サイバーワールド
全貌が見えてきたサイバーワールド。ようやく大筋に来ました。
香里奈に急かされるように、空を飛びながらタワーを目指す。データで形成された雲を突っ切り、タワーの上空に着く。
タワーの屋上に着くと、香里奈と、その隣にはアリスもいたようだ。
「こんなところまで呼び出して、何のつもり?」
美生は香里奈のことを睨みつける。すると、それに反応するように香里奈も美生のことを睨みつける。
「あぁ? テメェこそ、1人で狩りなんざぁ言い気味だなぁ」
「何ですって!? 今日と言う今日は許さないんだから!」
2人は睨み合いながら見つめ合う。私は呆れながらも、2人を放置する。そして、アリスと会話する。
「アリスはなんで香里奈と一緒に?」
「香里奈ちゃんとはここで落ち合っただけだよ。あなたを呼んだのは私の案だけど」
「なるほど、ただ呼んだだけではなさそうね」
私がそういうと、アリスはウィンドウを展開する。展開されたウィンドウを眺めると、JPサーバーの全体図が表示されていた。
「これは?」
「JPサーバーの全体図だよ。一見するとゲームのような街並みだけど、実際は日本各地の企業やスパコンのサーバーだったりするの。『電脳世界』では、こうやって街並みとして表示されているのよ。まるでゲームやウェブ小説に出てくる街のようにね」
「この街では、日本古来の街並みが展開されているのね。そっちはどうなの?」
「NAサーバーは、ニューヨークに似た風景だったよ。それぞれのサーバーは、それぞれの国を意識した街並みになっているわ。文化を象徴していると言っていいね」
アリスはアメリカの軍人として、世界各国を転々としている。そのため、その地域のサーバーの『電脳世界』が、その文化をモチーフになっているそうだ。
「それだけじゃないぜ? グローバルに繋がる回線もあるんだ。ほら、上を見てみろよ」
香里奈が上を見上げると、大きいな空洞のような穴が見える。
「これは?」
「グローバル回線用の回路だ。ここから世界中のネットワークに接続できるんだ。経営者としては、世界の要人たちとネットで会議したりするから、重宝させて貰ってるがな」
香里奈が見上げながら説明する。起業家や政治家たちが、世界各国の要人たちと話をするためには、この回線が必要不可欠のようだ。
ふと外を見ていると、海の風景を見る。
「あれは?」
「あれはサーバーの壁ね。『現実世界』で電波が繋がらないってことがあるでしょ? あれは壁の外に入っていること示しているの。この壁を出たら、グローバル回線に接続しない限りは何も繋がらない虚無の世界ね」
美生が壁の外について話す。どうやら、あの壁を向けるとこのサーバーとの接続が途切れ、特殊な電波がない限りネットワークに繋がらないみたいだ。
このご時世では、それはあまりに酷なことだ。それはこの領域も例外じゃない。自然災害が多いこの国では、ネットワークに繋がらないことがよくあることなのだ。
タワーから街並みを覗いていると、アリスが上から何かを検知する。
「みんな備えて。何か来る」
「ったく、ゆっくりさせてくれそうにないな」
3人は戦闘準備を始める。すると、それぞれの『ウェポン』を展開し始める。
「何か来るの?」
「美羽はここでの戦いは初めてよね? 要するにやられたってこと!」
「やられた? どういうこと?」
「ハッキングされたってことだよ。外部の、それも手練れなハッカーにね」
アリスがそういうと、壁がジャミングされたように消える。すると、カマキリのような何かが、街に向かって移動する。
ドローンのようなものが、それを食い止めるために迎撃をするが、意図も容易く突破される。
カマキリがビルの上に着くと、卵を植え付けるように後ろの部分をビルに突きつける。
「これは厄介なやつだな」
「そうだね。あれでどれだけの企業が被害を受けたか」
アリスと香里奈は、ビルの上で卵を植え付けるカマキリを眺める。
「あれは何? カマキリみたいだけど」
「ランサムウェア。あれはお尻をビルに植え付けると、サーバーを乗っ取るのよ、こうしている間に、機密情報を抜き取っては身代金を要求する。それが奴らの常套手段よ」
カマキリたちは次々とビルの屋上に登り、卵を植え付けている。その中には、シールドを展開しているビルもある。
「人が一生懸命培ってきたものを無断に取るなんて、許さないわ。みんな、準備はできてる?」
「当然よ。痛い目を見てあげないと」
「私の会社もあぁなるもの面倒だしな。一匹残らず蹴散らしてやるよ」
「なら、手っ取り早く始めましょう」
私も『正宗』を展開し、3人の先頭に立つ。3人とも、私が先頭に立つことには文句を言わないようだ。
「やっぱりリーダーは美羽だな」
「何? 香里奈らしくないわね」
「まぁ、美羽が立つなら文句はないわね」
「ここへきた時に、誰がリーダーにするのがいいか香里奈ちゃんと話し合ったのよ。そしたら、満票で美羽ちゃんがいいってさ」
美生と香里奈の方を見る。2人とも私がリーダーになることには賛成するらしい。
「わかったわ。なら、みんな各自であのカマキリを狩りまくる方向で行きましょう」
「何それ? 随分と野暮な作戦ね」
「野暮なくらいがちょうどいいんでしょ? 違う」
「あぁ、違いね。なら、先に行かせてもらうぜ!」
香里奈は『ウィングユニット』を展開し、マッハで摩天楼へと降下する。美生も負けじと香里奈の後を追う。
「それで? 私は何を?」
「2人の援護をお願い。私は奴らを駆逐しながら、『悪性アバター』を探すわ」
「なるほど。その時点で侵入られたってことね。なら、そっちは任せるよ」
アリスは背面から降下し、『ウィングユニット』を展開してはそのまま摩天楼へと向かう。
その後を追うように、私も『ウィングユニット』を展開し、3人の後を追うのだった。
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