ 外変化あり。

レイナ 1。

領主 板に書くな。


夜。灯りは二基。低く地味に足元だけ。入口は照らさない。外変化0。


運用箱は三つ。

三箱とも返却済み。


外持込箱なし。

四番札なし。

予備箱なし。

交換記録なし。

贈与受領書なし。


穴札12は腰袋のまま。

朝値変更0。

補修班の許可段+1もそのまま。


使える物でも、無料でも、立派でも。

外から置かれた一つを受け取れば、運用数は外の都合で増える。


増やす時は、箱だけでは足りない。

使用先、返却、朝値、便まで内側で揃えてから増やす。


それまでは三箱。


四つ目は、物として箱でも、こちらの数では箱ではない。


俺は板に一行だけ残した。

運用箱3で使用3・返却3を揃え、外持込箱1の贈与1と交換1を受入0にして増数理由0で終わらせた。


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