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サイバーブレイン  作者: nashlica
序章
16/17

100年に渡る戦争の歴史

「いい2人とも。これから映るのは、人類史にとって壮絶な100年の歴史よ」


 薄暗い空間で、香里奈はそう語る。車椅子に腰をかけた下半身が動かないその体には、私達が見たことのない覇気を感じ取れる。


「翼、例のあれをお願い」

「はいです!」


『ブレイバー』となっている翼は、鞭のような『ウェポン』を携え、それを地面に叩きつける。


「『ギリシア・コード【O】。演算支援システム【タイキョクズ】』」


 陰陽玉のようなものが、地面に敷かれる。すると、薄暗い空間が突如としてプロジェクションマッピングのように、白黒のような映像が再生される。

 その空間で、香里奈は淡々と話し始める。


「1939年。突如として、当時ナチス政権下にあったドイツが、ポーランドへと侵攻を開始した。それと同時に、ソ連もポーランドの東側を侵攻。一瞬でポーランドという国はソ連、ドイツに分割されるように占領された。それを受けた英仏は、ドイツへと宣戦布告。これがよく知れた100年前の大戦、第二次世界大戦の始まりよ」

「それは知ってるわ。ドイツは迅速な戦術(電撃戦)で、イギリス以外のヨーロッパ諸国を次々と占領。東のソ連とは不可侵条約を結んでいたのを良いことに、残るはイギリスを落とすだけだった。でも、イギリスの抵抗により、ドイツはグレートブリテン島(イギリス)の侵攻を断念かねてより敵視していたソ連に目を向けるようになったってわけね」

「そう、それだけじゃないわ。太平洋では、我が国日本が、アメリカ、イギリスなどの連合国と熾烈な海戦を広げ、北アフリカでは、ファシスト政権下でのイタリアが、領地を求めて連合国陣営と熾烈な争うを繰り広げていた。まぁ、イタリアの戦力はたかが知れてるわ。大半はドイツの兵力なのがその証拠よ」


 淡々とプロジェクションマッピングの映像は解説する香里奈。映像は、ドイツとソ連が熾烈に掃討戦を繰り広げている場面が映し出された。


「独ソ戦? ドイツとソ連が、互いの全戦力を注いだ世界史上最も壮絶な陸上戦だよね?」

「そう。ドイツとソ連はお互いの全戦力を注いで熾烈な陸上戦を繰り広げた。レニングラード、クルクス、スターリングラード。この3つの都市がその際たる例ね。この3か所は特に戦線が激しかった。当時ソ連では、スターリンによる大粛清が影響したせいか、それほど潤沢に兵力がなかった。フィンランドとの戦争も影響して、ドイツ軍の前では蹂躙されるだけだったわ。秋までは」


 香里奈の言葉に、映像の場面が冬に変わる。


「ドイツ兵を襲ったのはソ連軍の奇襲ではない。冬よ。ソ連の領地は、冬になると強い寒波に襲われる。西部戦線でたかを括ってたドイツ兵にとって、この地域の冬はまさに死そのもの。当然ドイツ兵の武装は極寒の冬には対応しておらず、凍死した兵士が続出したそうよ」

「それが、ドイツ軍の衰退の起因になった。そして次々とドイツは敗戦を繰り返し、戦線を後退していった」

「そして、背後から連合国の軍勢が、ノルマンディーから上陸し、ドイツは敗戦した。これが第二次世界大戦におけるヨーロッパ側の戦線だね」


 ドイツの敗戦により、ヨーロッパの戦線は幕を閉じる。そして、映像は太平洋の方に切り替わる。


「一方、太平洋の方も戦線は連合国よりになったわ。ミッドウェー海戦での大敗から、日本の攻勢は著しく低下したのよ。そして、日本は世界最大の戦艦を海に発艦させる。そう、誰も見たことのない巨大戦艦の出撃は、世界を震撼させたわ」


 プロジェクションマッピングに映る映像には、巨大な戦艦が、それまた巨大な砲口から砲弾を射出させる。その光景は、まさしく圧巻させるものだった。


「戦艦大和」

「そう、この太平洋戦争末期に発艦した、世界最大級の戦艦よ。その砲口から放たられる砲弾は、並の戦艦でも耐えきれない程の威力があったらしいわ。今の技術では、大和を再び建造することは出来ないとされているわ。まさに失われた技術(ロストテクノロジー)ね」

「でも、大和は沈んだ。大和が沈んだことで、日本は敗戦確実とされた。でも、それでも日本は潔く敗戦を認めなかった。あれが来るまではね」


 美生の言葉と共に、かつての広島の街が映り出す。それと同時に、香里奈が語り始める。


「1945年、8月6日。早朝に広島の上空に、アメリカのB-29が飛来した。それと同時に、ある一つの爆弾が投下され、広島の上空で爆発した。その爆弾は瞬く間に広島の街を焼き払い、その熱線で爆心地付近の人々は蒸発、ないしも全身に火傷を負った。まるでゾンビのように水を求め、飛び込んだ川で息絶えたそうよ。それだけじゃない。その爆風によって、家屋の殆どが倒壊。平和な街は一瞬で焦土と化したわ。それがなんだかわかる? 私達日本人が遺伝子レベルで恐れているあの兵器よ」

「原子力爆弾……。いわゆる核爆弾ね」

「そう。そして8月9日にも、長崎にも原爆が投下された。それが日本の降伏を決定的にさせ、8月15日に日本は連合国側に降伏を通達。これにて第二次世界大戦は終戦したわ。でもそのすぐに、アメリカ、ソ連による冷戦が始まり、世界は核戦争への恐怖に怯える時代に到来した。でも、それも東欧革命によって均衡を崩れ、1991年末のソ連崩壊によって冷戦は終結した。それから時が流れ、多くの出来事があり、今に至る。これが第二次世界大戦から100年が経過した世界の歴史ね」


 香里奈がそういい話を締めると、プロジェクションマッピングは消え、無機質な部屋に明かりが灯る。


「さて、次は私達『ブレイバー』について話すべきね。特に美羽、あなたには」


 香里奈がまた私に話すと、再び部屋の明かりが暗くなる。かくして、再びプロジェクションマッピングが映り出され、香里奈は語り出すのだった。

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