第109話 振動も0
昨日は新規小説の事を色々考えてたら朝で投稿忘れてましたすみません!
朝。入口は暗いまま。箱壁も返却棚も灯りも触らない。外変化0。
返却棚に落ちていた箱を数える。札穴、番号、向き。遅延なし。対象外なし。静かだ。
音を殺した翌日は、相手が床で来る。耳が死んだなら、足裏で拾う。
フィン 次は地面か。
ミナ 止まりを作るには便利な餌。
ゼフ 振動なら、聞かなくても分かる顔ができる。
レイナ 進捗、一つ。振動も0。
フィン 0万能。
レイナ 万能にする。
ユハが無言で返却棚前の幅を先に殺す。寄って覗く距離が消える。寄って足を止める距離も消える。
止まれないなら、振動を拾う時間がない。だが相手は時間を作りに来る。道具で。
ミナが紙を一枚だけ置く。短い条件文。理由は書かない。
返答札は無音滑り 振動具は0(凍結) 拾わない 説明無し 質問無し
レイナ これ。
ミナ 同文で回す。
フィン 振動具って何でも入るぞ。
レイナ 入れる。0。
ゼフ 落ち溝は二本。布は薄いまま。外は変えない。
レイナ 外変化0。
空箱便はいつも通り。番号だけ。1、2、3。
3番は持つ。持つ係はひとり。床置きなし。交代なし。重いは0。
外返答は無言。返答札は滑って溝へ。拾えない。釣れない。聞けない。次は踏ませない。
子供が寄ってくる。
ミナ 三つ。番号だけ。
子供 いち!に!さん!
レイナ 外は無言。止まらない。
子供 むごん!とまらない!終わり!
フィン 語彙だけ育つのズルい。
ミナ 短いから残る。
レイナ 速歩き。
午前の半ば。左肩が擦れた男が現れた。今日は荷物が薄い。板を持ってる。薄い金属板。
床に置けば、落ちた振動がカン、と返る。耳じゃなく足裏で分かる。見物にも分かる。見物が分かれば椅子が立つ。
男 ほら、ここ。落ちたら分かる。
フィン 置くな。
男 危険の見える化だ!
レイナ 見える化は椅子。却下。
ミナ 理由なし。
レイナ 質問無し。
男は板を返却棚の前に滑り込ませようとした。
だがユハが一歩だけ位置を変える。板が入る角度が死ぬ。入れるなら通路を塞ぐ。塞いだ本人が邪魔者に見える。
邪魔者は止まる。止まった方が負ける。
ゼフ 板。
レイナ 振動具。0。
フィン はい終わり。
奪わない。取り上げない。壊さない。
板は流れの外へ押し出されて、0箱へ寝る。箱は増やさない。名前も増やさない。掲示もしない。
男の顔が歪む。材料が消えると、正義が座れない。
男 隠蔽だ!
レイナ 隠蔽は言葉。却下。
ミナ 理由なし。
レイナ 質問無し。
男は次の手。板がダメなら糸。
床に細い糸を張り、札が滑った振動を指先で感じるつもりだ。聞かないで分かる顔。
だが糸を張るには止まる場所が必要だ。止まれない。張れない。張ろうとした瞬間、糸だけが目立つ。
ゼフ 糸。
レイナ 振動具。0。
ミナ 数だけ。
フィン 糸で勝とうとすんな。終わり。
その間に角で腕が少し沈んだ。重さ。見ない。確認しない。止まらない。
3番の子が一瞬だけ顔をしかめる。そこへ声が刺さる前に動作で終わらせる。
3番の子 ちょっと重い。
ミナ 止まらない。
レイナ 0。落として離れる。
子供 ゼロ!終わり!
3番は0箱へ滑り込む。落としたら終わり。中身は見ない。
ゼフが返答札を落とす。今日は落ち溝二本のどちらへでもいい。薄い布で滑る。音も振動も拾えない。
男が足裏を意識して踏みしめた。だが何も来ない。来ないと物語が作れない。
男 今落ちたはずだ!なんで揺れねえ!
フィン 揺れねえって言葉、椅子。ここ椅子ない。
男 証明しろ!
レイナ 無言。
ミナ 理由なし。
レイナ 質問無し。
男は焦って雑になる。縁に偽札を貼る。音も振動も拾えないなら目で拾わせるしかない。
だが縁は触らない。縁に来た物は0。
ゼフが一瞥して、足先で流れの外へ押し出す。手で触らない。責任を生やさない。0へ寝る。
ゼフ 貼り。0。
レイナ 0。
ミナ 数だけ。
帳面役の息が来る。紙束。署名。公開。安全。
今日は振動が消えた、が餌になる。設備が不正だ、隠してる、公開点検を。椅子セット。
だが紙は凍結へ落ちる。読む前に寝る。口を増やさない。
相手 証拠が消えた!公開説明を、
フィン 公開って言った瞬間、椅子。ここ椅子ない。
相手 皆のために!
レイナ 皆のためは椅子。却下。
ミナ 紙は凍結送り。
紙束は受け取られて読まれず、既存の凍結送りへ落ちる。箱は増やさない。口も増やさない。
音も振動も拾えないと、外は雑になる。雑は距離で死ぬ。こちらは追わない。
ほのぼのは、子供が勝手に遊びにするところで出た。
子供が足をそっと踏んで、何も起きないのを確かめて、指で口を塞いで去る。
喋らない。止まらない。終わりが早い。
子供 ……終わり。
ミナ えらい。
フィン 終わりが、足裏まで止めるな。
レイナ 続ける。
午後、補修班工房へ一度だけ行く。外は変えない。向こうの明るさも変えない。完成感も増やさない。
持ち込むのは形だけ。返答は無言。返答札は無音滑り。振動具は0。まとめ返却はそのまま。3番は持つ係ひとり。
補修班頭 外が板を置いたって?
レイナ 0。
補修班頭 返事は。
レイナ 無言。
補修班の若いの 止まると面倒なんで。板も糸も0でいいです。
フィン お前ら、0の使い方だけ一流だな。
若いの 終わりが早い方がいいんで。
レイナ 正解。
夕方、ブラントが市場から戻る。噂の内容は持ち帰らない。形だけ。
今日は振動が消えた、という言葉が混ざった。混ざるほど説明が必要になる。説明が無いなら座れない。座れない噂は腐る。
ブラント 板で証明できないと分かって、外が雑になってます。
レイナ 雑は距離。
ミナ 紙一枚。理由なし。
フィン 板と糸は?
ゼフ 0。
レイナ 0凍結。説明なし。
ブラント 材料が取れません。座れません。
夜。灯りは二基。低く地味に足元だけ。入口は照らさない。外変化0。
ゼフが0箱の中の板と糸と偽札を奥へ寄せる。開けない。戻さない。
落ち溝の布は薄いまま。外から見える変化は0。
朝が来ても外は何も変わっていない。変わったのは、耳も足も座れないことだけ。
振動具 2/偽札貼り 1/0凍結 3
俺は板に一行だけ残した。
返答札の無音滑りを振動でも拾えない形にし、板と糸と偽札を0凍結で沈めて無言返答を守った。




