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現代の効率厨、異世界で生産と経営を回して気づいたら領主の右腕  作者: てへろっぱ


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112/116

第112話 手形は0

朝。入口は暗いまま。箱壁も返却棚も灯りも触らない。外変化0。

返却棚に落ちていた箱を数える。札穴、番号、向き。遅延なし。対象外なし。静かだ。

映せない。聞けない。踏めない。座れない。

残った攻め口は一つだけ。触った痕。手形。汚れ。

触った証拠が作れれば、無言でも外で語れる。語れれば椅子が立つ。燃える。


フィン 次は手だな。手形で作る。

ミナ 触った触ってないの議論は長い。

ゼフ 長いは椅子。

レイナ 進捗、一つ。手形は0。


ユハが無言で入口側へ立つ。返却棚の前の幅を殺す。止まれる距離を消す。覗ける角度も消す。

でも手形は距離じゃ消えない。後で見つけられる。後で“証拠”にされる。

だから証拠にしない。証拠になった瞬間に0へ落とす。触痕は全部0。数だけ。理由なし。


ミナが紙を一枚だけ置く。短い条件文。理由は書かない。

手形・汚れ・粉付きは0(凍結) 拭かない 説明無し 質問無し


フィン 拭かないって言い切るの、潔いな。

レイナ 拭くと見せ場。

ミナ 見せ場は椅子。

ブラント 外で聞かれたら?

レイナ 無言。

ゼフ 0箱は既存。動線は変えない。

レイナ 外変化0。


拭くと整う。整うと完成感が出る。完成感は覗きの餌。

だから昼は拭かない。昼は動かさない日。汚れは汚れのまま0へ落とすだけ。

夜にだけ戻す。戻すだけは進捗にしない。外には見せない。


空箱便はいつも通り。番号だけ。1、2、3。

3番は持つ。持つ係はひとり。床置きなし。交代なし。重いは0。

外返答は無言。返答札は溝へ無音滑り。拾えない。釣れない。聞けない。踏めない。映せない。

今日はそこに、触痕は0、を足すだけ。


子供が寄ってくる。

ミナ 三つ。番号だけ。

子供 いち!に!さん!

レイナ 止まらない。触らない。終わり。

子供 さわらない!終わり!

フィン また呪文が短い。

ミナ 短いから残る。

レイナ 速歩き。


午前の半ば。空気が変わった。

返却棚の縁。落とし口の周り。作業台の一枠。

薄く黒い粉が乗っている。煤みたいな細かい粉。指先についたら残る。手形が出る。

そして出た手形を“触った証拠”にして騒ぐ。見学が死んだ分、これで外で語る気だ。


ゼフ 粉。

ミナ 触らない。

レイナ 0。

フィン 来たな。手形作り。


子供が指を伸ばしかけた。

ミナ 触らない。終わり。

子供 終わり!


触らないは最強だが、仕事は回る必要がある。

触らずに回すには、導線が必要だ。

ユハが無言で立ち位置を変える。返却棚に寄らずに通れる幅だけ残す。寄る幅は殺す。

箱は落とし口へ近づけない。落とし口の手前で、流れに乗せて落ちる位置へ“滑らせる”。手の接触を増やさない。止まらない。


そこへ左肩が擦れた男が来た。今日は早い。得意げ。粉があるからだ。

男 ほら!見ろ!触った証拠が出るぞ!

フィン 証拠って言った瞬間、椅子。ここ椅子ない。

レイナ 粉0。

男 0って何だ!拭け!洗え!

レイナ 拭かない。

ミナ 理由なし。

レイナ 質問無し。


男は粉を指でなぞって見せた。黒い線が残る。

男 ほら触った!お前ら触っただろ!

レイナ 0。

男 認めたな!

レイナ 認めない。0。

フィン 触った触ってない、そこで座りたい顔してるけど無理。終わり。


男の狙いは明確だ。

誰かの手に粉をつける。ついた手で箱を触らせる。箱に手形が残る。

手形を掲示する。公開点検に持ち込む。

だから手形が出た箱は、その瞬間に0。議論の土台を消す。証拠を証拠にしない。


3番の子が角を曲がる。持つ係ひとり。止まらない。

だが男がわざと近い距離に立った。粉を手につけさせたい。

ユハが一歩だけ出る。男と子供の間の幅が死ぬ。近づくほど邪魔者に見える角度。邪魔者は押される。押されると手を伸ばせない。


男 危ねえ!粉が付くぞ!

フィン 付いたら0。終わり。

男 じゃあ確認しろ!

レイナ しない。

ミナ 理由なし。

レイナ 質問無し。


その間に、3番の子の腕が少し沈んだ。重さ。

そして粉のせいで、持ち手が少し滑る。手のひらに黒い筋。

ここが相手の勝ち筋のはずだった。証拠が出来る瞬間。

だが証拠は0で死ぬ。


3番の子 ちょっと重い。手、黒い。

ミナ 止まらない。

レイナ 0。落として離れる。

子供 ゼロ!終わり!


3番はそのまま0箱へ滑り込む。落としたら終わり。中身は見ない。

黒い手形が付いた持ち手も、議論にならない。議論にする前に箱ごと寝る。

残るのは数だけ。重さ違和感1、粉1、0凍結1。詳細は書かない。真似を誘発しない。


男が駆け寄る。

男 ほら見ろ!黒い手形だ!触った証拠だ!公開だ!

フィン 公開って言った瞬間、椅子。ここ椅子ない。

レイナ 0。

男 証拠を隠した!

レイナ 隠蔽は言葉。却下。

ミナ 理由なし。

レイナ 質問無し。


男は次の手。粉をもっと広げる。通路に撒く。足跡も取る気だ。

だが足跡は前に潰した。粉は触痕。触痕は0。

しかも通路幅はユハが殺している。撒けば撒くほど、撒いた本人が邪魔者になる。邪魔者は押される。押されると撒き続けられない。


ゼフ 撒き。

レイナ 0。

ミナ 数だけ。

フィン 撒けば撒くほど自分の仕事増えるぞ。終わり。


ここで、レイナが短く刺す。

レイナ 粉が出た日。進めない。空振り。

フィン 動かさない日か。

ミナ うん。進捗を外に出さない日。

ゼフ 外は変えない。拭かない。

レイナ 触痕だけ0。


触痕が残ったままでも、外変化0。完成感0。

そして“今日は進まない”が混ざると、相手の観察が腐る。

腐った観察は焦る。焦った手口は雑になる。雑は距離で死ぬ。


帳面役の息が来る。紙束。署名。公開。安全。

今日は手形がある、衛生が悪い、危険だ、公開点検だ。椅子セットが一気に揃う日。

だが椅子を置く場所がない。ユハの幅が殺している。紙は読まない。箱へ落とす。


相手 衛生が悪い!公開説明を、

フィン 公開って言った瞬間、椅子。ここ椅子ない。

相手 皆のために!

レイナ 皆のためは椅子。却下。

ミナ 紙は凍結送り。


紙束は受け取られて読まれず、既存の凍結送りへ落ちる。箱は増やさない。口も増やさない。

手形を材料にするには、写真と説明がいる。写真は影で死んだ。説明は無言で死んだ。

残るのは黒い粉の事実だけ。事実は0で寝る。座れない。


ほのぼのは、子供が“黒い手”を気にせず終わらせるところで出た。

黒いのが付いた手を見て、子供が一瞬だけ不安そうにする。

ミナが短く言う。

ミナ 洗う。終わり。

子供 洗う!終わり!

フィン それだけで終わるの、助かるな。

レイナ 口を増やさない。


洗う場所を掲示しない。説明しない。導線の奥で終わらせる。

外へ衛生の看板を立てさせない。外変化0。


午後、補修班工房へ一度だけ行く。外は変えない。向こうの明るさも変えない。完成感も増やさない。

持ち込むのは形だけ。手形は0。拭かない。説明しない。質問しない。

3番の持つ係ひとりもそのまま。まとめ返却もそのまま。置いて離れるもそのまま。


補修班頭 黒い粉が出たって聞いた。

レイナ 0。

補修班頭 拭け。

レイナ 昼は拭かない。

補修班頭 理由は。

レイナ 理由なし。

補修班の若いの 止まると面倒なんで。手形は0でいいです。

フィン お前ら、0の使い方だけプロだな。

若いの 終わりが早い方がいいんで。

レイナ 正解。


補修班側でも同じ。黒い粉が付いた箱は0へ。手形は証拠にならない。

証拠にならなければ、外で語れない。語れなければ燃えない。


夕方、ブラントが市場から戻る。噂の内容は持ち帰らない。形だけ。

今日は手形だ、衛生だ、隠してる、公開点検だ、が混ざった。

混ざるほど説明が必要になる。説明が無いなら座れない。座れない噂は腐る。


ブラント 手形で攻める形が回りかけました。

レイナ 手形0。

ミナ 紙一枚。理由なし。

フィン 粉撒きは?

ゼフ 0。

レイナ 0凍結。説明なし。

ブラント 写真も説明も取れないので、外は雑になります。雑は続きません。


領主へは数字だけ。短く。噂が嫌いな人間は数字で切る。

領主 衛生だと騒いでいる。

ブラント 手形と粉は0凍結で処理です。掲示も説明もしていません。

領主 良い。説明すれば材料になる。噂は嫌いだ。

レイナ 材料を出さない。

領主 外は変えるな。

ミナ 外変化0。


夜。灯りは二基。低く地味に足元だけ。入口は照らさない。外変化0。

ゼフが内側でだけ、粉が乗った縁を“戻す”。拭くじゃない。交換でもない。見せない動きで、粉を0として回収する。

回収した布も粉も0箱へ寝る。箱は増やさない。名前も増やさない。掲示もしない。

朝が来ても外は何も変わっていない。外変化0。完成感0。


俺は板に一行だけ残した。

手形粉1と撒き1を0凍結で寝かせ、拭かず説明せず外変化0のまま攻め口を腐らせた。

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