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サイバーブレイン  作者: nashlica
序章
15/17

7年ぶりの再会

 美生に急かされるように、カンナギ市の中心である瀬戸内グループ本社の前に着く。時刻は九時。休日出勤する会社員たちが、徐々にビルへと入っていく。学生である私達では、次元の違う場所ではあるが、ここへ来たには理由がある。

 幼馴染で、現社長の瀬戸内香里奈に会うためだ。学生である私と美生がここへ来るには少し億劫になる。特に美生は政府に雇われているハッカーでもあるが、同時に『ブレイバー』でもある。だとしたら、香里奈もまたそうなのかと疑問に思うところだ。


「相変わらず大きいね。政府の官僚と来た時以来だよ」

「こんなに大きいとはね。さぁ、行きましょう」


 私達は、ビルの中に入る。中に入ると、受付の人に香里奈に会いたいよう伝える。


「すいません。かり……瀬戸内社長と御面会したいのですが」

「申し訳ございません。社長は現在予定が御座いまして、今の時間面会はご遠慮させていただいておりますので」


 丁寧に断られてしまい、落胆とする。しかし、その直後に受付の人に電話がかかる。しばらく待っていると、どうやら案内されるみたいだ。


「失礼致しました。社長のご友人様でしたので、今係のものがこちらに向かいますので」


 案内の人は申し訳なさそうに私達に深々とお辞儀をする。しばらくして、メイド服を来た少女が、私たちの元に現れた。


「お待ちしておりました。瀬戸内香里奈の使いのものです。では、ご案内しますね」

「あ、はぁ……」


 メイド服を着た少女は、私たちを香里奈のいる場所へと案内する。


「すごいわね。こんな高層階に住んでいるとはね」

「あれ? 昔からここだったけど?」

「そうだっけ? 昔は、住宅街の豪邸じゃなかったかな?」

「あれからそこを引き払って、ここに居住を移したんだよ? 忘れてた?」

「そういえばそうだったわね。しかし、30階ともなれば、街を一望できるわね」


 エレベーター越しに映る街に圧巻されながら、香里奈のいる階に到着する。


「香里奈様。ご友人様がご到着致しました!」


 マイク越しに香里奈に話かける。すると、スピーカーから、聞き覚えのある声が聞こえた。


『わかったわ。早く入れて』


 声と共に自動ドアが開く。メイドの少女の案内に、香里奈の部屋に到着する。


「今読書中。会社のことなら専務に言って」

「もう! こんなに本を散らかして。お客様たちがいらしたのに、だらしないですよ!」

「客なんて呼んで……」


 ベットを起こしながら、本を呼んでいた香里奈は、私たちの顔を見て驚く。


「久しぶりだね、香里奈。最近変わったことは?」

「美生、待っていたわ。急に呼び出し悪いわね」

「そんなことないよ。私達の仲じゃない?」


 美生は香里奈と再会の挨拶をする。そして、香里奈は私の顔を見る。


「美羽。あなたも久しぶりね。7年ぶりかしら?」

「そうね。相変わらず無愛想なのは変わらないわね」

「失礼ね。これでも、昔よりは顔に出るようになったわ」


 香里奈は私と挨拶しながら、体を捩りながら車椅子に座る。


「……それも治んないのね」

「これとも長い付き合いよ。もう慣れたから別にいいわ」


 瀬戸内香里奈には、体に障害がある。それは、下半身不随なのだ。彼女は昔大きな事故に遭い、一命は取り留めたものの、二度と下半身を自由に動かすことができなくなった。そのため、彼女は車椅子での生活を余儀なくされ、動く時は常に車椅子で必要とする。それでもあえてリハビリをしないのは、自分の宿命ゆえのことなのだ。


「それより、二人はご飯は食べたの」


 香里奈の言葉に、私と美生は見つめ合う。


「そういえば、食べてないよね?」

「えぇ、急ぎできたから、何も食べてないわね」


 私達の言葉に、香里奈は微笑む。


「なら、一緒に食事にしましょう。翼、彼女たちにも朝食を」


 先ほどのメイド服の少女、翼に指示をし、私達の分の朝食も用意する。用意された朝食を見ると、なんとも高級食材を使ったような食事だった。


「これは中々すごいわね」

「そうだね。こう言う機会じゃないと食べれないよね」


 遠慮しつつ、朝食を食べる。朝食を食べ終えると、食後のコーヒーを用意され、コーヒータイムに入る。


「そろそろ本題に入ろうかしら?」

「本題?」

「えぇ、これから25階の部屋に向かうわ。それの方が話しやすいでしょう?」


 話を終えると、香里奈は車椅子を動かす。私達は案内されるように、エレベーターで25階まで降りる。エレベーターを降りるとそこは、何もない無機質な空間だった。


「ここは?」

「特注で作らせた部屋よ。ここには一切の物を置いてないし、窓も無いから外から様子を見ることはできない。私と翼しか入ることを許さないここは、『ブレイバー』専用の空間よ」

「それにしては、随分と殺風景ね。それで、ここへ降りたには何が理由があるの?」


 私の言葉に、香里奈と翼は頷く。


「翼。『ライド』していいわよ」

「はい。お嬢様」


 翼がスマホを持つと、私達と同じことを行う。まさかと思い、翼の方を振り向く。


「タイコウボウ、『ライド・トゥ・ブレイバー』!」


 翼の体を電子の数式が包み込む。いきなりことに、私は驚いてしまう。


「ふぅ。やはりと言うべきでしたね! この私、『T・タイコウボウ』の全知全能足る頭脳を用いれば、このことが起きることも予想できたでしょう!」

「まさか、翼も『ブレイバー』なの!?」

「そう、彼女も『ブレイバー』。でも、()()とは違い、彼女は補助に特化したタイプよ」

「当然です! 私は頭脳労働専門ですので!」


 どうやら翼も『ブレイバー』だったみたいだ。性格は天真爛漫だが、どこか自意識過剰な部分が目立つ。やはり『ブレイバー』が『リンク』した姿は、『アバター』に影響されるのだろうか


 そして、部屋の明かりが暗くなり、薄暗くなった一帯に光が灯る。そして、その後にあたり一帯はプロジェクションマッピングのように、100年前の映像が再生されるのだった。


「いい二人とも。これから映るのは、人類史にとって壮絶な100年の歴史よ」

もしよければ、ブックマークやいいね、評価の程よろしくお願いします!

レビューや感想も是非!!

次回も多忙につき、完成次第22時頃に更新します!

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