ヤクザVSブレイバー
カンナギ市の中にあるとされる、ヤクザが経営する闇カジノに潜入する。入り口に入ると、海外と見間違えるくらい、本格的なカジノだった。
本来なら、法律の関係で日本ではカジノの経営は禁止されている。ましてや、未成年である私と美生がこんなところに来るなんてもってのほかだ。しかし、今の私達は人間ではなく『ブレイバー』としてここにいる。
なぜならそれは、ヤクザがナノマシンを使って、借金を担保として貸した人間を束縛しているというのだからだ。この間のショッピングモールでの一件でそれがわかり、こうして私達は潜入しているのだ。
「思ったよりしっかりしているわね。もっとこう古臭い感じかと思ったわ」
「それくらい、金銭的に潤っているんでしょう。さて、ナノマシンが保管されている場所はこの辺りかしら?」
警備の目を盗み、ロックを解除する。ロックされていた扉を開くと、そこにはカプセルが収められていたケースを発見する。
「これが、ナノマシン?」
「そう見たいね。私も、本物は初めて見るわ。どこからか密輸入してきたのでしょうね」
私がカプセルの中にあるナノマシンを眺めていると、美生はPCをハッキングする。すると、ウィンドウからナノマシンの情報が表示される。
「これは?」
「このナノマシンの投与者のDNA情報よ。指紋やら髪の毛やらで採取したのを、ナノマシンの送り込んで『アバター』に同期させたのでしょう」
「ますます許せないわね。こうまでして、金を取りたいのかしら?」
「それがヤクザって組織よ。特にこのナノマシンは即効性が強い故に、国際法で禁止されている種類だわ。『アバター』が消滅したら、その持ち主の人間もすぐに死ぬ。そりゃ、あのアメリカでさえ法律で禁止に制定するわね」
美生が、全てのナノマシンの情報をロンダリングし終える。すると、ウィンドウから危険を示すアラートが表示される。どうやら、勘付かれたらしく、ヤクザがここへと向かって来るみたいだ。
「誰じゃ!! わしらの商売道具を盗んでる奴は!?」
「兄貴!! あいつら、ナノマシンを盗ろうとしてます!!」
予想通りにヤクザが入り込んで来た。アサルトライフルなどを携えているので、よほどこのナノマシンが重要なものらしい。
「思ってたよりは、早いおでましね」
「そうね。まぁ、目的は果たしたし、こいつらを潰しても問題ないわね?」
「殺さない程度なら、構わないわ」
美生は拳を鳴らすと、そのままヤクザの集団へと殴りにかかる。
「あははは! 銃を持っている割には、遅いわね?」
「なんだこいつ!? 拳だけで、わしらを圧倒して――――ゴフッ!!」
「弱くて話にならないわ。さぁ、次は誰?」
美生はヤクザを相手に近接戦を行う。銃を撃とうとしたヤクザが構える前に、美生の拳が急所に向けて放たれる。それにより、ヤクザたちは次々と美生の拳の前に倒れていく。
「美生が暴れていて助かるわ。なら私は、後ろから援護しようかしら?」
私は二丁の『ウェポン』を装備し、美生の後ろを援護する。
「そういえば、これに名前を付けてなかったわね」
『悠長にそんなこと考えている暇はないわよ?』
「そうね。なら、『ヴァルハラ』とでも名付けようかしら?」
私は『ヴァルハラ』を構えると、前線で殴りまくっている美生の後ろを援護する。ガンガタを利用して、ヤクザを倒していく。
「安心しなさい。死なない程度には制御しているわ」
「こいつもなんなんだ!? こっちの動きが見えてるみたいで、攻撃が当たらねぇ!!」
私の動きに翻弄され、ヤクザ達は次々と倒れていく。そして、乗り込んで来たヤクザ達はそのほとんどが倒れていった。
「これで全員かしら?」
「いや、まだ反応があるわ。何をしようとしているの?」
私と美生が、辺りを見渡していると、カジノから反応を検知する。すると、戦闘用のロボットがカジノに入り込んで来た。
「よくもわしらのビジネスを滅茶苦茶にしよったのう!! こうなりゃ、これで魚の餌にしてやる!!」
「ロボットまで持ってたの? これじゃまるで、戦争でも起こす気満々ね」
「へぇ、面白そうじゃない? 人を殴るよりも手応えがありそうね!」
美生は『ゲイボルグ』を装備すると、早速ロボットに接近する。すると、美生の一撃をロボットは弾き返す。
「こいつ、私が政府のために作ったのとは違うわ! パーツが違いすぎる!」
「まさか、これも密輸した奴なの?」
「そうだ! こいつはわしらが他の組と戦争するためにロシアから仕入れたもんや!! あの国は今はアメリカよりもこういうのに手を入れてるんでの。『アバター』さえ入れればこっちのもんよ!」
私はその言葉に、昨日のことを思い出す。
「まさか、借金をさせているのは、『アバター』をこれに乗せるため?」
「そうや。あいつらはこのカジノで負けてはわしらから借りて返せんようになったら、ナノマシンをぶち込んでそいつらの『アバター』をこれに乗せりゃイチコロや。このご時世、『アバター』が消えれりゃ人間死ぬんやからの!!」
「ますますやり口が汚いわね。なら、これに搭載しているAIも、誰かの『アバター』ってこと?」
「その通りや。こいつを壊せば、お前らは誰かを殺すとも同義や!」
私はヤクザの言葉に怒りを覚える。すると、私は無意識に『正宗』を構える。
「なら、あなたを倒せば、これらは止まるのも同義ね。懺悔の言葉を述べるのは今だけよ」
「は! 誰が懺悔するか!」
ヤクザがデバイスを操作し、二体にロボットを起動させる。私と美生はそれぞれのロボットと対峙する。
「邪魔くさいわね! さっさとこいつらを倒してあいつを追うわよ!」
「えぇ。でも、『アバター』は殺さないようにね」
私達はそれぞれのロボットに攻撃する。美生は『ゲイボルグ』を用いては、ロボットに接近する。その間にも、カジノの中は台などが破壊されて滅茶苦茶になっていく。
「捉えたわ! 『アバター』は頭部に内包されている! 首を斬れば機能を失うし、『アバター』が消滅することはないわ!」
美生は『ゲイボルグ』を下に向けて構え、狙いを定めている。すると、美生が立っている足場の付近で『アーク・エレルギー』が放出される。ロボットは動かない美生に向けて攻撃する。
「『ギリシア・コード【Ζ】! アーク・ストライク』! さぁ、その心臓をもらうわよ!」
ロボットが美生に向けて拳を振るう。その刹那、振り下ろされた拳と共に、音速の如く『ゲイボルグ』がロボットの胸部を貫通する。
「『コアブレイク・Ζ』!」
本来ロボットを動かすべきコアのある位置を、美生は的確に『ゲイボルグ』で突き刺す。すると、その反動でロボットは倒れると、美生はすかさずロボットの首を刎ねる。
「これで、『アバター』を消さずに倒したわ。後は美羽だけね」
美羽は戦いを終え、私を待っている。かく言う私は、ロボットと睨み合っていた。
「頭部に『アバター』がいる。なら、首を刎ねればいい。でも、これじゃ謝って頭部を壊しかねないわね」
ロボットの攻撃を避けながら、ロボットの首を刎ねるチャンスを待つ。
「『ギリシア・コード【α】。ブレード・ダンサー』」
『正宗』と『エネルギーブレード』を二刀流に持ち、ロボットと対峙する。ロボットの攻撃を二振りの剣でいなしながら、跳躍する。
『首に狙いを定めるのよ。そうすれば、一撃で仕留められるわ』
「えぇ。ブリュンヒルデ。奴の首のロックオンを」
視界のウィンドウが、ロボットの首をロックオンする。ロボットの銃撃を『正宗』と『エネルギーブレード』で斬り払う。そして、首に向けて二振りの剣で斬りかかる。
「『α・ブレイズ・ツヴァイ』!」
『正宗』と『エネルギーブレード』で『α・ブレイズ』を放つ。すると、人の首を斬るように、ロボットの首を刎ね飛ばした。
「もう大丈夫よ」
「やれやれ、変わらないわね。本当」
「それよりも、あのヤクザを追いましょう。交戦している合間に逃げられたみたい」
私と美生は、急ぎでヤクザを追う。カジノの正面口に出ると、ヤクザがその場に倒れていた。
「くそ……。わしの……夢が……」
「どうなっているの!? 一体誰が!?」
私と美生は、倒れているヤクザを発見する。すると、生体反応を検知し振り向く。
「この反応、まさか『ブレイバー』?」
私は『ブレイバー』の反応を検知し、驚きを隠せない。だが、美生は違ったようだ。かくして、私達は奥から現れた『3人目のブレイバー』と遭遇したのだった。
「ったく、遅いんだよ。やるならもっと効率的にやりやがれ!」
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多忙につき、次回も完成次第22時ごろに投稿します!




