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サイバーブレイン  作者: nashlica
序章
17/17

ブレイバーについて

 100年に及ぶ人類の戦争の歴史を語り終え、香里奈は『ブレイバー』について語り出す。そういえば、『ブレイバー』について話を聞くのは初めてかも知れない。そう思いながら、無機質な部屋はプロジェクションマッピングが再び映り始める。


「現代において、人と『アバター』は切っても切れないものになっている。それは知ってるわね? 人間が生まれた瞬間に自身と瓜二つのAI、『アバター』が生まれる。これはただ単に人を助言するものではなく。『現実世界(リアル・ワールド)』とは別の世界でも()()が生まれたとされるわ」

「『現実世界(リアル・ワールド)』とは別の世界? そんなものがあるというの?」

「正確には今のネットワークね。かつてのインターネットよりも、膨大な情報量を有する今のネットワークは、いわゆるもっとも間近に存在する異世界ね。SNS以上に人間同士の交流が盛んと言えるわ。でも、そんな人類でも、特殊な人間もいる。それが私達、『ブレイバー』よ。『ブレイバー』は生まれつき『アバター』を持たない。何かの拍子に交わることで、初めて『アバター』を持つ。それが『ブレイバー』よ」


 プロジェクションマッピングには、人と『アバター』の映像が再生される。しかし、『ブレイバー』については別の映像が写っているようだ。


「『ブレイバーのアバター』には、それぞれ固有の呼称がある。それも大半が神話の英雄、神々の名を冠するとされているわ。私の『アバター』、アマテラスもそう。それが第一の共通点よ。」


 香里奈の言葉に、美生は話始める。


「『ブレイバー』になる条件としては、1に人間の平均よりも脳が発達していること。2に高度で自立したAIを持つ『アバター』であること。3に『ギリシア・コード』を有すること。これらが満たしていることで、『ブレイバー』は初めて『リンク』することができるってお父さんの論文で見たよ」

「お父さん? 井崎博士のこと?」

「そう。10年前に、私達の父親がそれを提唱するために、この街で実験をしたの。草薙教授は研究のための場所を、井崎博士はそれを立証すること、瀬戸内社長はそのための資金の提供をしたの。でも、その研究によって、あんな悲惨の事故が起きるなんてね」


 香里奈は膝上に置いている手で、ワンピースの裾を握る。美生も悲しい目をしながら、下を向く。二人の様子を見ていた私は、ノイズのような身に覚えのない風景を見る。


「どうかしたの?」

「いえ、大丈夫よ。香里奈、続けて」


 私がそういうと、香里奈は話を続ける。


「『ブレイバー』は人と『アバター』が『リンク』することで、真の力を発揮する。人の体をデータとして認識し、『アバター』は自らの情報を人の肉体に適合させる。こうすることで、『ブレイバー』は『リンク』した姿となるわ。私達がああ出来るのも、脳が『アバター』のバフによって、擬似的に脳を100パーセント機能させていることになるわ」

「あのウィンドウもそういうことなのね。脳に情報が埋め込められていることになるのかしら?」

「そうね。『リンク』している状態なら、『アバター』のAIが人の脳裏に情報を送り込まれているってことになるわね。見ているものはゲーム(フィクション)としても、それは紛れもない現実(リアル)なのよ」


 香里奈の言葉に、私は少し納得する。見えてる風景はフィクションでも、それは紛れもない現実なので。そう、たとえこの手で不利益な殺しやったとしても、それはもう現実なのだから。

『ブレイバー』について話していると、翼が何かを検知し、私達に伝える。


「香里奈様! 大変です! フロントで騒ぎが起きてます!」


 翼の言葉に、私達は急ぎエレベーターに向かう。


「翼は!?」

「彼女はここに居させるわ。それより、早くフロントに行きましょう」


 エレベーターで25階から、1階に降りる。降りると、謎の集団が抗議をしているようだった。


「瀬戸内香里奈を出せ!」

「早く出せ! 奴のせいで、俺たちの土地が買われてしまう!」


 警備員が必死に集団を止めてる。しかし、目を見るとどうやら正気ではないらしい。


「あの目って?」

「うん。ナノマシンを注入されたんだと思う。でも、ナノマシンって、昨日私と美羽でどうにかしたんじゃ?」


 私と美生は、正気じゃない集団を見てそれがナノマシンによるものと判断する。どうやら、ヤクザに脅されて『アバター』を人質にされたのだろう。


「ここの地下に行きましょう。この暴動には、誰か黒幕がいる」

「地下まであるの?」

「えぇ、父が生きていた頃に大型の事業を展開すると言って、作ったのよ。でも、父が死んだことで、その事業は白紙撤回されたようだけど」


 私達は、急いで地下へ降りる。香里奈の案内で、エレベーターで地下へと降りると、不自然に明かりが灯っていた。


「ここは瀬戸内グループの兵器開発部門。政府に法的に黙認されてはいるけど、自衛隊への最新鋭の装備と平和目的での世界格好への兵器の開発、供給を行っているわ。まぁ、そもそも地下の存在なんて、幹部クラスしか知らないわ」


 地下を淡々と降り、格納庫らしき場所へと着く。


「この兵器も、あなたが?」


 大型のロボットを見て、私は香里奈に質問する。しかし、香里奈はこれを知らないみたいだ。


「いや、知らないわ。一体誰がこれを?」


 香里奈が唖然としながら巨大ロボットを見上げる。悪魔の様な巨体と、発達した2本の腕を見て、怪物を彷彿させる。

 そして格納庫の奥から、黒スーツの男が現れ、私達は身構えをするのだった。

もしよければ、ブックマークやいいね、評価の程よろしくお願いします!

レビューや感想も是非!!

多忙につき次回も完成次第22時頃に更新します!

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