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現代の効率厨、異世界で生産と経営を回して気づいたら領主の右腕  作者: てへろっぱ


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第113話 印は0

朝。入口は暗いまま。箱壁も返却棚も灯りも触らない。外変化0。

返却棚に落ちていた箱を数える。札穴、番号、向き。遅延なし。対象外なし。静かだ。

粉も影も音も振動も、全部死んだ。相手が残すのは“意味”だけになる。言葉が取れないなら、物に意味を刻む。印。刻めば外で語れる。語れれば椅子が立つ。燃える。


フィン 来るぞ。検査印ごっこだ。

ミナ 印は厄介。見せ場が勝手に歩く。

ゼフ 剥がしたら外変化が出る。剥がせない。

レイナ 進捗、一つ。印は0。

フィン シンプル。

レイナ シンプルが燃えない。


ユハが無言で返却棚前の幅を殺す。止まれる距離が消える。覗ける角度が消える。

俺は作業台の一枠を見た。一枠は守ってる。置いて離れるも守ってる。

だから次は“置いた後”じゃなく“通った後”。印は通った後に残る。


ミナが紙を一枚だけ置く。短い条件文。理由は書かない。

印付きは0(凍結) 剥がさない 説明無し 質問無し


フィン 剥がさない、いいな。剥がした瞬間に完成感が出る。

レイナ 出さない。

ゼフ 0箱は既存。落とすだけ。

ミナ 同文。回す。

ブラント 外で聞かれたら?

レイナ 無言。


空箱便はいつも通り。番号だけ。1、2、3。

3番は持つ。持つ係はひとり。床置きなし。交代なし。重いは0。

外返答は無言。返答札は溝へ無音滑り。

今日足すのは一つ。印が付いたら0。触って確かめない。剥がさない。語らない。


子供が寄ってくる。

ミナ 三つ。番号だけ。

子供 いち!に!さん!

レイナ 止まらない。見ない。印は0。

子供 しるしはゼロ!終わり!

フィン 覚えるの早すぎ。

ミナ 短いからね。

レイナ 速歩き。


午前の半ば。空気が一段、硬くなった。

返却棚の落とし口の縁、作業台の端、箱の持ち手。

小さく赤い点。指先ほどの丸印。

それが一つじゃない。二つ三つ、ばら撒くように付いている。

印は言葉を呼ぶ。検査だ、許可だ、危険だ。全部、椅子の脚になる。


ゼフ 印。

ミナ 触らない。

レイナ 0。


俺は一瞬だけ迷う。拭けばきれいになる。剥がせば消える。

でもそれは外変化になる。覗きが喜ぶ。完成感が出る。

やらない。印は0。箱ごと寝かせる。


そこへ左肩が擦れた男が来た。今日は得意げ。手は見せない。見せない手で印を置いた顔。

男 ほら!検査印が付いたぞ!これで安全だ!

フィン 安全って言った瞬間、椅子。ここ椅子ない。

レイナ 0。

男 0って何だ!それは検査済みだ!

レイナ 印付きは0。

男 剥がせ!消せ!

レイナ 剥がさない。

ミナ 理由なし。

レイナ 質問無し。


男は印を“公式”にしたい。公式になれば外で勝てる。

だから今度は大きく押す。指じゃない。小さな木の印章。丸い柄。

俺の視線が柄の先を追う前に、ユハが一歩だけ位置を変える。印章を押す角度が死ぬ。押すなら通路を塞ぐ。塞げば自分が邪魔者に見える。


男 どけ!押す!

フィン 押すって言った瞬間、椅子。ここ椅子ない。

レイナ 印章0。

男 触ってない!押すだけだ!

レイナ 0。


ゼフが一瞥する。印章の柄。赤いインク。乾く前の匂い。

触らない。奪わない。壊さない。

流れの外へ押し出すだけ。0箱へ寝るだけ。


ゼフ 0。

ミナ 数だけ。

フィン はい終わり。


男は苛立って雑になる。

次は箱そのものに印を付けようとした。持ち手に赤い線。蓋の角に小さな丸。

印が増えれば増えるほど、こちらが止まると思ってる。止まれば口が増える。口が増えれば燃える。


レイナ 止まらない。印は寝る。

フィン 寝かせればいい。出さなきゃいい。

ミナ 同文。

ゼフ 同形の箱、内側にある。

レイナ 見せない。


ちょうど角で、3番の子の腕が少し沈んだ。重さ。

男の目が光る。重さに印を絡めたい。危険だ、検査だ、公開だ。

作らせない。動作で終わらせる。


3番の子 ちょっと重い。

ミナ 止まらない。

レイナ 0。落として離れる。

子供 ゼロ!終わり!


3番は0箱へ滑り込む。落としたら終わり。中身は見ない。確認しない。

持ち手に赤い点が付いていても、議論にならない。議論にする前に箱ごと寝る。

男が叫ぶ前に終わる。終わりが早いと燃えない。


男 ほら見ろ!印が付いた!検査済みだ!開けて確認しろ!

フィン 確認って言った瞬間、椅子。ここ椅子ない。

レイナ 無言。

ミナ 理由なし。

レイナ 質問無し。


男は“印が付いた箱が消えた”と言い換えようとする。隠蔽だ、危険だ、公開点検だ。

でも印が付いた箱は0で寝ただけ。寝たものは材料にならない。材料にするには中身がいる。中身は見ない。

残るのは男の声だけ。声は流れで死ぬ。


ユハがもう一歩だけ位置を変える。返却棚前の幅がさらに死ぬ。

見物が溜まれない。溜まれないと“検査印”が看板にならない。看板にならないと燃えない。


その瞬間、男が最後の手を出した。

自分の胸元から、薄い紙を出す。検査票。署名欄。押印欄。

印を紙に接続して“制度”にしたい。制度になれば椅子が立つ。立たせない。紙は箱。


ミナ 凍結送り。

レイナ 数だけ。

フィン はい終了。次の角行け。


帳面役の息も寄る。紙束。公開、点検、検査印の掲示。

でも掲示の板は増やさない。箱を増やさない。口を増やさない。

紙は読まずに凍結。数だけ残す。真似を誘発しない。


相手 検査印の意味を公開しろ!公開説明を、

フィン 公開って言った瞬間、椅子。ここ椅子ない。

相手 皆のために!

レイナ 皆のためは椅子。却下。

ミナ 凍結送り。


流れは止まらない。

空箱便は速歩きで抜ける。返却は落とすだけ。返答は無言。

印は0。剥がさない。語らない。

相手の見せ場が消えると、相手は雑になる。雑は距離で死ぬ。


ほのぼのは、子供が“印”をゲームにしないところで出た。

普通なら赤い点に反応する。触る。言う。騒ぐ。

でも子供は言わない。終わりが早いからだ。


子供 ……終わり。

ミナ えらい。

フィン 赤い点って、めっちゃ目立つのにな。

レイナ 目立っても口がない。


午後、補修班工房へ一度だけ行く。外は変えない。向こうの明るさも変えない。完成感も増やさない。

持ち込むのは形だけ。印付きは0。剥がさない。説明しない。質問しない。

3番は持つ係ひとり。まとめ返却。置いて離れる。全部そのまま。


補修班頭 赤い印が付いたって噂が来た。

レイナ 0。

補修班頭 拭け。

レイナ 昼は拭かない。

補修班頭 理由は。

レイナ 理由なし。

補修班の若いの 止まると面倒なんで。印は0でいいです。

フィン お前ら、0の切り分けだけ完璧だな。

若いの 終わりが早い方がいいんで。

レイナ 正解。


向こうでも同じ。印が付いた箱は0へ。

剥がさないから外変化0。

見せ場がないから噂が育たない。


夕方、ブラントが市場から戻る。噂の内容は持ち帰らない。形だけ。

今日は検査印だ、隠蔽だ、制度だ、が混ざった。混ざるほど説明が必要になる。説明が無いなら座れない。座れない噂は腐る。


ブラント 検査印を公式にしたい動きがありました。

レイナ 印0。

ミナ 紙一枚。理由なし。

フィン 印章と検査票は?

ゼフ 0。

レイナ 0凍結。説明なし。

ブラント 外は材料が取れません。座れません。


領主に数字だけが届く。領主は噂が嫌いだ。

領主 検査印だと?

ブラント 印付きは0凍結で処理、剥がさず説明無しです。

領主 良い。制度にするな。噂は嫌いだ。

レイナ しない。

領主 数だけ残せ。

ミナ はい。


夜。灯りは二基。低く地味に足元だけ。入口は照らさない。外変化0。

ゼフが内側でだけ、印の付いた部分を“戻す”。拭くじゃない。交換でもない。見せない動きで、赤い点を0として回収する。

回収した布も印章も紙も、全部0箱へ寝る。箱は増やさない。名前も増やさない。掲示もしない。

朝が来ても外は何も変わっていない。外変化0。完成感0。


俺は板に一行だけ残した。

印付き1/印章1/検査票1を0凍結で寝かせ、剥がさず無言のまま外変化0を維持した。

最後までお付き合いいただき感謝します。

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